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【離婚問題】ローンが残っている自宅をどうするかという問題

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 1月20日
  • 読了時間: 6分


離婚する際には、夫婦間で財産分与を決める必要があります。

そのときに問題になるのは、ローンが残っている自宅をどうするかという問題です。住宅ローンの支払いはどうなるのか、妻が自宅に住み続けることは可能なのか、といった疑問があると思います。

そこで今回は、離婚する際に、住宅ローンが残っている場合の財産分与の方法と、課題の解決方法について考えていきましょう。

 

  自宅を売却する

離婚時には家を売却して、現金で財産分与するのが、一番シンプルな方法でしょう。ただし、売却時の状態によって、判断が違ってくる可能性があります。

(1)オーバーローンかアンダーローンか

売却する際の住宅ローンには、「オーバーローン」と「アンダーローン」という状態があります。それぞれ確認していきましょう。

①オーバーローン

オーバーローンとは、住宅ローン残債が売却価格を上回り、売却しても借金が残る状態のことです。

自宅を売却しても借金が残ってしまいますが、プラスの面としては、節税効果があります。

オーバーローンで住宅を売却すると、「譲渡損失の売却特例」の適用を受けられるほか、住宅の売却で発生した損益を、他の所得の利益と相殺して、所得税を減らすことができます(損益通算)。また、相殺により控除しきれなかった分については、翌年以降3年間にわたり繰り越すことが認められています。

②アンダーローン

アンダーローンとは、売却価格が住宅ローン残債を上回り、利益が出る状態です。

住宅を売れば住宅ローンを完済できるので、残金を夫婦で折半するなど、スムーズに財産分与の手続きを進められます。

売却益が3000万円を超えなければ、譲渡所得は発生しません。ただし、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)との併用はできません。

また、売却する住宅が所有して10年を超える場合は、軽減税率が適用され、上記の特例と併用することが可能です。

(2)ローン残額と現在の自宅の価格を調べよう

離婚を決断したときには、「あといくら返せばローンが終わるのか(残債)」を正確に調べましょう。ローン残債は、インターネットバンキングの資料や、「返済予定表」で確認できます。

ローン残債が判明したら、次は「家がいくらで売れそうか(査定額)」を把握します。

不動産一括査定サイトなどを利用して、不動産会社に査定を依頼しましょう。一社だけでは金額が偏る可能性があるため、複数社に査定を依頼してください。

 

  夫名義の住宅ローンが残る自宅に妻が住むケース

離婚後も、妻が子どもと一緒に、夫名義の家に住み続けたいという希望もよく聞かれます。

とくに未成年の子どもがいる場合、離婚後にそれまでの家に住めなくなると、転校しなければなりません。子どもの受ける精神的ショックは計り知れません。

(1)自宅の名義を妻に変更し、住宅ローンも妻の名義に変更する

自宅の名義を妻に移転し、住宅ローンも妻名義に変更できれば問題はありません。

この場合は、妻の信用情報が決め手になります。ほとんどの住宅ローンには、名義変更に金融機関の承諾を必要とするという内容の条項が含まれており、金融機関はなかなかローンの名義変更に応じてくれません。

現実的には、妻が正社員でなければ審査が通らないと考えたほうがいいでしょう。

金融機関に無断で名義変更すると、契約違反として一括請求されるおそれがあります。一括返済できなければ、担保権を実行されて家を競売にかけられてしまうので、名義の無断変更は絶対にやめてください。

(2)自宅と住宅ローンは夫名義のまま、支払いも夫が続けるケース

妻が住み続けるケースでもっとも多いのが、このパターンといわれています。

環境を変えずに生活できるだけでなく、場合によっては、慰謝料や養育費代わりに無償で自宅に住むことができます。

ただし、この方法についても、事前に金融機関と相談する必要があります。

住宅ローンは、契約者が住むことを条件としているケースが多く、契約者(夫)が離婚して、妻と子どもだけが住み続けると、契約違反として金融機関からローンの残額を一括請求されるおそれがあります。

離婚後、夫の収入が減ったり、再婚して支出が増えるなど、事情が変化する可能性は大いにあります。そのような場合に、元夫が、元妻が住んでいる家の住宅ローンを支払うために努力するかどうかについては、あまり期待できません。

夫が自分の名義の家を、妻の承諾なしに売却するのは自由です。また、「妻が生涯無償で自分名義の家に住んでよい」という約束は現実的ではなく、いずれ夫から、家を出るように要求される可能性は高いでしょう。

 

  夫婦共同ローンの問題

夫婦で共同ローンを組んでいる場合は、離婚後の住宅ローンの扱いが異なります。

ペアローン、連帯債務、連帯保証といった契約形態によって、支払い義務が大きく変わるため、契約の種類をしっかり理解しておくことが重要です。

(1)ペアローン

夫と妻がそれぞれ単独で住宅ローンを契約し、お互いのローンの連帯保証人となる契約です。

どちらかがローンの支払いを滞納すると、もう一方が連帯保証人として支払いを求められます。離婚後も、金融機関からペアローンによる返済の継続を求められるのが基本です。

(2)連帯債務

夫婦がローンを共同で契約し、それぞれが「主債務者」として全額返済の義務を負う契約です。

離婚しても連帯債務は解消されないので、片方が支払いを滞らせると、もう一方に全額返済する義務が生じます。金融機関の同意がなければ、名義変更は困難です。

(3)連帯保証

主債務者(夫の場合が多い)が支払う義務を負いますが、支払いが滞った場合は、連帯保証人(妻や第三者)に請求される契約です。

離婚しても保証人の義務はなくならないため、連帯保証を解除するためには銀行の承認を得る必要があります。

 

  銀行に名義変更の承諾が貰えない場合の対処法

住宅ローンの名義変更は金融機関の承諾が必要です。

金融機関がお金を貸してくれるのは、債務者の返済能力を信用しているからです。したがって、債務者を変更するためには、金融機関の同意が必要です。

実態として、住宅ローンが残っている状態では、名義変更の承諾は難しいでしょう。「ローンを完済するまで名義変更はできない」と回答されるケースが大半です。

しかし、どうしても妻が離婚後も自宅に住み続け、自分名義にしたいという場合には、以下のような方法が考えられます。

(1)公正証書で将来の名義変更を約束する

離婚公正証書を作成し、養育費・生活費・慰謝料などと合わせて、住宅ローンを完済したタイミングで名義を妻に変更する旨を明記します。

(2)住宅ローンの借り換えや債務者変更

住宅ローンの借り換えが可能であれば、既存のローンは完済となり、新しいローンが開始します。離婚時の利用としては、ローン債務者の変更と同時に、所有者も、夫から妻に変更します。

ローンの借り換えは、あらたに名義人となる妻の収入や信用状況がポイントです。

金融機関によっては、借り換えではなく債務者変更として処理してくれるケースもあります。夫婦共有名義のローンを、夫婦の一方のみのローンに替える手続きに利用します。

抵当権設定や抵当権抹消ではなく、抵当権の変更手続きになるので、登録免許税等が安く済みます。

 
 
 

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