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【内容証明】残業代が支払わない会社に対抗する手段

執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
行政書士 服部祥明
11 分前
読了時間: 5分

会社で働いている人にとって、残業代は大きな問題です。「残業代が支払われない」という悩みを抱えているケースも少なくありません。

直接の話し合いによって、会社が残業代の支払いに応じてくれればいいのですが、交渉が決裂したり、すでに退職した場合には、どのような対抗手段があるでしょうか。

 

  残業代についての考え方

「残業代」は、法定の労働時間を超えて働いた場合に支払われる割増賃金のことです。労働基準法には、原則として1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないと定められています(法定労働時間という)。

法定労働時間を超えた時間外労働や、法定休日に働いた場合(休日労働)には、会社は残業代(割増賃金)を支払う義務があります。

 

  36協定の概要について

(1)36協定とは

36協定(さぶろくきょうてい)とは、「時間外・休日労働に関する協定届」のことで、会社が労働者に法定労働時間を超えて残業や休日出勤をさせるために必要な労使協定です。

会社と労働者の代表(労働組合等)が残業可能な時間や条件(協定)を締結し、所轄の労働基準監督署へ届け出ることで、法定時間を超える残業や休日労働を適法におこなえるようになります。36協定がない状態で従業員に残業や休日労働をさせると労働基準法違反となり、会社には罰則が科されます。

(2)36協定の注意点

ただし、36協定があれば無制限に残業させてよいというわけではなく、残業時間については、原則として月45時間、年360時間までの上限が定められています。なお、臨時的な特別条項がある場合は、月100時間、年720時間(回数は1年で6回以内)まで、上限を緩和することが認められています。

なお、36協定はあくまでも労働時間規制の適用を定めたものに過ぎません。残業代の支払い義務は会社に課せられています。

 

  残業代が未払いになる典型的なケースとは

本来支払われるべき残業代が支払われない「サービス残業」は、労働基準法違反です。たとえば次のようなケースがあります。

(1)タイムカードを押させてから残業させる

「定時にタイムカードを打刻しろ」と指示して、退勤記録上は定時で帰ったことにさせたうえで、実際には仕事を続けさせる悪質な手口は、もちろん違法です。

(2)みなし残業代制度の悪用

あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含める「固定残業代(みなし残業代)」制度は認められていますが、この制度を悪用して、みなし時間を超えて残業しても追加の残業代を支払わないケースは違法です。みなし時間を超えた残業に対しては、会社は別途残業代を支払う必要があります。

(3)名ばかり管理職

肩書だけを管理職にして、残業代を支払わないケースもあります。部長や課長といった肩書を与えても、実質的には権限や待遇が一般社員と変わらなければ、「名ばかり管理職」にあたり、会社は残業代を支払う義務があります。

 

  未払残業代請求の流れ

残業代が未払いとなっている場合には、適切な手順を踏めば、過去の残業代に遡って取り戻すことが可能です。一般的な請求の流れと留意点は以下の通りです。

(1)証拠の収集

実際に残業した事実を示す証拠をできるだけ集めます。タイムカードや出勤記録のコピー、業務日報や残業指示のメールなどは重要な証拠になります。

(2)未払い残業代の計算

集めた証拠をもとに、未払いとなっている残業代を計算します。

●残業代の基本計算式 :(時間あたりの賃金×残業時間×割増率)

残業代を計算する際には、会社独自の労働規定や、早朝深夜、休日出勤などの加算も考慮します。

(3)会社への支払い請求

残業の証拠や未払い残業代の額が判明したところで、会社に対して支払いを求めます。

その際には、まずは内容証明郵便を使って請求通知を送付する方法が一般的です。通知書には未払い残業代の金額と計算根拠を示して、支払期限を明記します。それとあわせて、管轄の労働基準監督署に相談する方法も有効です。労基署が会社に是正勧告や指導をおこない、残業代の支払いを促してくれる場合もあります。

 

  内容証明郵便を活用すべき理由

内容証明には以下のような効果があります。

(1)3年の消滅時効があるから

請求する際には期限があります。実際の残業から3年が経過すると消滅時効となり、未払い残業代を請求できなくなるので注意が必要です。

(2)時効の完成を6か月猶予させることが可能

残業代請求の消滅時効は、内容証明郵便を送付(催告)することによって、時効の完成を6か月停止させることができます。ただし、内容証明郵便によって催告をおこなっても、延長された6か月の間にアクションを起こさなければ、結局、時効は完成してしまいます。

したがって、その間に、訴訟を提起するなど、「裁判上の請求」をおこなう必要があります。

(3)訴訟の際の証拠になる

形式上、催告は口頭でも有効とされているのですが、それを証明することができなければいけません。そのため、実際の運用については、文書によって証明する必要があります。

なかでも、内容証明は非常に有効です。内容証明は、「いつ、いかなる内容の文書が誰から誰宛てに差し出されたか」を郵便局が証明してくれるので、裁判上の証拠として扱うことができます。また、時効の起算点を示す重要な証拠にもなります。

(4)支払いに応じない場合は法的手続へ

内容証明で請求しても会社が残業代の支払いに応じない場合は、最終的には法的手段に訴えることになります。裁判所に訴訟を提起して未払い残業代の支払いを求める、もしくは、労働審判を利用し、判決で会社に支払いが命じられれば、強制執行などの手段で回収を図ることが可能です。

 
 
 

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