【相続問題】相続欠格の仕組みについて考えてみる
- 行政書士 服部祥明

- 7月16日
- 読了時間: 4分

相続が発生したとき、誰が遺産を相続するのかというのは、民法で定められた法定相続人の範囲と相続順位によって決まります。しかし、重大な非行を行った場合は、相続人になれない場合があります。これを相続欠格といいます。
民法に定める欠格事由に該当する行為に及んだ相続人は相続権を失います。今回は、どのようなケースで相続欠格となるのか、そして、相続欠格になるとどうなるかについて解説します。
相続欠格とはなにか
相続欠格とは、欠格事由にあたる重大な非行をおこなった相続人が、相続権を失う制度のことです。主な欠格事由には、被相続人の殺害や、詐欺、強迫による遺言の妨害などの行為があります。欠格事由に該当した相続人は、裁判手続きを要せず、当然に相続権を失います。そして、相続欠格によって失った相続権は基本的に取り戻せません。また、欠格者は遺贈を受けることもできません。
相続欠格になる条件とは
相続欠格になる条件は、以下の5つに分類できます。単なる素行の悪さではなく、遺産を不正に手に入れるための行動を起こした事実が該当します。
(1)故意に被相続人や同順位以上の相続人を殺害した場合
故意に被相続人または同順位以上の相続人を殺害した、または殺害しようとした場合は、欠格事由に当たり、相続欠格となります。
殺人罪や殺人未遂罪だけではなく、介護が必要な被相続人に食べ物を与えないなどの遺棄罪も上記の欠格事由に当てはまります。ほかには、父親の財産を多く取得できるように兄弟姉妹を殺害する行為も欠格事由に該当します。
なお、動機については問われず、殺害や殺害を企てたこと自体が欠格事由になります。ただし、あくまでも「故意」による必要があり、過失によって死亡させた場合は欠格事由に該当しません。
(2)被相続人が殺害されたことを知りながら告発(告訴)しなかった場合
被相続人が殺害されたことを知っていながら、殺害者をかばうために告発、告訴をおこなわなかった人物も相続欠格になります。
ただし、判断能力に乏しい小さな子どもや精神疾患者は除外され、殺害者が配偶者や親、子などの直系血族の場合も相続欠格の対象外です。
(3)詐欺や強迫によって遺言の作成や撤回などを妨げた場合
被相続人が遺言の作成や撤回、取消し、変更を考えていることを知り、詐欺や強迫で妨害する行為を行うと、相続欠格になります。
(4)詐欺や強迫によって被相続人に遺言を作成させた場合など
詐欺や強迫によって、遺言を作成、撤回、取消し、変更させる行為は欠格事由になります。たとえば、脅迫して遺言書を書かせるなどの行為が該当します。
(5)被相続人の遺言書を偽造などした場合
被相続人の遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿する行為も、相続欠格事由のひとつです。
近年では法務局で遺言書を保管してくれる制度が広く知られるようになりましたが、被相続人が遺言書を保管している場合は十分注意が必要です。
相続欠格の影響
相続欠格の影響は当人だけにとどまりません。
(1)子どもが代襲相続人になる
相続欠格が適用された相続人に子どもがいた場合は、その子どもが代襲相続人になります。代襲相続人とは、推定相続人が死亡、相続欠格、相続廃除により相続権を失った際に、代わりに相続する人のことです。
(2)相続欠格は特定の被相続人との間だけで適用される
相続欠格は、特定の被相続人との間にのみ適用されます。別の被相続人に対する相続権まで失うわけではありません。
たとえば、父親の相続に関して相続欠格になったとしても、母親の相続については、通常どおりの相続権を有することになります。
(3)相続手続きをやり直す必要が生じることも
相続が開始したあとに相続欠格事由が生じた場合は、相続手続きをやり直す必要があります。相続欠格が適用された人物を、はじめから相続人ではないものとして扱わなければならないからです。相続欠格が適用された人物を除いたうえで、再度相続割合などを決めていくことになります。





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