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【相続問題】事故物件を相続してしまったら

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

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過去に不幸な出来事が起きた事故物件には、様々な懸念が付きまといます。

通常の不動産を相続したケースと異なり、事故物件の相続は相続人に与える影響が大きく、精神的にも経済的にも、相続人の負担になることは間違いありません。

そこで今回は、事故物件を相続することなった場合の対応策を、いくつか紹介します。

 

  事故物件とはなにか

事故物件とは、物件内で過去に亡くなった人がいる不動産のことです。もっとも、明確な定義があるわけではなく、事故物件を直接定めた法律もありません。

自殺や殺人事件のほか、孤独死で発見が遅れるなどして特殊清掃が必要となったケースなども含まれ、亡くなり方によって、物件に与える影響度(不動産の価値)は異なります。

事故物件の相続についての多くは。親族が孤独死したケースが該当するのではないでしょうか。

 

  事故物件の処分は難しい

事故物件に住みたいと思う買主は少ないので、不動産の価値は大きく下がります。

それにとどまらず、買い手が全くつかず売却ができなくなる恐れがあります。

しかし、物件が売れないからといって、そのまま放置しておくわけにもいきません。

所有していれば固定資産税を負担しなければならず、建物は老朽化していきます。やがて台風や地震などの自然災害による倒壊の危険も出てくるでしょう。

 

  相続放棄する

相続人の負担をなくす方法として、相続放棄があります。

相続放棄とは、相続人が、遺産を一切承継しないという選択をすることです。相続を放棄した人は初めから法定相続人でなかったとして扱われます。

一例として、借金やローンなどのマイナスの財産が、預貯金や不動産といったプラスの財産を大きく上回っているケースなどで選択されます。事故物件を相続したくない相続人が、相続放棄を選択することも考えられます。

(1)相続放棄はすべての財産の放棄となる

相続放棄の効力は、被相続人(亡くなった人)の財産のすべてに及びます。

要するに、事故物件だけを相続放棄することはできないということです。また、相続放棄すると、撤回できないことにも注意が必要です。

(2)相続放棄には申請期限がある

相続放棄は、相続の開始があったことを知ってから3か月以内に手続きをしなければなりません。

期間は非常に短いので、すぐに財産調査をして手続きをしないと、期限に間に合わなくなってしまいます。

(3)相続財産の管理責任が残る

相続放棄をすると、相続人は被相続人の財産を引き継ぐ必要はなくなりますが、次順位の相続人が確定するまで、もしくは、相続財産管理人が選任されるまで、事故物件を管理する責任があります。

 

  運用益が見込める事故物件は相続する

賃貸物件として今後も収益を見込める場合や、あるいは事業化できる物件であれば、相続する価値はあります。

賃貸管理を請け負う不動産会社や事業会社に相談してみましょう。

事故物件の運用については、たとえば以下のような方法が考えられます。

・家賃を下げて賃貸物件にする
・トランクルームにする
・整地して駐車場にする
・コインランドリーにする

事業化に目途がついたところで、あらためて売却することを検討してもいいでしょう。

 

  事故物件専門の不動産業者に売却する

事故物件を相続してしまった場合は、事故物件を専門的に扱っている不動産業者に買い取ってもらう方法も有力です。

(1)手続きや心理的負担を軽減できる

不動産業者に事故物件を買取してもらう場合は、基本的に現況での引渡しとなります。

本来であれば、リフォーム工事や測量、建物解体工事などが必要で、売主には費用も時間も相当かかりますが、これらを含めて不動産会社に引き渡すことが可能です。

当然ながら、その分、買取価格も安くなります。それでも、相続人が自ら負担すべき手間を、不動産会社が負ってくれるとなれば、大きなメリットではないでしょうか。

(2)契約不適合責任を丸投げできる

不動産を売却する場合、売主は「契約不適合責任」という責任を負います。

不動産に欠陥があった場合に、契約で定めた一定期間、売主が責任を負う規定ですが、不動産業者が買取るケースでは、この責任規定が免除されます。プロである不動産業者は瑕疵等を調査し、事故物件であることを承知のうえで購入するからです。

事故物件の場合は、どのような欠陥が出てくるか想像がつきません。

責任規定を免除されるのであれば、買取業者による買取は、売主にとって大きなメリットになるはずです。

 
 
 

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