【内容証明】内容証明を無視されたらどうすればいいか
- 行政書士 服部祥明

- 2 日前
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内容証明郵便は日本郵便株式会社が行っているサービスで、裁判などの法的手段へ入る前段階で使われる文書送付手段です。
ただし、内容証明郵便が届いても、これを受け取る義務はありません。そのため、受取りを拒否することも可能です。受け取っていないので内容は伝わりません。また、内容証明郵便を無視しても、ただちに財産を差し押さえられるわけではありません。
それでは、内容証明を受け取り拒否されたり、無視されたときにはどうすればいいのでしょうか。
内容証明郵便の基本と効力
内容証明は、郵送物の内容を郵便局が証明してくれる郵便です。内容証明郵便を受け取った人は、郵送物の存在や内容を知らないとは言えなくなります。
内容証明郵便を無視されても、即座に相手方に支払義務などが生じるわけではありませんが、正当な理由がない受け取り拒否は、法的に「到達した」とみなされ意思表示の効果が及ぶ可能性があります。
なお、内容証明の受け取り拒否対策には、特定記録郵便の同時送付が有効です。
ポストに投函されるため、相手は受け取りを拒否できません。差出を記録する特定記録、配達を証明する配達証明、本人への手渡しを確実にする本人限定受取と、目的によって使い分けましょう。
(1)裁判の証拠として利用できる
内容証明郵便は、主張の裏付けとして証拠資料に活用できます。裁判では自らの主張を立証する必要があり、内容証明郵便は裁判で立証する際の証拠を残すうえで有用です。
(2)請求日や通知日を明確に残せる
期日が決まっていない金銭支払いにおいて、支払いが行われなかった場合の遅延損害金を受け取るためには、請求した事実と請求日付が必要です。
内容証明郵便を利用すれば、請求事実と請求日付が、裁判においても証拠になり、遅延損害金の受け取り条件を満たすことができます。
(3)時効の完成猶予を設けられる
金銭債権には、時効があります。内容証明郵便を利用して支払いを催告すれば、時効の完成を6か月間猶予できます。
ただし、この猶予期間内に、訴訟や支払督促などの法的手続きに移行しなければ、時効が完成してしまうため、注意が必要です。
(4)契約解除や債権譲渡などの通知として利用できる
●契約解除
契約解除や相殺、債権譲渡といった重要な法律行為の通知の際に、内容証明郵便が有効です。
これらの意思表示は、相手方に到達した時点から法的な効力が生じます。配達証明付き内容証明郵便で送付すれば、「いつ、どのような内容の通知が相手に届いたか」を公的な証拠として残すことができます。
●債権譲渡
債権譲渡の通知については注意が必要です。
債権を譲り受けた事実を債務者以外の第三者に対抗するためには、「確定日付のある証書」による通知が求められますが、内容証明郵便はその証明とはなりません。
内容証明郵便を無視、受け取り拒否された場合の影響
(1)即座に法的義務が生じるわけではない
内容証明郵便は判決ではないので、相手が無視してもただちに強制執行はできません。
ただし、請求や解除などの意思表示が相手に到達すれば、遅延損害金の起算や契約解除の効力発生などに影響します。また、受け取り拒否されても、配達証明によってその日付に到達したとみなされる可能性があります。
(2)請求権が時効で消滅するリスクがある
慰謝料請求権などの債権には消滅時効が適用されます。
そのため、内容証明が無視されたまま放置されると、請求する権利が消滅してしまうリスクがあります。
時効によって請求権を失う前に、支払督促、少額訴訟、通常訴訟といった次手となる法的手続きへの移行を検討しましょう。
内容証明郵便を無視、受け取り拒否された場合の対処法
内容証明郵便を無視された場合は、次の段階にすすみます。
(1)支払督促を行う
金銭支払いの督促で内容証明郵便を送付した場合の次の一手として、支払催促という方法があります。
裁判所からの支払督促は手続きが簡易で、早い段階で支払督促をしてくれます。ただし、相手側が支払督促に異議を申し立てると、民事訴訟に移行しますので、その点には注意してください。
(2)少額訴訟を起こす
請求額が60万円以下の金銭トラブルでは、少額訴訟を起こしましょう。
原則1回審理で判決が出るため迅速ですが、相手方の希望で通常訴訟に移行するケースもあります。勝訴した場合に回収できるか、費用対効果が見合うかについて、予め検討しましょう。
(3)民事訴訟を起こす
請求額が60万円を超える場合は、民事訴訟を提起します。
少額訴訟と異なり、書面準備の手間や費用、時間もかかります。労力を無駄にしないためにも、相手の財産を仮差押えする保全手続きも視野に入れましょう。
訴訟提起には時効を更新するメリットもありますが、専門知識が不可欠なので、弁護士に相談してから進めましょう。
(4)強制執行
訴訟で勝訴判決を得ても相手が支払わない場合、最終手段として強制執行を申し立て、相手の預金口座や勤務先、所有不動産の所在など相手の財産を差し押さえます。
財産を特定できる情報が不明であれば、差押えはできません。その場合は、裁判所の「財産開示手続」や、金融機関・市町村などから情報を得る「第三者からの情報取得手続」を利用して、財産を調査し、判明した預金や給与、不動産などを対象に差押えを行い、強制的に債権を回収します。





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