top of page
検索

家族信託についての4つの誤解

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 10月31日
  • 読了時間: 3分

ree

「家族信託」の話題が多く取り上げられるようになり、広く認識されるようになりました。それに伴って、様々な誤解と問題が増えてきています。今回は、家族信託に関する4つの誤解について解説します。

 

  認知症になると契約できない

信託契約は、「契約」なので、当然ですが、当事者が契約の意味や効果を正しく理解できないと、有効な契約を締結できません。そのため、「認知症と診断された親とは家族信託が組めない」という問合せは非常に多いです。

「認知症」と一口にいっても、その症状や本人の理解力、記憶力には大きな個人差があります。

もちろん判断能力が完全に欠落していれば契約を結ぶことはできませんが、自分にどんな財産があり、それを誰に管理を託して、どんなことを実現したいかという大枠の理解ができていれば、信託契約の締結ができる可能性が高くなるでしょう。

 

  信託契約は私文書で充分

信託契約は、私文書でも法的には有効ですが、原則として公正証書で作成すべきだと考えます。

家族信託は、長期にわたって親の財産管理をする仕組みであり、何十年と継続することもあり得る長期契約です。将来的に信託契約締結の経緯や意図を確認しようとしたときに、親が認知症になっている可能性は高いでしょう。

私文書の場合は、原本を紛失して法的に不安定な事態に陥るリスクがあるほか、契約意思や理解についての信憑性を疑問視されることがあるかもしれません。

私文書ではなく、信託契約公正証書を作成すれば、契約内容の信憑性や正当性を証明することができ、不要な争いを避けることができるでしょう。

 

  信託口口座がないとダメ

家族信託で信託される財産のうち、現金については、受託者は自分の口座とは別に管理しなければなりません。

この際に、金融機関で「信託口口座」を作って管理しなければならないとする解説もされていますが、地域の金融機関で信託口口座が開設できるところはほとんどないのです。そのために、家族信託が進められないという話を聞くことありますが、全くナンセンスなお話です。

信託口口座ではなく、受託者が個人口座を新規で開設(信託専用口座)し、その口座で委託者の資産を管理する事も可能です。

なお、将来的には、各地域で家族信託に対応してくれる金融機関が増えてくると思われますので、信託口口座の開設で苦労するケースは少なくなるでしょう。

 

  家族信託には専門職の「信託監督人」を置かなければならない

家族信託を実行する際には、受託者による財産管理をチェックする機能として、親族以外の第三者(法律専門職たる司法書士・弁護士等)を「信託監督人」として置かなければならないという話を聞きます。

確かに、受託者による財産管理をチェックする機能を設けるべきというのは正論ではありますが、一律に「信託監督人」を置く必然性があるとは思いません。

専門職の信託監督人には、定期的な報酬の支払も発生します。信託監督人を置くべきかどうかについては、信託財産や財産管理方針、家族の関係性などによりケースバイケースで判断すべきだと考えます。

 
 
 

コメント


bottom of page