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相続放棄の基本を解説

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 10月30日
  • 読了時間: 4分

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親が亡くなったあとに大きな借金が見つかった場合など、そのまま遺産を相続してしまうと、残された家族の生活に大きな負担がかかることもあり得ます。

故人のマイナスの財産を相続することによって、相続人が借金を背負うリスクから身を守る方法として、相続放棄という手続きがあります。

そこで今回は、相続放棄の判断方法やデメリット、手続きの方法など、相続放棄を検討する際に知っておきたいことをまとめました。

 

  相続放棄とはなにか

家族が亡くなったときに必ずしなければならない手続きが遺産相続です。

一般的に、遺産というと、銀行預金や不動産などのプラスの財産を想像しますが、個人が残した借金などのマイナスの遺産も相続の対象となります。もし、多額の借金が残されていれば、遺産を相続した家族は、生活を維持できなくなってしまうかもしれません。

そのような事態を避けるために、相続人が「はじめから相続人でなかった」とみなされる手続きを選択することが可能です。それが相続放棄です。

なお、相続放棄では、一部の財産だけを相続(放棄)することはできません。

 

  相続放棄をした方がいいケース

(1)プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合

銀行預金や不動産、有価証券といったプラスの財産よりも借金が大きい場合は、相続放棄すべき状況といえるでしょう。

たとえば、プラスの財産として、銀行預金が300万円あり、借金が1000万あれば、相続放棄を選択するべきだといえます。ただし、プラスの財産に不動産が含まれている場合は注意が必要です。現金化したらいくらになるか等について、精査してから判断する必要があるでしょう。

(2)被相続人の義務を相続したくない場合

被相続人の義務を相続したくない場合には、相続放棄を選択することが考えられます。

知人の連帯保証人になっているときには注意が必要です。現在は債務者からの返済が滞りなくおこなわれていても、将来のリスクについての検討が必要です。

(3)相続人間のトラブル回避のため

相続によって自宅不動産の所有権が分割してしまうのを防ぐというように、特定の相続人にスムーズに財産を相続させたい場合には、不動産を引き継ぐ相続人以外の相続人が相続放棄をするケースもあります。

 

  相続放棄をしない方がいいケース

(1)遺産の価値が値上がりする可能性がある場合

プラスの財産が現預金以外の場合は、価値判断が難しく、単純にマイナスの財産との比較ができないこともあります。たとえば、価格の上昇が見込める不動産や株式があれば、そのまま相続したほうが有利になりそうです。

(2)自宅を相続する場合

被相続人名義の先祖伝来の土地建物があり、相続人がその場所に住み続けたい場合も難しい判断となるでしょう。

 

  限定承認とはなにか

限定承認とは、マイナスの財産の方が多かった場合に、相続によって得た財産の限度において、被相続人の債務などを弁済することが認められている制度です。

たとえば、被相続人のプラスの財産が500万円で、借金が1000万円あった場合は、相続したプラスの財産と同額のマイナスの財産だけを相続すれば良く、500万円の返済で済みます。

この制度は、ある程度の返済が発生しても、自宅不動産を相続したいケースのほか、被相続人の財産がプラスになるか、マイナスになるか正確にわからないケースにも活用できる点が注目ポイントです。

なお、限定承認をするためには、相続人全員が同意している必要があります。

 

  相続放棄をする際の注意点

(1)相続放棄できる期間はわずか3か月間限定

相続放棄はいつでもできるわけではありません。その期間は、自分が相続人であることを知ってから3か月以内と決められています。一般的には被相続人が亡くなってから3か月と考えておきましょう。限定承認も同じく3か月以内に申告する必要があります。

(2)期間延長は可能か

被相続人が亡くなってから3か月という期間は、想像以上に短いものです。期間内に判断できないときは、「相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立て」という手続きをすることで延長できる場合があります。

 

  相続放棄の手続きの流れ

相続放棄の申述人(申し立てをする人)は、相続人本人です。手続きは家庭裁判所でおこないますが、おおむね以下の流れになります。

(1)必要書類を準備する

・被相続人の相続放棄申述書、除籍謄本、住民票

・相続人の戸籍謄本

・申述書

(2)家庭裁判所で相続放棄の申述をおこなう

書類一式は、被相続人が最後に住んでいた住所地の家庭裁判所に提出します。基本的には、家庭裁判所に出向いて提出しますが、郵送も可能です。

(3)相続放棄申述受理通知書を受領する

書類を提出すると、本人の意思を確認する照会書が送付されます。それを返送したのちに審査がおこなわれます。

審査の結果、「相続放棄申述受理通知書」が届けば、手続きは完了です。

照会書を返送してから完了までの目安は、おおむね2週間ほどです。

 
 
 

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