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【離婚問題】離婚時の夫の退職金の扱いについて

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2025年12月15日
  • 読了時間: 4分


夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産は、離婚の際には財産分割の対象になります。それでは、夫の退職金は離婚時にどのような扱いになるのでしょうか。

結論からいえば、夫の退職金は離婚時には夫婦間の財産分割の対象になります。

そこで今回は、離婚時に夫の退職金がどのように分割されるかについて、解説したいと思います。

 

  退職金は離婚時の財産分割の対象になるが

サラリーマンの夫の退職金は、婚姻期間中に夫婦が協力して形成し、維持してきた財産であると評価されるため、すでに退職金の給付を受けている場合はもちろん、将来給付される予定の退職金についても、離婚の財産分与の対象となります。

しかし、実際問題として、夫の退職金が支給前であれば、離婚時点では、金額が不確定であるばかりか、給付の有無すら不確定です。

 

  退職金の財産分与の方法

退職金が財産分与の対象になるといっても、受給する退職金の全額が分与の対象になるわけではありません。一般的な考え方としては、婚姻期間中に築いた部分に限り、財産分与の対象になると考えられます。

そのうえで、退職金の支給前における離婚のケースについて、具体的に2つの分割方法を解説します。

(1)離婚時に退職したと仮定して、支払われる退職金額を元に算出

離婚時点で勤務先を退職したと仮定し、その時点で支払われる退職金を分与財産と評価する方法で算出する方法があります。

たとえば、離婚時点で退職すると1000万円支払われる見込みで、勤続年数20年、婚姻期間10年、寄与度を2分の1とすると、退職金の分与額は250万円になります。

●1000万円×10÷20×0.5=250万円
(2)定年退職時の退職金額で評価する方法

定年退職時の退職金額で評価する場合は、将来的に受け取れる退職金を、勤務期間のうちの同居期間の割合で按分します。ただし、財産分与の支払時期を離婚時とする場合は、算出された金額が分与されるわけではなく、中間利息の控除を考慮した額に評価し直す必要があります。

中間利息の控除とは、将来受け取るお金を前払いしてもらう場合に、将来にわたって発生するはずの利息分を差し引くことです。民法上の法定利率の年3%を基準として、中間利息を控除します。

たとえば、退職金を勤務期間のうちの同居期間の割合で按分した結果、分与額が800万円と評価された場合、1年前倒しでもらうと仮定して計算すると、想定される退職金の額は、以下のようになります。

●800万円÷1.03 ≒776万円

さらに、2年前倒しでもらうと仮定すると、以下の通りです。

●800万円÷1.03÷1.03 ≒754万円

このように、前倒し期間が長くなればなるほど、実際に受け取れる額は低くなります。

(3)共働きにおける退職金の財産分与

共働き夫婦の財産分与で、夫と妻どちらも退職金を受け取る時についても、原則的なルールは変わりません。相互の退職金の同居期間に発生した分を計算し、お互いに分割することとなります。実際の運用では差し引きした金額をやりとりすることが多いです。

たとえば、夫の退職金が1000万円、妻の退職金が700万円で、どちらも2分の1の割合で分け合う場合、差し引き、夫から250万円を支払って清算します。

 

  退職金が不確定な場合は別の形での精算を模索する

退職金の分割方法について2つ紹介しましたが、合意に至らないケースは少なくありません。

サラリーマンの夫が転職する可能性がある場合や、会社の将来について未確定な場合があるからです。

退職金が出るかどうか不確定な場合に、「将来退職金が出たらその時点で退職金の一部を支払う」という旨の合意をしておくことも可能ですが、離婚した夫婦があらためて顔を突き合わせて協議するというのも、精神的な負担が大きいのではないでしょうか。

したがって、退職金の分割分(概算分)を、慰謝料や養育費への上乗せの形で合意することも検討できるところでしょう。

また、自身の力だけで財産分与の合意が難しいと感じた場合は、トラブルが拡大する前に、専門家のアドバイスを受けるようにしてください。

 
 
 

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