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【相続問題】遺産分割協議のいわゆる10年ルールについて

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 12 分前
  • 読了時間: 4分

相続が発生した際に、遺産分割協議をいつまでに行ったらいいのでしょうか。

協議の期限が法律で定められているわけではありませんが、いわゆる遺産分割協議の「10年ルール」といわれるものが存在します。そのほか、相続発生後には、相続登記や相続税の申告納税についても期限が設けられています。

そこで今回は、遺産分割協議の10年ルールやそのほかの規定について、期限を過ぎた場合のリスクや、早期に対応すべき理由について解説します。

 

  遺産分割協議とは

遺産分割協議は、被相続人(亡くなった方)が遺言書を残していない場合に、相続人全員が集まり、遺産をどのように配分するかを話し合って決める手続きです。協議が有効に成立するためには、相続人全員の合意が必要です。一人でも欠けたまま行われた協議は無効です。

相続が始まると同時に、遺産は自動的に法定相続人全員の共有状態になるため、遺産分割協議が終わらない限り、不動産を売却したり、預貯金を自由に使うことはできません。

遺産分割協議は共有状態を解消し、それぞれの相続人が自分の名義で財産を受け継ぎ、あるいは処分するための重要なプロセスです。

 

  遺産分割協議はいつまでに行うのか

(1)基本的に期限はない

遺産分割協議に法的な期限はありません。極端な話、相続開始から10年、20年経っても、遺産分割協議を行うことは可能です。

しかし、現実的には、長期間放置された協議は難航します。相続人が高齢で亡くなり、さらに相続が発生すると、関係者が増え、協議のハードルは一気に上がります。相続手続きを放置してしまうと、後々の大きなトラブルにつながりやすいのです。

(2)期限があるといわれるようになった理由

それでは、なぜ「遺産分割協議には10年の期限がある」といわれるようになったのでしょうか。その背景には、いくつかの制度改正が重なったという事実があります。

2023年に施行された民法改正により、相続開始から10年経過すると、特別受益や寄与分の主張ができなくなりました。これが、いわゆる「10年ルール」の本質で、「遺産分割協議にも期限がある」という説につながったというわけです。

 

  いわゆる10年ルールの注意点

(1)遺産分割協議ができなくなるわけではない

遺産分割協議自体には法律上の期限はありません。相続開始から10年以上経過しても、相続人全員で話し合い、遺産分割を成立させることは可能です。

(2)10年を過ぎた場合の実際の影響

相続開始から10年が経過すると、特別受益や寄与分を前提とした主張ができなくなります。

たとえば、生前、被相続人に対する援助や介護の事実があったとしても、それを法的に反映させることが難しくなるのです。したがって、遺産分割は法定相続分に基づく方法が基本になります。

相続人全員が合意すれば、10年を過ぎた協議においても、法定相続分と異なる割合で遺産を分けることは可能ですが、協議がまとまらず、家庭裁判所の判断に委ねることになった場合は、裁判所は法定相続分による分割を選択するでしょう。

(3)経過措置と例外的に主張できるケース

改正民法は、相続開始から長期間が経過しているケースについて配慮しています。

改正が施行された2023年4月の時点で、すでに相続開始から10年が経過していても、直ちに特別受益や寄与分を主張できなくなるわけではなく、施行日から5年以内であれば、これらの主張が認められる経過措置が設けられています。

また、相続開始から10年が経過する前に家庭裁判所に遺産分割の申立てをしている場合など、一定の事情があれば、主張が認められることがあります。

 

  その他の手続きの申請期間との関係

遺産分割協議書のほかに、注意しておきたい手続きの期限があります。

(1)相続税申告期限との関係

相続税の申告期限は10か月です。

相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、税務署に申告し、納税まで完了させる必要があります。

ちなみに、相続税申告の要不要については、相続財産の総額が基礎控除額を超えるかどうかで判断されます。基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で、この基準を超えた場合に、相続税の申告が必要になります。

(2)相続登記義務化との関係

2024年4月に相続登記が義務化されました。

相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければならないとされています。正当な理由なく期限を過ぎた場合は、10万円以下の過料が科される可能性もあります。

遺産分割協議がまとまらず、相続登記ができないケースに備えて、「相続人申告登記」という制度が用意されています。

この制度を利用すれば、遺産分割が未了であっても、相続人であることを法務局に申告することで、いったん義務を果たした扱いになります。ただし、相続人申告登記は、あくまで暫定的な対応であり、放置したままでは、根本的な解決にはなりません。最終的には遺産分割協議を行い、正式な相続登記をする必要があります。

 
 
 

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