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【遺言】トラブルのない公正証書遺言の変更や撤回のプロセスについて解説

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2025年11月20日
  • 読了時間: 5分

更新日:2025年11月21日



家族関係を取り巻く状況や心境の変化により、遺言を撤回や変更したいと考える場合もあると思います。公正証書遺言に限らず、すべての様式の遺言書は、遺言者本人が生きている間は、いつでも何度でも作成し直すことができます。

ただし、あたらしく作成した遺言書に不備があったり、変更前の遺言書が残っていたりすると、自分が亡くなった後に遺族を混乱させたり、不要な相続争いの火種になることもあるため、内容変更は正しく行う必要があります。

そこで今回は、公正証書遺言の変更や撤回について、その方法の流れをわかりやすく解説していきます。

 

  撤回の申述、もしくは、あたらしく公正証書遺言を作成する

公正証書遺言は、署名押印した原本が公証役場で管理されています。

そのため、作成後に遺言者に手渡された公正証書遺言の正本や謄本を破棄したり、そこに変更や撤回の意思を書き加えたりしても、原本にはなんら影響を与えません。

したがって、公正証書遺言を撤回、もしくは内容を変更するためには、公証役場に連絡して、公証人に撤回の申述をするか、内容の一部変更のために、あらたに遺言書を作成する必要があります。

撤回後に、あたらしく遺言書を作成する場合については、自筆証書でも有効ですが、遺言を不備のない内容とするためには、公正証書で作成するべきでしょう。

 

  公正証書遺言の変更の手続き

公正証書遺言を変更する際には、最初に作成したときと同じく、証人2名と関係書類の提出が必要になります。最初の公正証書遺言を作成し、原本を保管している公証役場で、変更の手続きを行います。

ちなみに、最初に作成した公正証書遺言の原本も、変更や撤回の経緯を示す事実書類として、公証役場に保管されます。

●公正証書遺言の変更

公正証書遺言の変更をしたい箇所の数によって、変更の方法が変わります。具体的には「変更箇所が多いか少ないか」です。変更が完了した後は、あらたな公正証書遺言として、原本が公証役場に保管され、遺言者は正本と謄本の二通を受け取ります。

(1)変更箇所が少ない場合

変更箇所がごく限定的で、遺言のほかの部分に影響や矛盾が生じない場合は、公正証書遺言に訂正を入れます。

文字を加入する場合は、その部分に直接記入します。削除したうえで修正する場合は、修正前の内容が読めるように二重線を引き、その付近に修正文言を記載します。

それぞれの箇所に遺言書と同じ印で捺印をし、「〇字加入△字削除」と記入して、署名をして完成です。

(2)修正箇所が多い場合

修正箇所が多い場合には、「更生」や「補充」という方法があります。

更生は「更生証書」、補充は「補充証書」という公正証書をあらたに作成します。

なお、更生や補充は遺言を残すという法律行為の本体の内容を変更しない限度で認められています。

●あらたに公正証書を作成

変更箇所が多い場合や、変更内容が遺言書のほかの部分に影響を与えるような場合は、最初の公正証書遺言をすべて撤回する旨を書き添えた上で、公正証書遺言全文を書き直します。

あらたに作成する公正証書遺言には、以下の文言を添えます。

 

〇年〇月〇日

法務局所属公証人◯作成

同年第〇号遺言公正証書による遺言を全部撤回する

 

  公正証書遺言の変更や撤回をするべきケースとは

遺言者の意思や意図した結果が以下のように変化している場合は、公正証書遺言の内容を変更(もしくは撤回のうえ、あらたに作成)しましょう。

(1)相続人(または受遺者)を変えたい

婚姻関係に変化があった場合や、死亡の順番が予期せず変わってしまった場合、高齢になった自分の世話をしてくれた人に報いたい場合など、相続人を交代させたり、遺産の受取額を増減させたい場合は、公正証書遺言の内容を変更した方がいいでしょう。

(2)財産に大きな変化があった

遺言者の財産のうち、特定の不動産の価額や金融口座の額面に大きな増減があった場合は、遺言の内容が相続人の遺留分に影響する場合があります。

公正証書遺言の作成時点では、すべての相続人に対して遺留分通りの配分ができていたものが、財産の増減により、バランスが崩れてしまうことがあります。このような場合は、遺言書の大幅な変更が必要になるかもしれません。

その場合、分配方法を変えたり、公正証書遺言に記載していない別の口座を作って財産を移しておくなどの対策が考えられます。

 

  公正証書遺言を撤回するの際の注意点

遺言書を撤回する際には、以下のような注意点があります。

(1)一度撤回した遺言を再度撤回することはできない

遺言の撤回の撤回はできません。一度撤回した遺言を復活させたい場合は、再度、以前の内容と同じ遺言を作り直す必要があります。

(2)自筆証書であたらしく作成した遺言書が無効になるリスクがある

たとえば、公正証書遺言を撤回して、あらたに自筆証書遺言を作成したとき、要件を満たしていないと撤回のために作った遺言が無効になってしまうことがあります。

こういったリスクを避けるには、新たに作る遺言書は、やはり公正証書遺言の方式にする必要があります。

公正証書遺言の変更や撤回については、行政書士などの専門家にご相談ください。

 
 
 

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