【相続問題】財産に不動産のある場合の自筆証書遺言の失敗パターン


自筆証書遺言は、法律で定められた方式を満たしていなければ、無効になってしまいます。とくに不動産を含む相続については、専門家ならぬ一般の方にとってかなりハードルが高いものとなります。
そこで今回は、自筆証書遺言の正しい書き方jについて、失敗例をもとに学んでいきます。
不動産の表記の問題
(1)曖昧な表現
たとえば「自宅を妻に相続させる」という言いぶりでは、「自宅」がどの不動産を指すのかが特定できません。不動産の相続登記では、登記簿謄本に記載されている通りの正確な表示が必要です。家族の中では「自宅」で通じても、第三者には通用しません。
(2)住所で不動産を特定してしまったケース
「私が所有する名古屋市西区甲町3丁目26番の自宅は、長男に相続させる」という内容の遺言書があったとして、この住所は登記上の住所、住民票の住所のどちらでしょうか。
不動産を特定する場合は、住民票の表記ではなく、登記簿謄本に書かれた地番と家屋番号のとおりに記載しなければなりません。
(3)建物を記載しなかったケース
自宅の相続において、土地の相続を特定していても、建物のことが書かれていない失敗ケースもあります。このような場合、土地の相続登記はできても、建物の相続登記をすることができないので、建物については別途、遺産分割協議が必要になります。
(4)割合の指定がないケース
「私が所有する名古屋市西区甲町3丁目26番の自宅は、長男と次男の二人に相続させる」という内容の文言は、大変問題があります。長男と次男に相続させる意図は伝わりますが、どれくらいの割合で相続させるのかまで、書かれてないからです。
民法の推定により、この場合は、各2分の1の登記をすれば差し支えないものと考えられますが、法務局への事前相談が必要になります。
(5)私道があったケース
土地と建物以外に、遺言者が前面道路の私道持分を所有していたケースがあります。
しかも、この私道を抜けないと公道へ出ることができない土地であれば、この私道を取得しなければ、建物の再建築や売買も認められない状況になってしまいます。
遺言書の文面の問題
(1)文章の解釈が分かれる内容
あいまいな文章はトラブルの原因になります。
たとえば、「不動産及び銀行預金を除く一切の財産を長女に相続させる」という文書の場合、解釈は2つにわかれます。
解釈①:(不動産と現金預金)を除く財産を相続させる
解釈②:不動産と(現金預金を除く財産。たとえば有価証券)を相続させる
したがって、この内容の遺言書で相続登記を申請しようとしても、法務局から「どちらの意味か特定できない」として、受理されない可能性があります。遺言書は、読点や「及び」の位置ひとつで意味が変わる可能性があり、非常に危険です。
(2)「託す」「任せる」などの文言
「この土地は長男に託す」「妻に任せる」という表現には問題があります。これでは、管理委任なのか、財産贈与なのか、意図がわかりません。基本的な表現としては、「相続させる」または「遺贈する」を使用するべきです。
公正証書遺言を推奨する理由
公正証書遺言であれば、形式ミスを含めて、このようなミスは起こりません。
公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が、本人から内容を聞き取りながら、法律に合う形で文章を作成します。専門家のチェックが入るので、遺言を書くうえで守らなければいけないルールに則った遺言書が作成されます。
ただし、一般の人がいきなり公証人役場に出向いて遺言を作成しようとしても、日々の生活があるなかで行うことはなかなか難しいので、専門家である弁護士や行政書士に相談の上、公正証書遺言を作成することをお勧めします。





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