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【離婚問題】不貞行為に対する慰謝料の求償権の問題

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 6月8日
  • 読了時間: 4分

配偶者の不倫相手に慰謝料を請求したケースで、意外な落とし穴になりうるのが「求償権」の問題です。

「不倫相手から慰謝料を受け取った後で、配偶者が不倫相手から求償権を行使された」という事例や、「不倫相手として慰謝料を支払ったが、不倫した配偶者に負担分を請求したい」という話を聞くことがあります。

今回は、求償権の基本的な仕組みから、負担割合についての考え方や求償権の放棄など、求償権にまつわるポイントについて、わかりやすく解説します。

 

  求償権とはなにか

(1)共同不法行為

不貞行為は、慰謝料請求者の配偶者と不貞相手との「共同不法行為」という扱いになります。配偶者と不貞相手の双方は、慰謝料全額について連帯して支払う責任を負います。

たとえば、100万円の慰謝料請求権が生じた場合、請求者は、100万円の範囲で、配偶者と不貞相手の両方に請求することもできるし、どちらか一方に全額を請求することもできます。それに対して、不倫をした配偶者と不貞相手は、いずれも100万円全額について支払う責任を負っているため、「私の責任は半分だから50万円しか支払わない」と主張することは認められません。

(2)求償権とはなにか

請求者に対して、不倫をした配偶者と不貞相手のいずれかが、負担部分よりも多くの慰謝料(もしくは全額)を支払った場合、不貞をした者同士で不平等が生じます。

その場合、一方の当事者は、他方の当事者に対して、自分の責任を超過した部分を請求する権利を有します。この権利を求償権といいます。

(3)求償権はいくらになるか

不倫をした配偶者と不倫相手の責任割合が50%ずつだとします。配偶者に支払うべき100万円の慰謝料のうち、不倫相手が100万円全額を支払ったとすると、不倫相手は不倫した配偶者に対して50万円を求償できます。

もっとも、負担割合は50%ずつとは限りません。請求者の配偶者と不貞相手の慰謝料の負担額は、その不貞行為における責任割合(過失割合)によって決まります。

たとえば、以下のような事情をふまえて、負担割合を検討する必要があります。

●相手が既婚者であることを知っていたか
●不倫を積極的に誘ったのはどちらか

実際には、当事者間の交渉によって決めるか、訴訟などの法的手続きを通じて、負担割合を決めることになります。

(4)求償権の時効

求償権には時効(消滅時効)があります。

不貞慰藉料を支払ってから5年経過すると、時効によって求償権が消滅します。時効が成立すると求償権を行使することができなくなります。

 

  求償権トラブルを避ける方法

慰謝料の示談交渉の段階できちんと話し合いをすることによって、求償権に関するトラブルを回避できる可能性が高くなります。

(1)不倫相手に求償権を放棄してもらう

求償権は「権利」なので、放棄することが可能です。

配偶者に求償権を行使されるリスクを避けたい場合は、不倫相手に求償権の放棄を求めることも可能です。その場合に、求償権の放棄との交換条件として、不倫相手から慰謝料の減額を求められるケースもあります。

(2)当事者で慰謝料の負担額を決める

相手方に求償権の放棄を求める場合には、合意によって取り決めを行いますが、この場合に大きな注意点があります。

二者間(被害者と不倫相手)だけの示談書に求償権の放棄条項を入れても、不倫した配偶者に対しては基本的に直接の効力が及ばないとされているからです。

確実に求償権の問題を解決するためには、三者間(被害者・不倫した配偶者・不倫相手)で合意書を作成する方法が有効です。
(3)示談書の作成が重要

慰謝料を支払った不倫相手が、あとになって自分だけ慰謝料を負担したことを不公平だと感じるかもしれません。

求償権の放棄を、示談書のような文面ではなく口頭で合意した場合は、不倫相手から求償権を行使するために裁判を起こされる可能性もあります。したがって、あとからトラブルが再燃しないように、かならず書面を作っておきましょう。とくに信用性に高い公正証書によって示談書を作成しておくと安心です。

 
 
 

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