【離婚問題】離婚時の不動産の財産分与について
- 行政書士 服部祥明

- 5月13日
- 読了時間: 6分

夫婦が離婚する際には、不動産も財産分与の対象になるので、その不動産の価値(評価額)を確認する必要があります。不動産の評価額には、いくつかの指標があり、どれが正しいというものはないのが悩ましいところです。
財産分与とは
財産分与は、離婚の際に、結婚生活を通じて夫婦が協力して築いてきた資産(共有財産)を分け合い、精算を行う手続きです。
財産分与の割合は、実務上いろいろなケースがありますが、基本的には2分の1ずつとされています。
(1)特有財産とは
夫婦の財産には、「共有財産」とは別に、「特有財産」という概念があります。
夫婦が協力して築いたものではなく、夫婦それぞれが有する独立した財産のことで、財産分与の対象になりません。そのため、離婚手続きにおいては、ある財産が特有財産として認められるかどうかが、重要なポイントとなります。
●結婚前に個人で購入したり貯めた財産
●親から相続した財産
(2)財産分与の基準日
財産分与する際には基準日を設定します。基準日は、実務上、別居時とすることが多く、別居をした日に夫婦が持っていた財産が財産分与の対象となるという考え方に依っています。
不動産と財産分与の基本
離婚時の所有不動産が特有財産か共有財産かの基準は以下の通りです。
(1)結婚前に取得した不動産
結婚前に、不動産の購入費用の全額を支払い終えていた場合(所有者が配偶者である場合)は、その不動産は特有財産になります。
一方、結婚前に購入した不動産であっても、結婚後もローンの支払いを継続していた場合は、その全てが特有財産とはなりません。具体的には、結婚前に支払った額と、結婚後に支払ったローンの金額を比べて、結婚前に支払った分の割合で特有財産が認められることになります。
(2)親からもらった不動産
親から贈与を受けたり、相続で引き継いだ不動産については、その不動産は特有財産となって、財産分与の対象から除外されます。
(3)購入時に親が費用の一部を支払ってくれた不動産
結婚する際に、親が子どもの自宅の頭金の一部を支援するケースがあります。
その場合は、親からの支援部分が贈与(特有財産)として認められます。結婚後に支払いがあった場合や、ローン支払いがある場合は、共有財産になります。
(4)不動産の名義の問題
財産分与の対象は、「夫婦二人で築き上げた財産」なので、不動産の名義が夫単独であったとしても、財産分与の対象外かどうかは別の問題です。
たとえば、夫と妻で、登記簿上の持分割合が、(7:3)の場合でも、財産分与する場合は、(5:5)になるのが基本です。
財産分与の際の不動産の価値の決め方
大前提として、不動産評価額の計算方法については、法律上の明確な規定はなく、実勢価格、固定資産税・相続税の評価額、不動産鑑定評価額などを参考にして、夫婦間の話し合いによって決めていきます。
(1)合意があればそれが優先される
不動産に限らず、財産分与の対象財産の価値については、当事者間の合意があれば、その分割内容で決めます。当事者がそれで納得しているので問題はありません。
(2)不動産にはいくつかの評価額がある
不動産の評価額によって合意形成をすすめますが、不動産の評価額についてはいくつか種類があります。代表的な指標を紹介します。
●固定資産評価額
固定資産評価額は、毎年4月ごろに送られてくる固定資産税通知書に記載されている不動産の評価額です。感覚的には時価(市場取引額)の50~70%であることが多いです。
●路線価
路線価は、相続税を計算するための指標です。時価の60~70%というイメージです。
インターネットでは路線図が公開されています。なお、路線価は土地についての価格なので、建物の価格には対応していません。したがって、土地は路線価、建物は固定資産評価額で算出する選択もあります。
●時価
基本的には時価を採用するケースが多いでしょう。
固定資産評価額や路線価は、実勢価格よりも低い評価になるので、財産分与する際に、わざわざ低い評価を採用する理由はないともいえます。したがって、市場価値がない不動産(山林や農地など)以外は、時価で評価するのが一般的です。
時価を知るためには、複数の不動産会社に査定を依頼して確認します。査定金額にかなり差が生じるケースもありますが、どの値を選択するのかについては、中間点をとる、最多な値をとるなど、方法はさまざまです。あくまでも夫婦間の話し合いによります。
厳密に価格を決めるためには、不動産鑑定を利用する選択もありますが、かなり高額な費用がかかります。収益物件や評価の難しい物件ならともかく、自宅など普通の物件にはあまり利用されていません。
住宅ローンの問題
財産分与する際に難しいのは、住宅ローンが残った不動産をどうするかという問題です。
(1)不動産を売却する
離婚後、不動産を売却し、ローン債務を支払った残額を財産分与する方法が考えられます。
①不動産価格がローン等より多い場合(アンダーローン)
不動産を売却し、ローンや借金を清算した残額があれば、それを折半する方法により、財産分与する選択が考えられます。
②不動産価格がローン等より少ない場合(オーバーローン)
財産分与においては、オーバーローンとなっている財産の価値はゼロとみなすのが原則です。したがって、オーバーローンの場合は、住宅と住宅ローンの財産分与は行わず、ローンの名義人がローンを返済し続けることになります。
現実的には、売却せずに所有し続けることが多いでしょう。
(2)離婚後も妻が住宅に住み続ける
離婚後、ローン債務者ではない配偶者(たとえば妻)が自宅に住み続けるケースがあります。この場合の財産分与については、離婚までに支払ったローンを共有財産と仮定して、その後の所有者の利益(所有権)やローン負担などの費用と相殺するなどの方法がありますが、その算定方法については、両者の合意によります。
このとき問題になるのは、ローンの債務名義人の問題です。
①ローンの名義人を変更する場合
ローンの名義人を夫から妻に変更できるかどうかということですが、以下のケースを除いて、現実的には金融機関が認めることは難しいと考えられます。
●自宅の価値が住宅ローン残高を大きく上回っている
●妻の資力が夫と同程度かそれ以上である
●妻が資力のある保証人をつけることができる
②ローンの名義人を変更しない場合
名義変更や借り換えが難しい場合は、妻が住宅ローン分を家賃として夫に振込み、夫から金融機関に支払ってもらう方法が考えられます。
ただし、夫が金融機関への返済を怠れば、抵当権が実行されて競売になり、妻が住宅を失うリスクがあります。また、家の名義が夫である以上、妻に承諾なく、売却されてしまうリスクもあります。
なお、この方法を取るためには、あらかじめ金融機関の了承を得たほうがよいでしょう。ローンを支払う人が家に住んでいない状態は、契約違反にあたる可能性があります。





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