【離婚問題】年金分割について知っておく
- 行政書士 服部祥明

- 15 時間前
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離婚する際には、夫婦が婚姻中に築いた財産を分割する手続きが行われます。
婚姻期間中に納付した年金も、夫婦の共有財産とされています。したがって、金融資産や不動産と同様に、婚姻中に納付してきた年金を分割して受け取れることができます。それが、年金分割(離婚時年金分割)です。
離婚時年金分割とは
(1)対象となるのは「厚生年金」の部分のみ
離婚時年金分割は、夫婦が離婚する際に、婚姻期間中に支払をした年金保険料に対応して、厚生年金や共済年金の婚姻期間に比例する部分を按分する制度です。
夫婦の婚姻中にはお互いが協力し合って財産形成するものですが、年金についても公平に分割すべきという考え方にもとづいて、2007年4月からこの制度が導入されました。
離婚時年金分割の対象となるのは、年金の中でも厚生年金(サラリーマンなど)と共済年金(公務員など)の部分です。国民年金や国民年金基金、厚生年金基金、確定給付企業年金や確定拠出年金は、年金分割の対象になりません。
年金分割は、婚姻期間中の年金保険料積立分が対象なので、婚姻期間が短い夫婦の場合は、分割される年金はほとんどありません。
また、夫の年金だけではなく妻の年金も対象です。夫婦の双方が会社員の場合は、夫婦それぞれの婚姻期間中に対応する年金保険料の支払いを計算して、按分することになります。
(2)分割されるのは「年金保険料の納付記録」
多く誤解されているのですが、年金分割は、将来受け取る金額を単純に半分にするものではありません。分割されるのは「年金保険料の納付記録」であり、この記録をもとに将来の年金額が計算されます。
合意分割と3号分割
年金分割には合意分割と3号分割の2種類があります。
(1)合意分割とは
合意分割とは、夫婦が合意によって行うことが必要になる年金分割で、分割の割合(按分割合)を、0.5を上限に決めることができます。夫婦が合意できない場合は、家庭裁判所に調停や審判の申し立てによります。
夫婦(代理人でも可能)が二人そろって年金事務所に出向いて請求手続きを行いますが、公正証書や審判書がある場合は、分割を受ける方が一人で手続きを行うことができます。
(2)3号分割とは
3号分割は、3号被保険者(専業主婦など)に適用される年金分割方法で、相手の了承なしに当然に分割請求できるタイプの年金分割です。
3号分割が適用されるのは、2008年4月以降の年金積立分のみで、分割割合は0.5に定められています。対象となるのは2008年4月1日以降の保険料納付実績のみです。
3号分割の対象外の期間については、合意分割を行う必要があります。
どの方法が適用されるか
(1)3号分割のみが適用されるケース
3号分割のみで年金分割できるのは、専業主婦などの3号被保険者が対象で、かつ、2008年4月以降に婚姻した夫婦や、2008年4月以降に厚生年金や共済年金に加入した夫婦に限られます。
(2)合意分割と3号分割が適用されるケース
基本的には2008年4月より前から婚姻していた夫婦が対象です。
2008年4月以降の年金積立分については、相手の同意がなくても3号分割で当然に分割することができますが、それ以前の年金積立分については、相手の同意が必要です。
年金分割の請求方法
(1)3号分割の請求方法
3号分割をする場合、相手の合意は不要で、分割を請求する側が単独で手続できます。
年金事務所に行って、3号分割の請求を申請すれば、当然に分割割合を0,5とする年金分割ができます。
(2)合意分割の請求方法
合意分割の場合、基本的には相手の合意が必要です。離婚後に相手と一緒に年金事務所に行って、必要書類を記入して提出しなければなりません。
(3)請求期間に注意
いずれの場合も、請求できる期限は,離婚が成立した日の翌日から2年間です。この期間を経過すると、原則として請求はできなくなるので注意が必要です。
年金分割の計算方法と金額の目安
(1)年金分割の計算方法
年金分割の計算方法を知るためには、年金事務所で情報提供請求を行い、「年金分割のための情報通知書」を取得しましょう。
通知書には、分割の対象となる期間や標準報酬総額などが記載されています。50歳以上の人であれば、年金分割後の見込額も知らせてもらえるので、より具体的な検討が可能です。
(計算式)
(夫の対象期間標準報酬額+妻の対象期間標準報酬額)×按分割合×給付乗率
(2)年金分割の平均値
それでは、実際にどれくらいの年金がもらえるのでしょうか。
厚生労働省のデータによると、年金分割による年間の増加額は以下の通りです。
●合意分割の場合:月額約3万円(3号分割を含む)
●3号分割の場合:月額約7千円
正直なところ、「思っていたより少ない」と感じると思いますが、。これはあくまでも統計上の平均値であり、婚姻期間や夫の収入によって大きく変わります。





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