【離婚問題】DV夫と離婚する方法
- 行政書士 服部祥明

- 1月21日
- 読了時間: 5分

配偶者やパートナーからのDV被害で悩んでいる女性は少なくありません。
暴力を振るう夫と離婚したいと考えるのは当然のことです。どんな理由であれ、DVは許される行為ではありません。しかし、現実的には、DV夫との離婚は難しいという事情があります。
DVとはなにか
DV(ドメスティックバイオレンス)とは、配偶者や恋人など親密な関係にある人、もしくはあった人からの暴力行為のことです。
「暴力」とは、物理的な行為だけでなく、精神的な行為も含まれます。DVを規定する「DV保護法」には、「配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」と定義されています。
DVの態様はさまざまであり、「身体的DV」「精神的DV(モラハラ)」「性的DV」「経済的DV」の4つの類型があります。
(1)身体的DV
身体的DVとは、物理的な攻撃を行使するものをいい、具体的には、「殴る、蹴る」「引き倒す」「衣服を引っ張る」「髪をつかむ」「大声を出す」「物を投げつける」などの行為が挙げられます。
(2)精神的DV(モラハラ)
精神的DVとは、相手の人格を傷つける言動をいいます。
「罵倒する」「無視する」「外出や親族や友人との交流を制限する」「人前で相手を貶めるような言動をする」「子どもに相手の悪口を吹き込む」といった言動が含まれます。
日頃の家庭生活において、気持ちがふさぐ、休日が近づくと憂鬱になる、原因がはっきりしない体調不良が続くなどの症状が現れても、配偶者による精神的DVが原因であると気がつかないケースは少なくありません。
(3)性的DV
性的DVには、「性的行為を強要する」「中絶を強要する」「ポルノビデオを無理やり見せる」などの行為があります。
(4)経済的DV
経済的DVとは、生活費を渡さない行為のことです。「生活費をほとんど渡さない」「ギャンブルに没入したり浪費する」「借金をつくる」などの行為があります。
DVを理由に離婚できるか
そもそも、双方の合意があれば、理由を問わず離婚できます(協議離婚)。問題は、夫が離婚に応じない場合です。
夫が離婚に応じない場合は、家庭裁判所において離婚審判を申し立てることが可能です。審判で決着しない場合は離婚裁判に進み、夫のDV行為が、民法が規定する「婚姻を継続し難い重大な事由がある」であると認められれば、離婚が成立します。
もっとも、DVを理由とした離婚請求には困難が伴います。その理由は主に2つあります。
それは、立証の問題とDV夫の対応です。
(1)立証の問題
身体的DVや経済的DVの場合は、けがの写真や病院の診断書、借用書などがあれば、客観的に証明することが可能です。
一方で、精神的DVや性的DVは、家庭という閉じられた環境の中で行われることが多いので、たとえば、録音があれば証拠になりますが、目に見える証拠が残っていないことが多いでしょう。
したがって、裁判においては、「夫婦の関係性(力関係)」や「日常的の言動」について主張することで、DV被害を立証していくことになるでしょう。
(2)DV夫の対応
DV被害を理由とした離婚請求が、加害者(夫)に素直に受け止められるかどうかについては、あまり期待できません。
自分の非を認めず、問題をすり替えて攻撃してきたり、離婚すると子どもが可哀想などと情に訴えて復縁を求めてくるケースがあります。また、協議に応じず、調停や訴訟の期日に出頭せず、手続きを長期化させることも考えられます。
離婚が難しい場合の対応
離婚に至るプロセスとしては、協議離婚、離婚調停、離婚裁判の3段階があります。
話し合い(協議離婚)で離婚が成立しなければ、離婚調停、離婚裁判により、裁判所にゆだねることになります。
離婚調停で合意が叶わず、最終的に離婚裁判にすすむと、裁判官が判断を下します。裁判官が離婚の請求を認容して判決が確定すると、裁判離婚が成立します。ここに至るまでの金銭的負担や精神的ストレスは非常に大きなものです。
したがって、早急な離婚が難しいと判断した場合については、しばらく様子を見ることで活路が開ける場合もあります。
また、離婚話によって暴力がエスカレートするようであれば、緊急で対策を講じましょう。
(1)別居を選択する
①身体に危険を感じたとき
身体に危険を感じたときは、迷わず別居してください。
離婚を切り出したことによって、相手は逆上して、さらに暴力がエスカレートする危険が高まります。すぐに警察に相談してください。
裁判所に申立てをして、接近禁止命令を発令してもらうことも検討してください。
②離婚協議がすすまない
DVパートナーとの関係を少しでも早く断ち切りたいという気持ちは理解できますが、離婚を優先するあまり、財産分与や慰謝料、親権、養育費などの離婚条件の交渉がなおざりになることは避けたいところです。
結論がなかなか出ない場合は、夫から婚姻費用(生活費)を負担してもらって、別居する選択肢もあります。
別居によって精神的に安定した環境を得られることにより、時間をかけて離婚条件を検討し、相手方と交渉できる余裕が生まれます。その結果、良い結果を得られることもあります。
(2)弁護士に依頼する
DV加害者と一対一で話し合いを進めていくのは精神的にも負担が大きく、自分の身に危険がおよぶこともあります。
弁護士に解決を依頼して、話し合いの場への同席や、交渉を全面的に委ねることで、自分自身の精神的な負担やリスクから免れることができます。
DV夫は、配偶者が自分の支配下にあると認識していることが多いのですが、弁護士という第三者の目があることで、夫の不合理な言動を封殺し、手続きを進めやすくなります。
また、双方に弁護士がつけば、法律家同士の話し合いにより、解決はぐっと近づくはずです。





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