【相続問題】会社を相続するということ
- 行政書士 服部祥明

- 2025年11月17日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年11月21日

会社の継承に関する相続の問題で悩みを抱えている方も多いようです。
会社を経営していた親が亡くなって、会社の経営を引き継がなければならないとか、経営者自身が高齢になったため、後継者への経営引継ぎを考えているケースもあるでしょう。
そこで今回は、会社の相続についてのこうした疑問にお答えしていきたいと思います。
会社を相続するというのは、会社の株式を相続すること
会社(法人)は、生きている人間(自然人)と同じように、独立した人格を持つものと法律で認められています。
会社の動産や不動産などの財産は会社が所有するものなので、親が社長であったとしても、親の相続の対象には含まれません。それでは、親の会社を相続するとはどういうことかといえば、それは、親が所有する会社の株式を相続するということになります。
会社の経営権を引き継ぐためにすべきこと
(1)後継者に株式を集中すること
会社の経営を引継ぐためには、後継者に会社の株式を集中的に相続させることが重要です。
できれば安定した経営支配が期待できる2/3以上の株式を取得させることが望まれます。
相続の際に、多数の親族に株式が分散してしまうと、会社の意思統一が難しくなる危険があります。親族の全員が後継者に協力的であればよいのですが、そうでなければ、オーナー間の意見の相違によって、会社が立ち行かなくなってしまうかもしれません。
すでに後継者以外の者が持っている株式が1/3以上あれば、その株式を買い取る、あるいは後継者に引き継ぐ株式以外のものを無議決権株式(決議県のない株式)に転換しておくといった対策が考えられます。
(2)経営者自身が対策することが重要
大黒柱の社長が亡くなると、会社は混乱します。
相続人間で会社の主導権をめぐるトラブルを未然に防ぐためには、現経営者自身が、会社を将来どうしていくべきかについて、強い意思を示すことが重要なポイントになるでしょう。
相続人間のトラブルを避ける対策
会社の継承というのは、すなわち「社長を誰にするか」ということであり、普通の家庭における相続とは事情が異なります。
他の相続人の納得が得られずに、遺産分割協議が紛糾するという事態を避けるためには、先代経営者の意思を親族に示すためのアピールが重要になります。
(1)遺言書を作成する
遺言書を作成しておくことは、先代経営者の考えを明確にし、会社の経営を後継者へ引き継ぐための常識的な対策といえます。
後継者以外にも相続人がある場合には、その人たちの「遺留分」に対する配慮も必要です。「遺留分」とは、一定範囲の相続人に対して法律で保障されている一定割合の相続分のことです。後継者以外の相続人に残す財産が遺留分に満たない場合は、「遺留分減殺請求」が行われ、話し合いでも解決しなければ訴訟に持ち込まれることもあります。
可能であれば、後継者に対しては会社の株式を、他の相続人に対しては株式以外の財産を、各人の遺留分を侵害しないように分け与えるのが最善の方法です。
(2)生前贈与を行う
会社の株式を生前に後継者に贈与しておく方法が生前贈与で、財産を送る人(贈与者)と受け取る人(受贈者)との契約によって成立します。
生前贈与は、書面でなく口頭でも成立しますが、後々の揉め事を避けるためには、贈与契約書を作成して、文書を残しておくことが重要です。
(3)「経営承継円滑化法」の活用
経営支配に必要な数の株式を後継者に引き継ぐために遺言や生前贈与を行っても、他の相続人の遺留分の請求によって、結果的に株式が分散してしまう可能性があります。このような事態を予防する方法として、「経営承継円滑化法」の活用があります。
この法律は、民法の遺留分に関する規定の特例を設けて、中小企業の株式が相続によって分散することを防止し、安定的な経営の継続を支援することを目的とするものです。遺留分に関する特例とは、次の二つです。
いずれも、推定相続人(相続が開始した場合に相続人となる遺留分を有する人)全員の合意を得たうえ、経済産業大臣の確認及び家庭裁判所の許可を得ることが必要です。
①除外合意
遺留分の計算の基礎となる財産の範囲に、生前に贈与された株式を含めない旨の合意です。
②固定合意
遺留分計算の基礎となる財産に含める、後継者が贈与された株式の価額を、その合意の時の額に固定しておく旨の合意です。
会社の株式の評価額が低いときにこの合意を結んでおけば、その後経営努力によって企業価値が増加しても、遺留分の計算に含める贈与株式の額は過去の低い評価額のままでよいことになります。
スムーズな会社継承を行うためのポイント
上記のような対策は、先代経営者が存命中に計画的に進めておくことが求められます。相続が開始した後では、できる対策は限られてしまうからです。
会社経営者の方には、早めに専門家にご相談のうえ、計画的に実行していくことをお勧めします。





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