【離婚問題】離婚協議書を作らないで離婚するとどうなるか
- 行政書士 服部祥明

- 2 日前
- 読了時間: 3分

夫婦が離婚する場合には、さまざまな条件を取り決めます。
親権者の取り決め、養育費や面会交流のほか、財産分与や慰謝料などの支払い条件に関する取り決めはその後の生活に非常に大きな影響を与えることになります。
離婚に関する取り決めを口約束だけで進めることも可能ですが、約束が破られるリスクを考慮する必要があります。
夫婦間のさまざまな争い
(1)養育費についての争い
養育費は、離婚後、子どもが成人するまでの期間、一方に支払い義務があります。
離婚時に金額などの取り決めがされていない場合は、再度話し合いによる合意が必要です。合意ができなければ、家庭裁判所での「養育費調停」に発展する場合があります。
(2)財産分与についての争い
財産分与について取り決めがなくても、離婚後も2年間は、財産分与請求が可能です。
支払う側とすれば、財産分与額を確定するために、「婚姻期間中にどういった財産が形成されたか」を証明する必要があり、古い資料の取り寄せに手間がかかります。
(3)慰謝料請求
離婚時、慰謝料について取り決めていなかった場合には、一方から慰謝料請求が行われる可能性もあります。たとえば一方が不倫していたとき、暴力を振るっていたときケースでは、被害者は離婚後3年間、慰謝料を請求できます。。
また、話し合いで合意できなければ、「慰謝料請求訴訟」を申し立てられる場合があります。
(4)面会交流についての争い
面会交流は、子どもが成人するまで要求できます。当事者間で合意できない場合は、家庭裁判所で面会交流調停を申し立てて取り決めます。
離婚後に子どもを巻き込んだ争いを発生させないために、離婚時に離婚協議書を作成して面会交流の方法を明らかにしておきましょう。
(5)年金分割調停
離婚時に年金分割(合意分割)について定めていない場合、離婚後2年間であれば年期分割請求が可能です。話し合いで解決できない場合、家庭裁判所で「年金分割調停」を行って解決を目指します。
年金分割の手続きをするためには、元夫婦がそろって年金事務所に足を運ぶ必要があります。そのような手間をかけないためにも、離婚時に離婚協議書を作成して年金分割方法を定めておきましょう。
離婚協議書は公正証書で
今回紹介した争いの例というのは、逆にいえば、離婚協議において、これらの決め事をしておくことが重要だということです。
その際に、「言った言わない」の争いを避けるためには、口約束ではなく、離婚協議書を作成することをおすすめします。
当事者間で作成した離婚協議書であっても、契約書として有効です。この場合、約束が守られていれば問題はありません。
しかし、離婚協議書で養育費や慰謝料を支払うことを約束した側が、約束に反して支給を怠った場合に、強制力を発揮する契約でなければ、離婚協議書を作成した意味がありません。
このようなことを考えると、離婚協議書は強制力のある公正証書で作成するべきだと考えます。作成の際には、行政書士などの専門家に書面を作成してもらうという選択が有力になるでしょう。





コメント