【相続問題】親が認知症になって銀行口座が凍結されたときの対応
- 行政書士 服部祥明

- 2025年12月3日
- 読了時間: 4分

認知症になると、原則として本人による口座取引が制限され、出金できない状態になります。一般的に「口座凍結」と呼ばれています。
口座が凍結されると、介護費用や生活費などを口座から引き出せなくなる事態になり、介護者である子どもや親族の大きな負担となりかねません。このような事態には、どう対処すれば良いでしょうか。
銀行が口座を凍結する理由
よく、「認知症になると、本人の銀行口座が凍結される」という話を聞きます。
銀行などが認知症と判断して口座を凍結する理由は、認知症になった人の財産保護が目的です。認知症になると判断力が低下し、充分な理解がないまま金融取引をしたり、詐欺などの犯罪に巻き込まれる可能性があります。
そのようなリスクを減らし、財産を守るために、口座凍結という手段がとられます。
そのほか、口座を凍結しないまま放置すると、身内による資産の使い込みのリスクもあり、相続時にトラブルになるケースもあります。
いつ口座凍結されるのか
(1)家族が金融機関に伝えたとき
認知症になった人の家族が、本人に代わって金融機関で取引や手続きをしようとして、店頭でその旨を伝えたことを契機に、口座凍結されることがあります。
(2)銀行が判断力の低下を判断したとき
認知症による記憶障害や判断能力の低下が原因で起こす次のような行動を、金融機関が察知して、凍結の判断をすることがあります。
・通帳、印鑑を頻繁に紛失する
・同じ内容で何度も店舗に訪問する。同じ手続きを何度も照会する
・実際にはない行員の不正を主張する
資金管理のための認知症対策
親の銀行口座が凍結されたとき、または、凍結される前の対策には以下のような方法があります。
(1)法定後見制度を活用する
認知症発症後に、家庭裁判所によって選任された法定後見人によって本人の支援や保護を行なう仕組みが、「法定後見制度」です。
法定後見人には、親族のほか、司法書士や弁護士、社会福祉士といった法律や福祉の専門家が選ばれます。
認知症で口座凍結されてしまった後の段階としては、「法定後見制度」しか対処法はありません。
(2)任意後見制度を活用する
銀行口座が凍結される事前にできる対策としては、成年後見制度のうち「任意後見制度」が選択肢となります。
任意後見制度は、自分が認知症になる前に、信頼できる家族や法律の専門家など、あらかじめ自分が選んだ人に対して、後見人を依頼できる制度です。自身の判断能力が著しく低下してきた際に、家庭裁判所に申し立てを行ない、任意後見人の選任を行なったのちに、その権限が発動します。
任意後見制度は、事前対策ができる点で、後述する「家族信託」と同視されることがありますが、「身上監護」ができる点に特徴があります。
「身上監護」とは、介護施設の入所に必要な契約や、病院の入院手続き等、本人の生活を維持するための手続きや療養看護のことです。
(3)家族信託を導入する
家族信託とは、認知症になる前に、口座の名義人(親)が家族に財産の管理を一任できる制度です。任意後見制度のように家庭裁判所を経由することなく利用できる、自由度が高い制度です。
家族信託を活用するためには、公証役場で公正証書として名義人(委託者)と受託者との間で契約を結びます。その後、信託契約する親名義の口座から受託者(家族)名義の信託口口座に現金を移し、契約により定められた目的で利用できるようになります。
認知症になる前に口座凍結対策を
金融機関に認知症と判断されると、口座が凍結し、家族であっても介護費用などの必要なお金を出金できなくなります。
しかし、口座凍結対策として、認知症になる前にできることが数多くあります。任意後見制度や家族信託、生前贈与など、あらかじめ親の希望に沿った対策を施しておくのがベストです。
口座が凍結してしまった際には、法定後見制度を活用してください。





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