【相続問題】子どもがいない夫婦の選択肢
- 行政書士 服部祥明

- 4月15日
- 読了時間: 4分

子どものいない夫婦の遺産相続で、すべての財産を配偶者が相続できると考えている人は多いかもしれません。
しかし、このような思い込みが、思わぬトラブルを招いてしまうことがあります。そこで今回は、子どものいない夫婦の遺産相続の際に起こりやすいトラブルを回避するための対策について解説します。
子どものいない夫婦の相続人は誰か
遺産相続において、誰が相続人になるかというのはとても重要な問題です。子どものいない夫婦の場合、法律上、誰が相続人になるのでしょうか。
(1)子どものいない夫婦の相続人は、「配偶者」と「血族相続人」
子どものいない夫婦のどちらかが亡くなった場合、法定相続人は「配偶者」と「血族相続人」です。
配偶者とは妻、夫のことで、常に被相続人の相続人になります。血族相続人とは、被相続人(亡くなった人)と血のつながりのある直系家族のことで、第1順位から第3順位があって、数字が小さい順位が優先度は高くなります。
子どものいない夫婦の場合、第2順位と第3順位が法定相続人になる可能性があります。
●第1順位:子どもと孫(直系卑属)
●第2順位:両親、祖父母(直系尊属)
●第3順位:兄弟姉妹 (または、甥姪)
(2)配偶者と第2、第3順位の相続人
被相続人の親や祖父母が健在であれば、配偶者と親(祖父母)が相続人になります。親や祖父母がすでに亡くなり、兄弟姉妹がいる場合は、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹も亡くなっている場合は、その子ども(甥姪)が相続人になります(代襲相続人といいます)。
(3)法定相続分と遺留分
●法定相続分
法定相続人によって、それぞれの相続分の割合(法定相続割合)が変わってきます。
「配偶者と親」が相続人の場合は、配偶者が3分の2を、両親が3分の1を相続します。「配偶者と兄弟姉妹」が相続人の場合は、配偶者が4分の3を、兄弟姉妹が4分の1を相続します。
なお、法定相続分は、遺産をどう分けるかの基準であり、相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合で遺産を分けることも可能で、かならずしもその割合に縛られるわけではありません。
●遺留分について
法定相続分とは別の基準に、「遺留分」があります。
遺留分とは、「最低でも、この割合だけは遺産を取得できる」と主張できる受取分のことで、兄弟姉妹以外の法定相続人に、最低限保証された遺産取得分です。つまり、「配偶者と親」の法定相続では、親に遺留分は生じますが、「配偶者と兄弟姉妹」のケースでは、兄弟姉妹に遺留分は生じません。
子どもがいない被相続人の相続対策
被相続人が生前、配偶者に財産のすべてを相続させたいと考えていたケースで、遺産分割協議で起こりうる問題を検討してみましょう。
この場合。両親や兄弟姉妹が、被相続人(亡くなった人)の意思を尊重して、相続財産を取得しないことに同意してくれるかといえば、かならずしも、うまくいくとは限りません。
とりわけ大変なのは、兄弟姉妹が多数いる場合や、兄弟姉妹が死亡しており、甥姪が相続人になっているケースです。親族が遠方にいる場合や、長らく連絡を取り合っていない場合であれば、遺産分割協議どころか、連絡を取るだけでも大きな負担が生じます。そのような事態を事前に回避するためには、以下の方法が考えられます。
(1)遺言書を作成する
遺言書を作成して、「財産をすべて配偶者に相続させる」という内容の遺言を残しておくことによって、遺産分割協議を行うことなく、すべての財産を配偶者に相続させることが期待できます。
両親が健在であれば遺留分を考慮する必要がありますが、両親が亡くなって兄弟姉妹が相続人になっている場合は、配偶者にすべての財産を相続させる遺言を作成しても法的に有効であり、遺留分に関する争いも生じません。
遺言書には自筆証書と公正証書がありますが、できれば法的能力が強い公正証書遺言を選択したいところです。
(2)財産を配偶者に生前贈与する
財産を配偶者に生前贈与した場合は、贈与した財産は遺産から除外されます。ただし、この場合は税金に留意してください。
3年以内の贈与については、相続財産に持ち戻して加算されます。また、自宅を贈与する場合については、婚姻期間が20年以上の夫婦であれば配偶者控除の特例対象となり、最高2000万円までの控除を受けることができます。
(3)生命保険の受取人を配偶者にする
生命保険の受取人を配偶者にしておくことも相続対策のひとつです。保険金は遺産ではなく、受取人の固有の財産になります。





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