【相続問題】生命保険の受取人を内縁妻にする場合の注意点
- 行政書士 服部祥明

- 2025年11月27日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年11月28日

いわゆる「内縁関係」のカップルの相続問題について、気を付けておきたいポイントがいくつかあります。
結婚(法律婚)している場合と同様に扱われる事柄もあれば、異なる扱いを受ける事柄もあります。そこで今回は、内縁の妻を生命保険の受取人に指名する際のポイントを紹介します。
内縁関係とは
内縁関係とは、婚姻の意思があり、法律婚の夫婦同然の共同生活を送っているが、婚姻届を出していない男女の関係のことです。男女が一緒に住むことを意味する「同棲」とは、婚姻の意思があるという点で大きく異なります。
内縁関係については、法律上の規定がないため、内縁関係の成立の有無は、最終的には裁判所が判断することになります。
内縁妻は法定相続人になれない
内縁関係にある者は、被相続人の法定相続人にはなれません。
内縁関係の男女間に生まれた子供は非嫡出子となり、母親の単独親権となります。
父親が子供を認知すれば、法律上の父子関係が明らかになり、その子どもは父の相続権を獲得します。
生命保険の受取人に指名する事は可能
生命保険の受取人として指定できるのは、原則として配偶者および二親等以内の血族ですが、保険会社の要件を満たせば、内縁の妻が生命保険の受取人に設定することが可能です。
なお、保険会社によっては、別の条件が加えられていることがあるので、保険に加入する前に確認するようにしてください。
1.お互いに戸籍上の配偶者がいないこと
2.一定期間にわたって同居している
3.一定期間にわたって生計を共にしている
内縁妻を生命保険の受取人にした場合の注意点
内縁の妻が生命保険金や遺産を受け継いだときには、下記の点に注意しましょう。
(1)生命保険金の非課税枠を適用できない
生命保険金は相続税の課税対象に含まれますが、以下の非課税枠が用意されています。
●500万円×(法定相続人の数)
非課税枠を利用して生命保険金にかかる相続税の負担を抑えられるのは、相続人のみで、法律上の妻ではない内縁妻は非課税枠を利用できません。
(2)相続税が2割加算される
被相続人の配偶者、子ども、両親以外の人が生命保険金を受け取ると、生命保険金に対して、相続税が2割加算されます。内縁妻が受け取った場合も同じく加算されます。
(3)相続税の特例や控除が適用されない
相続税には、下記のような控除や特例が用意されていますが、いずれも亡くなった人の配偶者であることや相続人であることが要件に定められています。
●「配偶者の税額軽減」が適用されない
配偶者の税額軽減とは、「課税価格の合計額×法定相続分」または「1億6000万円」のうちいずれか大きい金額までの財産については無税で相続できる特例です。
配偶者は、最低1億6000万円までの財産の相続について、相続税の支払義務が生じませんが、内縁の妻には配偶者の税額軽減が適用されません。
●障害者控除が適用されない
障害者控除とは、相続や遺贈によって財産を取得した障害者について、満85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者は20万円)を控除できる税額軽減制度です。障害控除を適用できるのは、法定相続人に限られます。
●小規模宅地等の特例が適用されない
小規模宅地等の特例とは、相続や遺贈で土地を取得した場合、一定の要件を満たせば、その土地の評価額を最大80%減額できる特例です。
この特例を適用できるのは、配偶者や一定の要件を満たす親族に限られ、内縁の妻は、特例の適用を受けることができません。
詳しいことは保険会社に
内縁妻を生命保険金の受取人にできるかどうかについて、最終的な判断は各保険会社の判断にゆだねられています。
たとえば、今回挙げた3つの条件のうち、ある保険では同居期間が3年と定められているが、別の保険では5年だったなど、会社によってさまざまです。
内縁の夫が加入している生命保険で内縁妻が保険金を受け取れるかどうか、受け取るための条件はどのようになっているのかについて気になる方は、保険会社に問い合わせてみましょう。





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