top of page
検索

【相続問題】事実婚のパートナーに財産を残す方法

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2025年12月22日
  • 読了時間: 5分


事実婚とは、法律上の婚姻手続きを行わず、同じ戸籍に入らない状態で夫婦と同等の関係を持った状態のことです。

事実婚について、明確な法律上の規定があるわけではありません。多くの場面において、法律上の配偶者に準ずる存在として扱われていますが、相続の場面においては、法律上の配偶者と大きな差があるため、注意が必要です。

 

  事実婚のパートナーには、遺産を相続する権利はない

遺産相続の権利があるのは、法定相続人に限られています。

法定相続人は、法律上のパートナーである配偶者と、子ども、直尊属、兄弟姉妹のみが該当し、事実婚のパートナーは該当しません。したがって、事実婚のパートナーには、原則、遺産を相続する権利がありません。

 

  事実婚パートナーに財産を残す方法

法定相続人ではない事実婚パートナーに財産を残すためには、以下の方法があります。

(1)生前贈与を行う

生前贈与を行うことで、事実婚のパートナーに財産を渡すことができます。

(生前)贈与は、本人と受贈者(財産をもらう人)との血縁関係があるかどうかに関わらず、行うことが可能です。なお、複数回にわたって贈与することも可能で、年間110万円までの贈与であれば、贈与税も発生しません。

(2)遺言書を遺す

遺言書を遺すことで、事実婚のパートナーに財産を渡すことができます。

遺言書に、「事実婚のパートナーに遺産を遺す」という旨を記載し、その遺言が有効であれば、相続発生時にパートナーに遺産を渡すことができます。

なお、法定相続人の遺留分を侵害する内容の遺言書は、トラブルの元になります。法定相続人がいる場合は、遺言書を作成する段階で、遺留分を侵害しないように配慮する必要があります。

(3)生命保険の受取人にする

事実婚のパートナーを生命保険の受取人にすることにより、財産を渡すことができます。

一般的に生命保険の受取人にすることができるのは、配偶者または2親等以内の親族(子ども、兄弟姉妹、祖父母、孫)です。しかし、以下の2つの条件がそろえば、生命保険会社によっては事実婚のパートナーを受取人に指定できます。

・お互いに戸籍上の配偶者がいない
・生命保険会社所定の期間、同居人として生計を一にしている

ただし、事実婚のパートナーが受け取った死亡保険金には、相続税における生命保険の非課税枠を適用できないため、全額相続税の課税対象となる点には注意が必要です。

(4)特別縁故者の手続きをする

特別縁故者とは、被相続人(亡くなった人)に法定相続人がいない場合に、特別に被相続人の財産を取得できる人のことです。

家庭裁判所に「特別縁故者の申し立て」を行い、裁判所が相当と認めた場合に限り、特別縁故者として認められます。

事実婚のパートナーが特別縁故者と認められる可能性が十分にあります。ただし、受け取れる遺産額は裁判所が決定した金額に限られ、遺産の全額を受けれるわけではないので注意が必要です。

(5)婚姻する

当然ですが、婚姻して配偶者になることで、事実婚のパートナーは法律上のパートナーになり、財産を渡すことができます。婚姻して配偶者となれば、問題は全て解決します。


  父親が認知した子どもには相続する権利がある

事実婚カップルの間に生まれた子は、父親が認知していた場合、遺産を相続する権利があります。

しかし、認知がされていなければ、血縁関係があることが明らかであったとしても、遺産を相続する権利はありません。

 

  事実婚のパートナーに財産を渡す場合の注意点

(1)相続税が2割加算される

事実婚のパートナーが、遺言書による遺贈などによって遺産を受け取った場合は、相続税が2割加算されます。

(2)配偶者控除は適用されない

配偶者控除とは、相続税の「(法律上の)配偶者の税額軽減」の特例により、1億6000万円または、法定相続分相当額のうち、どちらか多い方までは相続税の課税対象としないという制度です。

事実婚のパートナーには配偶者控除は適用されません。

(3)障害者の税額控除は適用されない

障害者の税額控除は、相続人が障害者と認められている場合、85歳に到達するまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)が相続税から控除される制度です。

事実婚のパートナーは相続人ではないため、障害者であったとしても、障害者控除は適用されません。

(4)小規模宅地等の特例が適用されない

小規模宅地等の特例とは、被相続人と共同生活を送っていた法定相続人が、その不動産を相続した場合、特例として一定の面積までの評価額を50~80%まで減額できる制度です。

小規模宅地等の特例の適用が認められているのは、法定相続人のみなので、事実婚のパートナーには適用されません。

(5)寄与分や特別寄与料が認められない

寄与分とは、相続人の財産の維持や増加に貢献した場合に、他の相続人よりも相続財産を多く分けてもらえる制度です。

具体的には、相続人の中で、被相続人の家業を無給で手伝ってきた人や、介護をしてきた人などですが、対象となるのは相続人のみです。事実婚のパートナーは相続人ではないので、寄与分は認められません。

また、特別寄与料は、寄与分の対象範囲を「被相続人の相続人ではない親族」にまで広げた制度です。被相続人の家業の手伝いや介護をしてきた「被相続人の子の配偶者」が例としてあげられます。しかし事実婚のパートナーは、親族にも当てはまらないため、特別寄与料も認められません。

 
 
 

コメント


bottom of page