家族信託を終了するための手続きについて
- 行政書士 服部祥明

- 10月22日
- 読了時間: 2分

信託の目的が達成された場合や、契約条件が満たされたときに家族信託は終了します。
家族信託の契約時に、信託が終了する条件をあらかじめ定めておきますが、一般的には、委託者が亡くなったときに信託は終了します。
今回は、家族信託が終了してからの手続について解説します。
家族信託終了の事由
家族信託契約を作成する際には、信託が終了する事由を具体的に設定しておくことが重要です。たとえば以下のような終了事由が考えられます。
●委託者が死亡したとき
多くの場合は、委託者の死亡を契機に信託が終了する形を取ります。
●信託の目的が達成されたとき
受益者の生活支援などを目的としている場合、その役割が終われば信託は終了します。
●委託者と受託者の合意
家族信託は契約なので、委託者と受託者の双方が合意をすれば、契約を終了することができます。
家族信託を終了するための手順
(1)精算手続き
委託者が亡くなったあとには、信託財産を相続人で分割すればいいと安易に判断されがちですが、家族信託においては、清算が終了するまで、相続手続きにすすむことはできません。
信託財産の確認をおこない、残余財産から、以下のような債務や諸費用の支払いを完了してから、残った財産を相続人に分配することができます。
●信託財産の現金化(不動産や有価証券の売却)
●信託にかかる債務や未払い費用の支払い
●税金や公共料金の支払い
(2)残余財産の分配
経費の精算を終えてから、信託財産の残余部分を帰属権利者(相続人)に分配します。
精算後の相続人間のトラブルを避けるために、残余財産をどう分配するのかについても、信託契約書に盛り込んでおくべきです。
(3)信託契約の終了
全ての精算が完了し、残余財産が帰属権利者に分配された時点で、信託の清算手続きは終了します。信託財産に不動産が含まれる場合は、所有権移転登記と信託抹消登記が必要です。
家族信託契約の注意点
家族信託の終了と清算手続きは、信託契約時に計画しておくべき事項です。
信託終了時に残余財産が円滑に分配されるよう、清算受託者や帰属権利者の指定を明確にして、信託契約に記載しておくことが重要なポイントです。
家族信託はあたらしい契約形態で、専門家もまだまだ少ないのです。したがって、ノウハウの豊富な専門家に相談して契約を作成するとよいでしょう。





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