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【離婚問題】年金分割の仕組みをわかりやすく解説

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 4月18日
  • 読了時間: 5分


離婚するときには、夫婦共有の財産同様に、年金も分割することができます。

年金分割の制度を利用するためには、期限内に申請する必要がありますが、制度がよくわからないという、戸惑いの声をよく耳にします。どの部分が分割の対象となるのか、どのような分割方法が好ましいのか、きちんと説明ができる人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

そこで今回は、わかりにくい年金分割の仕組みについて、できるだけわかりやすく解説します。

 

  日本の公的年金制度と年金分割

(1)国民年金と厚生年金

日本の公的年金には、国民年金と厚生年金があります。

国民年金は、日本に住んでいる20歳以上のすべての国民が加入する年金制度です。自営業や無職の方も国民年金に加入します。

一方、厚生年金(共済年金)は、会社員や公務員が加入する年金制度です。

正確にいえば、会社員や公務員の年金制度は、国民年金にも加入して、その上で厚生年金にも加入している、「2階建て構造」になっています。なお、企業によっては、厚生年金のほかに、企業年金などがある「3階建て構造」になっているケースもあります。

(2)年金分割の対象は厚生年金のみ

年金分割の対象は厚生年金です。つまり、会社員や公務員の「厚生年金の部分」が対象であり、国民年金だけに加入している自営業者は対象外です。なお、前述の企業年金など(3階建て部分)は分割の対象外です。

(3)年金分割の対象期間

年金分割の対象となるのは、結婚していた期間に限られます。「婚姻期間の厚生年金保険料の支払い実績を配偶者と分ける制度」であるため、独身期間の支払い実績は関係ありません。

(4)年金分割の根拠

会社員の夫と専業主婦の夫婦の場合、夫は現役中に厚生年金の保険料を支払い、老後に年金を受給しますが、妻は年金を受け取ることができません。

妻は夫を支え、家庭を守ってきた実績があるにもかかわらず、年金で評価されないのは不公平です。この問題を解消するために生まれたのが、離婚時に年金を分割する年金分割制度というわけです。

なお、収入がある主婦の場合でも、夫よりも厚生年金の保険料の支払いが少ない場合は、年金分割制度を活用して、元夫との年金受給額の差を縮めることができます。

 

  年金分割の2つの方法

年金分割制度には、「合意分割」と「3号分割」があり、分割される年金保険料の払込記録の範囲が異なります。

合意分割は、婚姻期間中全体の厚生年金の年金保険料の払込記録を分割する一方、3号分割では、平成20年4月分以降の国民年金第3号被保険者(厚生年金の被保険者、共済組合員の被扶養配偶者で、20歳以上60歳未満の人)であった期間中の厚生年金の年金保険料の払込記録に限られます。

少しわかりにくいですね。もう少し単純に、合意分割と3号分割の違いを説明します。

(1)合意分割

合意分割は、婚姻期間全体について厚生年金の保険料の納付記録を分割するものです。夫婦の合意または裁判によって分割割合を決定しますが、多い方の厚生年金額の2分の1が上限です。

(2)3号分割

3号分割は、平成20年4月以降の厚生年金の保険料の納付記録が分割される制度です。分割する場合に夫婦の合意は必要なく、分割割合は2分の1と定められています。

 

  妻にとっていずれの制度が有利か

(1)どちらの分割方法を選んでもいい

合意分割、3号分割のいずれを選択するかは自由です。

一般的には、3号分割ではなく、対象期間が長い合意分割を選択したほうが有利ですが、例外的に3号分割が有利になる場合もあります。

(2)婚姻期間が長い場合は結果的に併用になる

通常、結婚生活が長い夫婦は、合意分割を請求します。

実際の運用としては、年金事務所に合意分割の届出をすると、婚姻期間のうち、平成20年3月までは合意分割、平成20年4月以降は3号分割の請求があったとみなされ、2つの分割制度が併用になります。

一方で、3号分割のみを請求した場合は、平成20年4月以降についてのみ、年金分割が行われることになるので、それ以前の期間について年金分割の請求を行うためには、別途、合意分割を請求する必要があります。

(3)3号分割が有利になる場合とは

妻が被扶養配偶者であった期間が、おもに平成20年4月以降であり、婚姻期間中に被扶養配偶者でなかった時期の収入が夫よりも高額であった場合は、3号分割が有利です。

たとえば、以下の①~③の条件を備えている妻のケースです。

① 平成21年4月に婚姻し、平成23年4月に出産するまで夫婦共働き
② 共働きの時期の収入は妻の方が高額
③ 出産以降、現在に至るまでは夫の被扶養配偶者

 

  年金分割を申請する際の注意点

(1)年金が支給されないケース
①厚生年金への未加入や未納

そもそも厚生年金を分けあう制度なので、配偶者が自営業であれば対象外です。

また、当然ですが、年金保険料が未納であれば、年金は支給されません。年金保険料を支払った期間(保険料免除期間を含む)の合計が10年以上ない場合は、年金の受給資格がありません。

②請求期限切れ

年金分割は、離婚してから2年以内に請求する必要があり、期限を過ぎると制度を利用できなくなります。

(2)合意分割では合意が必要

合意分割を選択する場合の注意点があります。相手(夫)が同意してくれない可能性があるということです。3号分割は、相手の同意を要しないのに対して、合意分割は相手の協力(合意)が必要になります。

夫が同意してくれない場合は、裁判等の法的手続きによって分割することができますが、裁判は時間的にも精神的にも大きな負担となります。

(3)夫婦どちらの年収の方が高いか

年金分割制度は「夫が妻に厚生年金を分ける」制度と認識している人も多いのですが、あくまでも「夫婦間の不公平をなくす」ための制度なので、妻の年収が高ければ、妻が夫に厚生年金を分けることになります。

 
 
 

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