【内容証明】内容証明郵便が脅迫と受け取られないために
- 行政書士 服部祥明

- 1 日前
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内容証明には、「事と次第によっては裁判に訴える」という差出人の強い決意を示す効果があり、相手に対して強烈な心理的プレッシャーをかけることができます。つまり、相手方を威嚇する「宣戦布告」という意味があるのです。
このような強烈なメッセージを与えることができる内容証明は諸刃の剣でもあり、相手に脅迫と受け取られるリスクがあります。不適切な請求や強烈な表現を用いると、脅迫罪や強要罪に問われる可能性があるため、根拠を明確にし、合理的な表現を心掛ける必要があります。
脅迫になる可能性のある表現
(1)生命や身体に危害を加える告知
「慰謝料を支払わないと殺す」といった過激な内容や,「家族に危害を加える」など,人の生命や身体に危害を加える内容については、脅迫罪が成立する可能性があります。
(2)名誉を害する告知
「裁判をしてさらし者にしてやる」「会社にバラす」といった類の、人の名誉を害する内容については,脅迫罪が成立する可能性があります。
(3)財産への害悪の告知
「慰謝料を支払わなければ家を燃やしてやる」,「金銭的に追い詰める」といった内容の通知は,財産への害悪の告知として,脅迫罪が成立する可能性があります。
(4)親族への慰謝料請求
たとえば、不倫慰謝料は,不倫をした配偶者と不倫相手に対して請求することができますが,それ以外の人(たとえば家族)に対して請求することはできません。不倫相手に対して、「慰謝料を支払わなければ,両親から取り立てる」といった内容の通知を行うと,脅迫にあたる可能性があります。
脅迫と受け取られない方法
(1)具体的な事実関係を記載する
いつ、どこで、誰が、何をしたのかを明確にし、その結果、どのような損害や精神的苦痛が発生したのかを、具体的に記述する必要があります。「あなたの発言によって精神的苦痛を受けたので謝罪してください」といった抽象的な表現では、発言の中身がわからず、請求の正当性が伝わりません。
(2)法的根拠を明示する
不法行為責任や名誉毀損など、関連する法律を示すことによって、請求の正当性を裏付けることができます。
(3)脅迫や強要と受け取られない表現を選ぶ
「謝罪しなければ社会的に公表する」、「会社や取引先にバラす」といった表現は、脅迫罪や強要罪に該当します。「告訴する」「刑事事件にする」などの表現は、脅迫罪に問われる可能性があるので、「法的手続きを検討する」、「弁護士と相談のうえ対応を検討する」といった抑制的な表現にとどめましょう。
そのほか、「3日以内に返答せよ」など、過度に短い期限を設けると、相手に不当な圧力をかけていると判断されかねないので、注意しましょう。
(4)勤務先に送ることは避けたい
相手の住所がわからないなど、特段の理由がなければ、相手の勤務先に個人的なトラブルに関する内容証明を送るべきではありません。やむなく勤務先に送る場合については、以下のリスクを考慮してください。
①名誉毀損や業務妨害の可能性がある
内容証明を相手の勤務先に送った結果、職場の上司や同僚が内容を知ることになると、相手の社会的信用を損なうかもしれません。この事実が、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」(刑法230条)と判断されれば、名誉毀損罪が成立する恐れがあります。
②相手の憎悪の気持ちを呼び起こす可能性がある
個人的な借金、プライベートなトラブルに関する通知を会社宛に送ることは、相手に過剰な圧力と受け取られる可能性があります。不要に相手の感情を逆なでして、憎悪の気持ちを呼び起こす危険があります。
(5)職場への送付が許容されるケース
相手が職務上行った不正行為(パワハラ、セクハラなど)に関するものであれば、会社の適切な部署(人事部、法務部)宛に送ることが妥当な場合もあります。また、法人や団体の代表者に対する請求であれば、会社宛への送付は適切です。
内容証明郵便はスタートに過ぎない
内容証明郵便は、不倫やハラスメント、ストーカー行為に対する損害賠償、貸金返済請求やクーリング等への対処の有力な第一手です。相手に対する心理的プレッシャーを与えつつ、裁判に発展した際の証拠を残す効果があり、示談交渉や訴訟のための布石になります。
その一方で、多くの場合は、内容証明だけでそれらの問題が解決するとは限りません。重要なのは、その先に法律上の手続きが必要になる可能性があることです。その覚悟をもって内容証明を送ることが重要です。





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