【相続問題】相続財産の調査方法
- 佐伯流星 TT
- 11 分前
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相続財産調査は、被相続人の財産内容を把握するために必要な調査です。遺産分割や相続税申告の根拠となるため、スピード感をもって正確に行わなければなりません。
相続財産調査とは
相続が発生すると、「どんな財産がいくらあるのか」を把握したうえで、様々な相続手続きを進める必要があります。
相続財産には、相続開始時に被相続人が所有していた不動産や預貯金などのプラスの財産だけではなく、借金や未払金などのマイナスの財産も含まれます。
相続財産調査を行うべき3つの理由
(1)単純承認や相続放棄の判断をするため
相続財産調査を行うべき理由のひとつは、単純承認するのか、相続放棄するのかを判断するためです。
単純承認とは遺産相続を承認することで、相続放棄とは被相続人の遺産を相続する権利を放棄する手続きのことです。プラスよりもマイナスの財産が多い場合に相続放棄を選択すれば、初めから相続人ではなかったとみなされ、債務を相続する義務はなくなります。
相続放棄するためには、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述をする必要があります。なお、単純承認する場合には、特別な手続きは不要です。
(2)遺産分割協議をスムーズに行うため
相続財産調査を行うべき2つ目の理由は、遺産分割協議をスムーズに行うためです。
遺言書がなく、法定相続人が2名以上いる場合には、相続人全員で相続財産をどのように相続するのかを決める話し合い(遺産分割協議)を行います。遺産分割協議が成立したことを立証するための資料として、遺産分割協議書を作成します。
相続財産の計上漏れがあると、遺産分割協議をやり直す必要があるため、その前提として相続財産を把握する必然性があるわけです。
(3)相続税の申告を正確に行うため
相続財産調査を行うべき3つ目の理由は、相続税の申告を正確にするためです。
正しい相続財産の総額がわからなければ、相続税の申告義務の要否判定はできません。仮に相続税申告をした後に相続財産の計上漏れが発覚すると、修正申告をしなくてはならなくなります。
財産の種類別相続財産の調査方法
(1)預貯金の調査方法
預貯金の調査をする際には、以下の資料を探し、該当する金融機関に必要書類を提出して残高証明書の発行を依頼します。
①金融機関の各種資料
●金融機関の通帳やキャッシュカード
●金融機関からの郵便物やノベルティグッズ
●口座開設時の書類等
②預貯金口座付番制度の活用
相続時預貯金口座照会制度(預貯金口座付番制度)を利用すれば、1つの金融機関の窓口を通じて、被相続人がマイナンバーを登録していた銀行口座を一括照会できます。ただし、被相続人がマイナンバーを登録していない銀行口座や、一部の金融機関は対象外です。
(2)不動産の調査方法
①各種資料
相続財産である不動産については、以下の資料を探してみましょう。
●固定資産税の納税通知書
●登記済権利証(登記識別情報)
上記資料の情報をもとに、法務局に登記事項証明書の発行を申請します。
資料が見つからない場合は、市町村役場で「名寄帳」を取得して、被相続人が所有していた不動産の詳細を確認することができます。ただし、名寄帳には、申請する市町村役場の該当エリアしか記載されていないので、不動産が複数の市町村にある場合はそれぞれ取得する必要があります。
②所有不動産記録証明制度
所有不動産記録証明制度は、登記記録にもとづいて、特定の人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧で確認できる制度です。特定の市区町村に限定されることなく、法務局が全国の登記情報を検索してくれます。
証明書に記載されるのは、登記簿に記録されている所有権の情報に限られます。従って、未登記の建物や検索条件が登記記録と一致しない場合は、該当する不動産が抽出されないこともあります。制度の性質を理解したうえで、名寄帳など、他の調査方法と併せて活用することが重要です。
(3)有価証券の調査方法
①各種資料
上場株式や国債、投資信託など有価証券の調査では、以下の資料を探して、被相続人が預託している証券会社に問い合わせます。
●取引明細書、年間取引報告書
●株主総会に関する郵便物
②ほふりの活用
預託している証券会社が不明であれば、証券保管振替機構(通称:ほふり)に登録済加入者情報の開示請求をすれば、被相続人が預託していた証券会社を調べられます。
ただし、開示される資料は、証券会社名だけなので、保有銘柄などの詳細は、各証券会社に問い合わせをする必要があります。
(4)デジタル遺産の調査方法
デジタル技術の発展によって登場した仮想通貨やNFTなどのデジタル資産は、全容がわかりづらく、申告漏れなどのトラブルが発生しやすい資産です。最近は電子マネーの普及もすすんでいます。これらの資産はパソコンやスマホで取引されているので、履歴情報を調べていきます。
●スマホやパソコン、タブレット端末(仮想通貨関連のアプリを確認)
●受信メールや郵便物
●確定申告書(雑所得として仮想通貨の利益を申告していないか)
●預貯金口座の入出金明細
取引所にアカウントがある場合は、相続人であることを証明して残高照会や相続手続を行うことが可能です。しかし、そもそも秘密鍵やパスワードがわからなければアクセスすること自体ができません。非常に悩ましい問題ですが、パスワードや契約内容の管理など、被相続人の生前の準備がない場合は、トラブルの原因になります。
(5)負債の調査方法
負債の調査については、銀行や消費者金融、クレジットカード会社など、借入先を特定して、借入金残高証明書の発行を依頼します。
●借用書や金銭消費貸借契約書
●借入先からの郵便物、
●請求書や督促状
●預金通帳の取引履歴
被相続人がどこからお金を借りているかわからない場合は、信用情報機関に信用情報の開示請求を行いましょう。借入先の業種によって加盟している信用情報機関が異なりますが、「全国銀行個人信用情報センター」「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」「日本信用情報機構(JICC)」に問い合わせをすれば、ほとんどの借入先が判明します。
なお、一般的に住宅ローンは、「団体信用生命保険」の加入が条件となっています。被相続人が住宅ローンを組んでいた場合は、保険の請求手続きを忘れずに行ってください。
相続財産調査をスムーズに進めるために
(1)相続財産の情報はどこに残されているか
相続財産調査をする際は、被相続人が貴重品を保管していた場所に見当をつけて、重点的にチェックしていきます。各種資料のほか、財産情報が記載されているエンディングノートや自筆証書遺言が見つかることもあります。
(2)相続財産調査の順番を意識する
不動産は資料を収集した後の評価額の計算には時間がかかるので、なるべく早い段階で始めましょう。また、相続放棄は相続開始から3か月以内の期限が定められているので、隠れた負債がある可能性がある場合は、最優先で調査をすすめていきます。
(3)財産目録を作成する
財産目録は、相続財産の詳細を一覧に整理してまとめた書類です。財産目録があれば財産状況を把握しやすくなるため、遺産分割協議を進めやすくなり、相続税額の計算時にも役立ちます。





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