【家族信託】家族信託が危険だといわれる理由
- 行政書士 服部祥明

- 2025年10月15日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年11月21日

家族信託は、老後に備えて財産の管理や運用、処分を家族に託す方法です。
通常、財産を自分の代わりに管理してもらうための方法としては、「法定成年後見」や「任意後見」といった制度がありますが、これらは裁判所での手続きや監督が必要であるというデメリットがあります。
そのため、後見人を定めることなく家族に管理してもらえる家族信託は、自分が信頼できる人に自分の財産を預けるという安心感や、後見人に支払う報酬が必要ないなど、手続き面からも、経済的負担の面からもメリットがある仕組みだといえるでしょう。
家族信託が危険?
その一方で、家族信託について調べてみると、「危険」とか「やめたほうが良い」といった意見や口コミを目にすることがあります。
実際に、法的知識が不十分なまま家族信託の契約書を作成すると、家族間で認識の相違が起こるケースを散見します。
身近な存在である家族に財産の運用を任せる制度であるために、「細かい契約をしなくても大丈夫だろう」と安易に考えた結果、トラブルに発展する可能性があることから、「家族信託は危険だ」といわれることが多いのです。
しかし、正しい手順によって契約を構築していけば、トラブルを回避することは可能です。以下に、具体的なトラブル要因と注意点をお伝えします。
不動産は損益通算ができない
損益通算とは、確定申告の際に、1年間に生じた利益から損失を相殺することができる仕組みのことです。
たとえば、信託財産となっている収益マンションやアパートを修繕した場合、必要経費が家賃収入を上回ることがあります。このように赤字が発生した場合は、給与所得や事業所得から控除を受けたり、税金の還付を受けることができます。
しかし、信託財産のアパートから赤字(損失)が出た場合には、信託財産以外の給与所得やその他事業所得から、アパートの赤字分の控除を受けることはできません。
家族に負担がかかるケースがある
信託財産をもとに年間3万円以上の収入が得られた場合、信託計算書および信託計算合計表という書類を税務署へ提出する義務が生じます。
財産を託された家族(受託者)は、このような税務申告に関する手間や負担が生じます。
親族間でトラブルが発生し不仲になることもある
家族信託では、委託者(親)が受託者(子どもなど)を1人選び、その受託者が信託財産を管理していきます。しかし、子どもが複数人いるケースでは、全員が納得する形で受託者を選出しないと、トラブルに発展し、家族が不仲になる可能性もあります。
一定期間を過ぎて信託契約が無効になってしまう
家族信託では受託者と受益者(信託財産から得た利益を受け取る権利人)を指定しますが、受託者が受益者を兼ねている状態が1年間続くと、信託契約が強制的に終了する決まりがあります。これを「1年ルール」といいます。
この決まりを知らないまま、あるいは受益者を変更することを忘れていた場合、いつの間にか家族信託が無効になっていたというケースもあり得ます。
法的知識がないまま契約書を作成するとトラブルに発展する
家族信託に関する契約書の書き方や必要書類などの書式は、インターネットでも紹介されているので、簡単に準備することができます。しかし、正しい法的知識がないままに書類を作成すると、信託契約が無効になってしまう可能性があります。そのほか、想定外の税金が請求されたり、遺留分が請求されるなどのトラブルも予見されます。
家族信託契約を結ぶ場合は、家族全員が納得するまで話し合うことが何よりも大切ですが、行政書士、司法書士や弁護士といった法律の専門家のアドバイスやサポートが欠かせません。
その際、家族信託契約書はかならず公正証書で作成するようにしましょう。





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