【内容証明】相手の職場に内容証明を送ることの是非について
- 行政書士 服部祥明

- 11 分前
- 読了時間: 3分

勤務先に内容証明を送ること自体は違法ではありませんが、名誉毀損やプライバシー侵害などのリスクが高く、準備を怠ると思わぬ反撃を呼び込むことがあるので、慎重な判断が求められます。
相手の職場に内容証明を送る事情
(1)相手の自宅の住所がわからない
たとえば、「配偶者の不倫相手に慰謝料を請求したいが、住所がわからない」「勤務先しかわからない」といった事情が考えられます。
(2)相手へのプレッシャー
職場に内容証明が届くと、受け取った側は、「会社にバレるのでは」という恐怖が先に立つため、返答や支払いを促す効果が期待できます。ただし、これはメリットと同時にトラブル化のリスクと表裏一体です。
(3)不在や受取拒否を回避する
自宅の不在率が高い、もしくは受取拒否の可能性がある相手に対して、勤務先住所への送付を選択することで、受取可能性が高くなります。
相手の職場に内容証明を送った場合のリスク
勤務先への内容証明送付には、重大なリスクが伴います。
郵便の表書きから、内容証明の中身が明らかになるわけではありませんが、会社に届いた郵便を受け取った従業員に不審に思われて詮索されたり、社内で噂になるなど、想定外の影響が生まれる可能性があります。
その結果、相手方から名誉毀損やプライバシー侵害を理由に、損害賠償請求されるリスクがあるでしょう。
相手の職場に内容証明を送る際の注意点
(1)本人の自宅住所がわからない場合に限定する
勤務先への内容証明の送付は、自宅住所が不明であるときに限定します。
可能であれば、相手本人に住所を教えてもらい、そこに送るようにします。具体的には、電話やメールで「郵便物を送りたいので、住所を教えてほしい」と正直に伝えます。こちらに主張すべき権利がある以上、悪びれる必要はありません。
相手がこれを拒否した場合に初めて、勤務先への送付が正当化されます。手順を踏むことによって、後々相手から「なぜ勤務先に送ったのか」と追及された際に、「やむを得ず勤務先に送付した」という合理的な弁明が可能になります。
(2)文書の内容に留意する
内容証明は、社会通念上正当と認められる範囲に限定しなければなりません。表現方法や内容には細心の注意が必要です。感情に流されず、法的権利の行使として節度を保った内容にすることが重要です。
相手を侮辱するような表現や事実と異なる誇張された記載、相手の職場での地位や評判を意図的に貶めるような記述は厳禁です。
(3)送り方の配慮
①本人以外が開封しないよう親展と書き添える
勤務先へ文書を送付する際には、封筒の記載方法や受取方法にも配慮が必要です。
まず、本人以外が開封しないように「親展」と書き添えることは必須です。
②本人限定受取郵便の利用
本人限定受取郵便とは、郵便物に記載された名宛人または差出人が指定した代人だけに郵便物を渡すサービスです。受け取り時に本人確認が必要となるため、第三者が受け取って開封するリスクが低くなります。
(4)士業の名義で送ることでリスクが減る
弁護士や行政書士などの士業名義で内容証明を送付することには、複数のメリットがあります。相手にプレッシャーを与える効果に加えて、個人的な恨みや感情的な問題ではなく、法的な権利行使であることを明確に示すことができます。
社内で受け取った職員も、「法的な手続きの一環」として理解して、個人的な詮索や憶測を避ける傾向があります。また、相手方も「無視したら裁判になるのではないか」との危機感を抱くことで、真摯に対応する可能性も高くなります。
職場への郵送に限らず、自宅への内容証明の郵送の際にもぜひ活用してほしいと思います。





コメント