【離婚問題】死後離婚という選択
- 行政書士 服部祥明

- 5 日前
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「死後離婚」とは、配偶者と死別した後に、配偶者の血族(義父母や義理の兄弟姉妹)との親族の関係を終わらせる手続きのことです。
「死後離婚」は、正式な名称ではありませんが、配偶者の死後に親族の関係を終わらせることから、このように呼ばれています。
死後離婚の増加の背景
昨今、死後離婚を選択する人が増えています。
その理由としては、親族であることによる介護の負担に対する懸念や、人間関係の悪化などが挙げられます。
(1)義理の親の介護への懸念
民法では、「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け(たすけ)合わなければならない。」と定められています。
また、民法の規定とは別に、「嫁は両親の世話をするべき」という考えも根強く、夫に先立たれた妻が、義理の親の扶養や介護を強いられるのが一般的です。ところが、義理の親の介護を行っても、嫁には財産を相続する権利はなく、十分な見返りを得ることができません。
このような事情から、死後離婚によって義理の親と縁を切りたいという人が増えています。
(2)義理の親や兄弟姉妹との関係の悪化
親族間の人間関係の悪化によって死後離婚を選ぶ人も増えています。
義理の親や兄弟姉妹との仲を取り持つはずの配偶者が亡くなってしまうと、将来にわたって親族の関係を続けることが不安になります。そのほか、そもそも夫婦の仲が悪かったものの、さまざまな事情から離婚できなかったケースも考えられます。
死後離婚のメリットとデメリット
(1)死後離婚のメリット
①義理の親の扶養や介護についての心配がなくなる
死後離婚をすれば、義理の親の扶養や介護の心配をしなくてすみます。「生活費を入れてほしい」「介護を手伝ってほしい」といった要求に応える必要もなくなります。
②義理の親との同居を解消できる
死後離婚によって親族関係を終了させれば、義理の親との同居を解消できます。
③冠婚葬祭の負担がなくなる
一般的に、夫婦が死別したときは、残された配偶者がお墓や仏壇などを管理や法事を行います。死後離婚をすれば、これらの負担がなくなります。自身の死後に、義理の親と同じお墓に入ることもありません。葬祭のほか、冠婚行事の参加も不要になります。
④夫婦関係に区切りをつけられる
死後離婚は、配偶者と離婚する手続きではありません。しかし、亡くなった配偶者の親族との関係を終わらせることで、夫婦関係に区切りをつける効果があります。
(2)死後離婚のデメリット
①死後離婚は取り消せない
死後離婚は、一度行うと取り消すことができません。かりに、何らかの事情で配偶者の血族との親族関係を復活させたい場合は、養子縁組をするしか方法はありません。
②義理の親に頼れなくなる
死後離婚をすると、義理の親の扶養についての心配はなくなりますが、義理の親に頼ることもできなくなります。
義理の親に子どもの面倒を見てもらったり、経済的な援助を受けることは期待できません。同居を解消すれば、新たな住まいも探さなければなりません。
③自身のお墓を準備しなければならない
死後離婚のメリットとして、葬祭関係の負担がなくなりますが、自分が亡くなった後のお墓については別途準備しなければなりません。
④子どもとの関係が悪くなる場合がある
死後離婚によって子どもとの関係が悪くなる場合があります。義理の親との関係を断ち切りたいと思うのは、あくまでも親の都合であり、子どもにとっては、親戚との関係断絶について、親とは異なる感情があるかもしれません。
死後離婚の注意点
死後離婚をするためには、市区町村役場に「姻族関係終了届」を提出します。配偶者の一方が、自分の意思だけで、姻族関係(配偶者の両親や兄弟姉妹)を終わらせることができます。
(1)死後離婚の事実はいずれわかってしまう
死後離婚は、自分一人だけで手続きができます。役所から配偶者の親族への通知もないので、あえて伝えなければすぐにはわからないかもしれません。
死後離婚すると、戸籍には「姻族関係終了」と記載されます。何らかのタイミングで親族に戸籍を見られたときに、死後離婚の手続きをしたことがわかってしまいます。
無断で親族の関係を断たれたと知れば、配偶者の親族としては面白くないはずです。あらかじめ義理の親や兄弟姉妹に断ったうえで、死後離婚の手続きをするのが円満な形です。
(2)配偶者の戸籍から抜けて旧姓に戻すためには復氏届が必要
死後離婚をすると、配偶者の親族との関係は終了しますが、戸籍は変わらず、引き続き配偶者と同じ戸籍に入っている状態になります。
配偶者の戸籍から抜けて旧姓に戻したい場合は、市区町村役場に「復氏(ふくうじ)届」の提出が必要です。復氏届を提出すると、婚姻前の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作ることができます。なお、復氏届によって戸籍を分離できるのは届け出をした本人だけで、子どもの姓と戸籍を変えることはできません。子供を自分の戸籍に入れたい場合は、「子の氏の変更許可申立書」で家庭裁判所の許可を受けて、市区町村役場に「入籍届」を提出する必要があります。





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