【相続問題】死後離婚と相続について解説
- 行政書士 服部祥明

- 2025年11月11日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年11月21日

死後離婚とは、配偶者と死別した後に、配偶者の血族(義父母、義理の兄弟姉妹)との親族の関係を終わらせる手続きのことです。
配偶者の死後に親族の関係を終わらせることから、このように呼ばれていますが、正式には「姻族関係終了届」という手続きを指します。
今回は、死後離婚の具体的な手続きや注意点についてご紹介します。わかりやすいように、夫を亡くした妻の立場に立って解説していきます。
死後離婚の手続き
夫が死亡した場合、夫との婚姻関係は終了しますが、死亡した夫の両親やその兄弟姉妹との法律的関係は終了しません。
その法律的関係を終了させる手続きが、死後離婚と呼ばれるものです。死後離婚をするためには、市区町村役場に「姻族関係終了届」を提出して行います。
●死後離婚と離婚の違い
死後離婚は、生前に行う離婚とは異なります。
生前に夫と離婚すると、夫婦は他人同士になり、戸籍も分離されます。離婚したのちに元夫が死亡した場合は、元妻は遺産を相続することができません。一般的に、元夫の遺族年金を受給することもできません。
一方、死後離婚では、夫の血族との姻族関係が終了するだけで、戸籍は変わりません。
夫の遺産を相続することは可能で、一定の要件を満たせば遺族年金を受け取ることもできます。
死後離婚が注目されている理由
(1)義理の親の介護への懸念
民法によれば、「直系血族や同居の親族は、互いに助け合わなければならない」と定められています。また、特別の事情があるときは、3親等内の親族が扶養の義務を負う場合があります。
現実の家庭においては、法律の規定とは別に、「嫁は両親の世話をするべきである」という考えも根強く、未亡人となった嫁が、義理の親の扶養や介護を強いられることがあります。
しかし、嫁が義理の親の扶養や介護を行ったとしても、財産を相続する権利はありません。その結果、報われないという感情が募り、死後離婚によって義理の親との縁を切りたい気持ちが起こるのは致し方ないところかもしれません。
(2)義理の親や兄弟姉妹との関係の悪化
義理の親や兄弟姉妹との関係が良くなければ、親族でいることが煩わしいと感じるでしょう。
仲を取り持つはずの夫がいなくなってしまえば、将来にわたって親族の関係を続けることが不安になります。
このほか、そもそも夫婦仲が悪く、さまざまな事情から離婚できなかった場合は、夫の死をきっかけに区切りをつけたいと思う場合もあるでしょう。
死後離婚でどうなる
(1)子どもと配偶者の親族との血族関係は続く
死後離婚によって親族関係がなくなるのは、妻と夫の親族(親、祖父母、兄弟姉妹)であり、自分の子どもと夫の親族との血族関係は変わらず続きます。
(2)姓(名字)はどうなるか
死後離婚をしても、それだけでは妻の名字は変わりません。
旧姓に戻したい場合は、市区町村役場への「復氏届」の提出が必要です。復氏届の提出に期限はないので、夫の死亡届が受理された後であれば、いつでも提出することができます。
なお、子どもを一緒に妻の名字に変更するためには、家庭裁判所に子の氏の変更許可申し立てを行い、裁判所の許可を得る必要があります。
(3)遺産相続や遺族年金はどうなるか
前述したように、死後離婚をしても、夫の遺産相続や遺族年金の受け取りに影響はありません。
夫が存命中から年金を受給していた場合も、没後は妻が遺族年金を受給できます。
なお、夫の血族の誰かが亡くなった場合は、当然ですが、相続権を有しません。
死後離婚の手続き
(1)手続きの流れ
本籍地または住所地の市区町村役場に「姻族関係終了届」を提出します。
姻族関係終了届は、夫の死亡届が受理された後であれば、いつでも提出可能で、提出期限はありません。姻族の承諾も不要です。
(2)必要書類
死後離婚の手続きをする際には、以下の書類を準備する必要があります。
・姻族関係終了届
・戸籍全部事項証明書(本籍地で手続きする場合は不要)
・届出人の印鑑
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
市町村役場によっては、印鑑や本人確認書類などが不要なこともあります。事前に自治体のウェブサイトなどを確認しておくと安心です。
死後離婚の注意点
死後離婚によって、亡くなった夫の親族との関係を終了することが可能です。
義両親との同居を解消する口実にできるほか、将来の義両親の介護を回避できるなどのメリットがありますが。デメリットもあり得ます。
死後離婚が受理されたという通知が、役所から姻族に行くことはありませんが、いずれは知ることになるでしょう。
それによって姻族との関係が悪化することは充分考えられます。たとえば、死後離婚後に遺産相続の手続きをする場合には、混乱が予想されます。これらのトラブルの可能性についても考慮して、死後離婚の手続きをすすめるようにしましょう。





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