【内容証明】借金の時効の援用と内容証明の活用
- 行政書士 服部祥明

- 6月10日
- 読了時間: 5分

借金(債務)が時効によって消滅するという話を聞いたことがあると思いますが、そのためにはどのような手続きや条件が必要なのでしょうか。
債務は、年月が経てば自動的に時効になるわけではなく、時効援用というアクションを起こす必要があります。
債務の時効とは
時効が成立しても、ただちに借金が消滅するわけではありません。債務者(借金をした人)が、時効によって返済義務を免れるためには、債権者(お金を貸した側)に対して、消滅時効の完成を主張する必要があります。これを「時効の援用」といいます。
たとえば、債権者が、債務者に対して、一定期間(通常は5年間)返済を求めないでいると、借りた人は、「借金は返済しない」と主張することが認められます。
(1)消滅時効が完成するための条件
借金の返済義務は、以下のいずれかの期間が経過すると消滅時効が成立します。
●債権者が権利を行使できることを知ったときから5年
●債権者が権利を行使できるときから10年
なお、契約によって返済期限が具体的に定められている場合は、返済期限から5年(2020年3月31日以前に借り入れた場合は10年)で時効が完成します。
(2)時効が成立しないケース
時効期間が経過する前に、時効の「完成猶予」または「更新」が生じた場合には、借金の消滅時効は完成しません。
①時効の完成猶予
時効の完成猶予とは、一時的に消滅時効が完成しなくなることで、主に以下の事由によって発生します。
●債権者が訴訟を提起したとき(原則として訴訟が終了するまで)
●債権者が支払督促、調停、強制執行、仮差押えを申し立てたとき(手続きが終了するまで)
●債権者が債務者に対して、内容証明郵便で借金の返済を催告した(催告から6か月)
●債権者と債務者が、書面で協議の合意をした(原則1年以内、通算5年まで延長可能)
②時効の更新
時効の更新とは、カウントしてきた時効期間がリセットされ、1日目から数え直しになることで、主に以下のような場面で更新されます。
●訴訟の判決が確定した
●訴訟で和解が成立した
●支払督促が確定した
●調停が成立した
●債務の一部について、強制執行が完了した
●返済義務があることを、債務者が承認した
時効の援用と「信用情報」との関係
国内には、「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」「日本信用情報機構(JICC)」という3つの個人信用情報機関があります。
ローン会社等は、顧客が契約を申込する際に、個人信用情報機関が保有する信用情報を参考にして、契約可否の判断をしています。
クレジットカードやローンの審査に落ちる原因は、これらの信用情報機関に記載されている個人の信頼情報に問題がある(不良債権などがある)ことが原因です。債務の消滅時効が成立すると、個人信用情報機関から、これらの問題のある個人情報が削除されます。
時効の援用をする際の注意点
(1)うっかり「債務承認」をしてしまうリスクに注意する
債権者に連絡をして、「債務承認(借金があることを認める)」をすると、消滅時効の妨げになります。
一部の中小会社(もしくは債権を譲り受けて債権者になった会社)のなかには、時効の主張を無視して悪質な対応をする会社があります。うっかり返済の約束をしたり、一部返済をしてしまうと、「債務承認」となって、時効を主張できなくなってしまいます。
(2)時効の援用の実行を忘れずに
消滅時効は時効期間の経過によって完成しますが、それだけでは借金の返済義務は消滅しません。返済義務を免れるためには、時効を援用する必要があります。
(3)債権者に対してのマイナスの効果もある
時効の援用は、督促や訴訟などのリスクを完全に解消するために有効な方法です。
ただし、お金を貸していることを貸主に思い出させたり、時効援用に失敗して時効期間がリセットされたりするリスクには注意しましょう。
債権者から長期間にわたって督促を受けていないケースであれば、現時点では時効援用通知書を送らず、将来、督促が再開された時に時効を援用するという方針も考えられます。今すぐ時効を援用すべきかどうかの判断に迷うようであれば、弁護士などに相談してアドバイスを求めましょう。
時効の援用の手順
(1) 時効期間が経過しているかどうかを確認する
借金の時効は、返済期限から5年(2020年3月31日以前に借り入れた場合は10年)が経過すると完成します。ただし、時効の完成猶予や更新が生じた場合は、時効の完成時期が延びてしまいます。
時効期間が経過しているかどうかは、契約書や返済予定表、預貯金口座の引き落とし履歴などから確認します。債権者に連絡して資料を送ってもらうことは、督促の誘発や債務承認とみなされる危険があるので、できれば避けましょう。
(2)内容証明で時効援用の意思表示を行う
時効期間を確認したら、貸金業者などの債務者に対して「消滅時効が完成したので、借金の返済義務を免れた」旨を主張します。内容証明郵便によって時効援用通知書を送る方法が一般的です。
内容証明を送付したあと
(1)相手が誠実に対応してくれる場合は多くないと考えるべき
内容証明に対して、電話連絡や文書などのリアクションがあれば、債務者のスタンスは判明します。しかし、多くの場合は回答や連絡がないことが多いと思われます。
(2)直接電話をして確認する
債務者からの連絡がない場合、先方に電話をして確認することも考えられますが、貸金返済を求められる可能性があるので、一定の覚悟を持って電話する必要があります。自分で対応するのが不安な人は、最初から専門家に依頼することも検討しましょう。
(3)信用情報を取得して削除か訂正されているかを確認する
時効援用後に、個人信用情報機関から信用情報を取得して、自分の信用情報を確認することが可能です。タイムラグにより、情報が反映されていないことがあるので、時効援用後1か月以上期間を開けてから問い合せしましょう。





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