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家族信託が終わった後の財産はどうなるか

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 10月31日
  • 読了時間: 3分

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高齢者の認知症による資産凍結対策として、家族信託が注目されています。

その仕組みについては、まだまだ理解されていない部分もありますが、家族信託の疑問のひとつに、「家族信託で財産管理を託した委託者が死亡した場合に、信託財産はどうなるのか」というものがあります。

 

  家族信託とは

(1)家族信託の目的

家族信託は、委託者(おもに親)が財産管理の権限を信頼できる受託者(子どもなど)に事前に移し、契約内容に従って運用や処分を任せる制度です。

親の判断能力が確かなうちに契約を結んでおくことで、将来自分が認知症になったとしても、資産は凍結されることなく、日常生活に必要な支出や不動産処分などが円滑におこなえるように備えることができます。

(2)家族信託の登場者

家族信託には、委託者、受託者、受益者という三者間の関係が発生します。委託者は自らの財産を信託し、受託者はその資産を委託者の意向に基づき管理し、受益者は信託財産から利益を受け取ります。

一般的に、委託者と受益者は同一人(おもに親)になるケースが多いでしょう。しかし、親が委託者で、障害がある子を受益者とするようなケースも考えられます。

 

  家族信託の委託者死亡後に必要な手続き

「委託者と受益者が同一人」とする家族信託がほとんどなので、以下は、この形態における委託者の死亡後の手続きと注意点を解説していきます。なお、この場合、信託契約書には、「委託者死亡によって信託契約は終了する」旨の規定が盛り込んであります。

(1)受託者が清算手続きをおこなう

委託者の死亡によって家族信託は清算手続きに入ります。信託財産は、信託契約に基づき、帰属権利者へと移転されることになります。

受託者が信託財産の現状を確認し、信託に関わる債務の清算をおこないます。収益アパートがあれば、その未収入賃料や、信託口座に残っている預金を回収し、未払いの施設費用、医療費やローンの返済などがあれば支払います。

(2)清算手続後に信託財産は帰属権利者に帰属する

銀行口座は解約し、信託財産が不動産であれば、所有者移転登記をおこないます。それらの清算手続きが完了した後、信託財産は最終的に帰属権利者に帰属します。帰属権利者は、信託契約によって指定されることが一般的ですが、契約書に明記されていない場合は、法律に基づいて決定します。

全ての清算手続きが終結(清算結了)すると委託者の地位は消滅します。

 

  家族信託は遺言とセットで考える

委託者(被相続人)が死亡したとき、相続人は家族信託の終了手続きとは別に、信託財産以外の相続手続きも進めなくてはなりません。

委託者の財産すべてが信託されているとは限らないからです。

相続開始後は、財産調査および相続人調査を進め、信託財産以外の財産があるか調査をおこなう必要があります。そのうえで、信託財産以外の財産について、遺産分割協議をおこなって、相続人それぞれに相続手続きをし、取得した価額に応じて相続税の申告も進めていくことになります。

このような手続きなどによって、残された家族を混乱させないためには、委任者(被相続人)には、家族信託契約と同時に、遺言書を作成しておくことをおすすめします。

 

  家族信託作成は専門家に依頼を

家族信託は、遺言や成年後見では対応できなかった範囲をカバーする契約です。自由度が高く、オーダーメイドの契約書を構築できる反面、制度の歴史が浅く、判例も少ないので、個人の方がミスのない契約書を作成するとなると、かなりハードルが高いでしょう。

最悪の場合、契約が無効になってしまうトラブルも予見されますので、家族信託契約書および遺言書作成の際は、かならず専門の士業に依頼してください。

 
 
 

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