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【離婚問題】離婚した元夫に住所を知られないようにしたい

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2 日前
  • 読了時間: 5分

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「離婚後、子どもの戸籍をたどって、自分の住所を知られてしまうことがある」と、聞いたことがあるかもしれません。とくに、DVなどの理由で夫と離婚した女性にとって、住所を知られるのは切実な問題です。

そこで今回は、離婚後に、元夫に住所を知られないようにするための方法を解説します。

 

  戸籍とはなにか

戸籍とは、日本国籍を持つ者の出生から死亡までの身分関係が記録されたものです。

出生地や出生日のほか、婚姻、離縁、親族関係等が登録されており、公的に信用性の高い資料です。

そのため、婚姻届やパスポートの発行のほか、親族関係の証明として、相続人特定のための資料として用いられています。

戸籍は「夫婦及びこれと氏を同じくする子」をひとつの単位としています。具体的には、男女が結婚したときに、(多くの場合は)夫を筆頭者とする、あらたな戸籍が作られます。

戸籍の一番初めに記載されている人を筆頭者といいます。筆頭者の氏(姓)がその戸籍に在籍する者全員に及びます。

夫婦があらたに戸籍を作る際に、夫の姓を選択すれば、夫が筆頭者となり、妻が配偶者となって夫の姓を名乗ることになります。その後生まれてくる子も夫の姓を名乗ります。

 

  離婚後の妻子の戸籍はどうなる

離婚における戸籍変更について、夫が戸籍の筆頭者で離婚し、妻が親権をもって未成年の子どもを引き取った場合をみていきましょう。

夫婦が離婚した場合、夫の戸籍はそのままで、妻はその戸籍から抜けます(除籍)。

妻は婚姻前の戸籍に戻る(復籍)か、あたらしく戸籍を作るか、どちらかを選択します。

(1)婚姻前の戸籍に戻る

結婚前に親の戸籍に入っていた場合、妻は離婚後、親の戸籍に戻ることができます(復籍)。

その一方、子どもは、妻の戸籍には入ることができず、夫の戸籍に入った状態のままです。

先述のように戸籍は「夫婦及びこれと氏を同じくする子」をひとつの単位としているため、親、子、孫の三世代が、同一の戸籍に入ることができないのです。

(2)あたらしい戸籍を作る

離婚後にあらたに戸籍を作ることにより、妻は子どもを自分の戸籍に入れることができます。

また、戸籍を作成する際に、旧姓か婚姻時の姓(夫の姓)のどちらかを選ぶことができます。なお、夫の姓を継続して名乗る(婚氏続称)ためには、現在の姓(旧姓)によって社会生活上の不利益があると認められる場合に限るとされています。

 

  子どもを妻の戸籍に入れるためには

子どもの戸籍と親権は関連がないので、離婚時に妻が旧姓に戻っても、子どもは夫の姓のままで、子どもと妻の氏が異なれば、子どもは妻の戸籍に入ることができません。

婚氏続称制度を利用して、妻が婚姻時の姓であらたな戸籍を作ったとしても、見た目上、姓は母子で同じですが、戸籍はやはり夫のままです。

子どもを妻の戸籍に入れたい場合は、子どもの姓を変更し、その上で子どもの入籍届を提出する必要があります。

 

  戸籍附票の問題

戸籍には住所は記載されていませんが、「戸籍附票」には、その戸籍が作られてから現在までの住民票があった住所が記載されています。

戸籍附票は、本籍地の市区町村で戸籍の原本と一緒に保管されていて、その人の配偶者・父母などが交付請求できます。つまり、夫は子どもの戸籍附票を入手することができるのです。

(1)妻子の転居情報がわかってしまう

子どもが夫の戸籍に入っていれば、こどもの戸籍附票を確認することによって、夫は容易に居場所を特定できます。子どもが妻と一緒に複数回転居していた場合でも、戸籍附票には、過去から現在までの住所がすべて記載されているのです。

(2)妻の再婚がわかってしまう

妻が再婚した場合には、子どもの戸籍附票に、妻の再婚後の住所、再婚相手の氏名が記載されます。

 

  元夫に住所を知られないようにする手順

(1)各届出の手順

夫に住所を知られないようにするために、以下の手順に従って、住所と戸籍を移動しましょう。

●離婚届を提出してから住民票を異動する

すでに引っ越しを完了している場合も、住所移転の届出の前に、離婚届を提出しましょう。

●離婚届に記入する本籍地は新住所とは違うものにする

戸籍の附票には本籍地の異動履歴が残ります。

本籍地を新住所と同じにしていると、戸籍の附票から住所が知られてしまうので、別の住所を記入するようにしましょう。本籍地は日本国内であればどこでも構いません。

●新住所に住民票を移動させる

転居する新住所に住民票を変更します。

(2)閲覧制限をかけられる場合もある

子どもが妻と同じ戸籍に入っている場合には、戸籍の閲覧、交付制限をかけておくことができる可能性があります。

戸籍の附票は、戸籍に記録されている者、その配偶者、直系尊属(両親や祖父母など)、直系卑属であれば請求できると規定されています。

子どもがいる場合には、離婚したとしても元配偶者は自分の子どもの戸籍を請求することができるため、子どもの戸籍を閲覧することができてしまうのです。

そこでそのようなことを防ぐために、以下の条件があれば、住民基本台帳、住民票、戸籍の閲覧・取得制限という制度が設けられています。

・配偶者から暴力を受けていた場合
・配偶者からストーカー行為を受けていた場合
・児童虐待行為の被害者の場合

閲覧・交付制限は、住民票や戸籍がある市区町村が対応してるため、必要があると感じている場合は相談してみてください。


  離婚時の戸籍で悩んだときは専門家に相談を

離婚後に子どもの戸籍をどうするかという問題は、元夫婦の将来だけでなく、子どもの心や成長にも大きく関わる重大なものです。

離婚後の戸籍について、どの選択が正しいのか、不安を感じる方も多いでしょう。手続きについても曖昧な理解のまま、進めてしまうことは珍しくありません。

今回紹介した、元夫に住所を知られたくないという事情がある場合のほか、戸籍が子どもに与える影響を現実的な見地から判断するためにも、離婚を決める前に専門家に相談しましょう。

 
 
 

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