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【離婚問題】熟年離婚における夫の退職金の行方

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2025年11月17日
  • 読了時間: 4分

更新日:2025年11月21日



熟年離婚の場合、やはり問題になるのがお金の問題です。長年にわたって夫婦で築いてきた財産のほか、退職金や年金分割などの行き先が気になるところです。

今回は、離婚時における夫の退職金の分配の原則について解説していきます。

 

  熟年離婚と退職金の財産分与

熟年離婚における財産分与で問題になることが多いのが、夫の退職金の扱いについてです。

定年後に退職金を受け取っていて、既に夫婦の共有財産となっている場合はもちろん、定年前であっても、将来受け取ることが予定されている退職金についても財産分与の対象となります。

退職金は夫の固有の財産であると思われるかもしれませんが、そうではありません。

退職金が、夫が長年その会社に勤めて貢献をしたことに対する対価であるところ、その算定根拠となる勤続年数のうち、婚姻期間については、夫が滞りなく勤務を継続したことについて妻にも一定の貢献(いわゆる内助の功)があるという考え方に基づいて、退職金は離婚した夫婦間で分割されると考えられています。

 

  退職金の分割方法

財産分与の割合は、原則として2分の1です。退職金については、「婚姻期間に該当する額の2分の1」の金額を、妻は財産分与により受け取れることになります。

妻に分与されるべき退職金の金額の計算方法は、退職金がすでに支払われているのか、まだ支払われていないかによって異なります。

以下でそれぞれ見ていきましょう。

(1)退職金がすでに支払われており、離婚時に手元に残っているケース

退職金がすでに支払われている場合、離婚時に退職金が残っている分が、財産分与の対象になります。

・寄与期間割合=(婚姻期間)÷(勤務年数)
・分与対象となる金額=(支払われた退職金)×(寄与期間割合)
・妻が受け取れる退職金の金額=(分与対象となる金額)÷2

もちろん、退職金を受け取った時期がかなり前であり、離婚時に残金がなければ、財産分与の対象になりません。

(2)退職金がまだ支払われていないケース

退職金がまだ支払われていない場合も財産分与の対象になります。

①現時点で退職したと仮定して計算する方法

簡単にいうと、「今退職したら退職金はいくらになるか」というのが計算の根拠です。

・寄与期間割合=(婚姻期間)÷(勤務年数)

・分与対象となる金額=(現時点で退職した場合に支払われる退職金)×(寄与期間割合)

・財産分与で受け取れる退職金の金額=(分与対象となる金額)÷2

②定年退職時に受取予定の退職金をもとに計算する方法

定年退職時に受け取る予定の退職金から、婚姻前労働分と離婚後労働分を差し引き、中間利息を控除して、口頭弁論終結時の金額を算定する考え方もあります。

簡単にいうと、「将来受け取る退職金全体」から「今受け取る場合の利息分」を差し引き、寄与期間割合に応じた金額を対象とするということです。

・寄与期間割合=(婚姻期間)÷(勤務年数)
・分与対象となる金額=(定年時に受け取る予定の退職金-中間利息)×(寄与期間割合)
・財産分与で受け取れる退職金の金額=(分与対象となる金額)÷2

 

  熟年離婚で後悔しないために

熟年離婚の場合も、通常の離婚と同様に、離婚後の元夫婦の金銭問題が大きな課題ですが、婚姻期間が長いことから、財産分与が高額になりがちです。そのことから、合意が難航するケースも見受けられます。

若い頃の離婚に比べて、ハードルが高くなることも少なくない熟年離婚ですが、離婚してその後の人生を自分らしく生きるという選択を選ぶ以上、離婚後に後悔しないようにしなければなりません。

配偶者の退職金は、その全額が財産分与の対象になるわけではありません。婚姻期間や、退職金がすでに支払われているかどうかによっても計算方法が異なり、具体的なご事情に応じて専門的で複雑な判断が必要です。

したがって、思い付きで離婚するのではなく、法律の専門家に相談する等して、しっかりと準備をしてから離婚することが大切といえるでしょう。

 
 
 

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