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【相続問題】故人の預貯金を知るための「相続時預貯金口座照会制度」の活用

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 6月10日
  • 読了時間: 4分


相続手続きを進めるなかで、つまずきやすいのが、「故人がどの銀行に口座を持っていたか分からない」という問題です。

以前は、通帳やキャッシュカードが手がかりになりましたが、近年は、通帳レス口座やネット銀行の利用が当たり前になり、自宅に手がかりが残されていないケースも多いです。このような社会背景から、故人名義の銀行口座を一括で照会できる「相続時預貯金口座照会制度」がスタートしました。

 

  相続時預貯金口座照会制度とは

(1)制度の概要

相続時預貯金口座照会制度(以下、「照会制度」)は、故人が生前に「マイナンバーを金融機関に登録していた口座」を対象に、相続人等が一括して口座の所在を確認できる仕組みです。

この制度により、複数の金融機関にまたがる調査を効率よく進められるようになりました。

(2)情報の照会方法
①申請者

一般的には、法定相続人、遺言執行者、相続財産清算人等が申請者となります。行政書士や司法書士などの専門家が代理で申請することも可能です。

②マイナンバーとの紐づけ

実務上の最重要ポイントは、この制度で照会できるのは「被相続人が生前にマイナンバーとの紐付け手続きを行っていた口座」に限られることです。

現状では紐付けがされていない口座が多く、「照会した結果は該当なしだったが、実際には口座があった)」というケースも想定されます。

③照会先

情報の照会先は、故人がマイナンバーを登録していた銀行、信用金庫、信用組合、ネット銀行など、全国の多くの金融機関がこの制度に対応しています。

④通知される内容

口座照会の結果、判明するのは、「金融機関名、支店名、預貯金の種類(普通預金・定期預金など)、口座番号」です。口座の残高までは判明しません

照会によって口座の存在がわかった後、あらためて、各金融機関で残高証明書を取得して、相続手続きを行います。

 

  相続時預貯金口座照会制度は万能ではない

以下のような事情により、照会制度には調査の限界があります。あくまでも「従来調査の補助的な手段」として捉え、過信しないことが大切です。

(1)マイナンバーと紐づけされていない口座の問題

相続時口座照会制度を利用するうえで、最も重要な注意点は、マイナンバーと紐付けされている口座のみが照会対象になるという点です。

被相続人が生前に「マイナンバーと口座を紐づける手続き」をしていなければ、一括照会をしても引っかかりません。なお、マイナンバーと口座の紐付けは、現時点では義務ではなく任意なので、とくに高齢者やデジタル手続きに不慣れな契約者については、紐付けをしていないケースの方が多いという現状があります。

(2)照会対象の口座は「口座名義人が亡くなってから10年以内」

この制度で照会が可能なのは、口座名義人が亡くなってから10年以内の情報に限られます。それ以上経過した古い口座の情報は照会の対象外になる可能性が高いです。

(3)参加していない金融機関もある

全国の多くの金融機関が制度に対応していますが、すべての金融機関が対象ではありません。この制度に参加していない金融機関の口座は追跡できません。

 

  相続時預貯金口座照会制度以外に遺産を見つける方法

制度の条件により、口座照会をしても「該当なし」となる場合があります。しかし、照会制度で発見できなくても、金融口座の資産がゼロとは限りません。相続手続きを漏れのないものにするためには、従前と同じく、地道に手がかりを拾う実務が必要です。

(1)郵便物、書類や粗品などの「手がかり」を拾う

金融機関、保険会社、証券会社からの郵便物のほか、カレンダー、タオル、ティッシュ等の粗品に印字された金融機関名から、取引金融口座を調査します。

(2)スマホ、パソコン、メールを確認する

ネット銀行やネット証券、暗号資産等は、スマホやパソコンにしか情報がない場合が多いでしょう。

ログインIDやパスワードが不明など、確認がやっかいなケースも多いですが、なんとか手を尽くして調査をすすめてください。

(3)当たりをつけた金融機関への個別照会

手がかりが乏しい場合は、生活圏や勤務先の動線などから候補を立てて、金融機関に個別照会を行います。高齢の方ほど、生活圏内の金融機関に集中する傾向があるため、自宅のほか、過去の住所の周辺を当たるのが実務的です。

(4)証券保管振替機構への問い合わせ

銀行口座とは別に、株式等の取引については、「証券保管振替機構(通称:ほふり)」へ開示請求を行う方法があります。

マイナンバーの紐づけに関わらず、加盟する証券会社を一括で調査できるため、投資の痕跡がある場合は非常に有効な手段となります。

 
 
 

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