【相続問題】再婚相手の連れ子と相続の問題
- 行政書士 服部祥明

- 2025年12月16日
- 読了時間: 5分
更新日:2025年12月17日

再婚家庭で相続が発生すると、相続人の関係が複雑になるケースが少なくありません。
たとえば、「離婚した前妻が引き取った子どもは相続人になるのか」「再婚相手の連れ子に相続権はあるのか」など、判断に悩むケースもあり、自分の次の世代の相続関係について、トラブルにならぬよう、正しく理解することが肝要です。
そこで今回は、再婚した妻に連れ子がいた場合の遺産相続の注意点や、相続トラブルの防止対策を紹介します。
再婚した場合のさまざまな相続問題
(1)前妻には相続権はない
離婚して婚姻関係にない前妻は配偶者ではないので、元夫の遺産の相続権はありません。
夫が再婚をしている場合は、夫が亡くなった時点で婚姻関係にあった配偶者(後妻)は相続人になります。
(2)前妻の子も後妻の子も等しく相続人になる
離婚した前妻との間の子ども(前妻が引き取った子も同じ)と、後妻との間にできた子どもは、いずれも夫と血縁関係がある子であり、相続人になります。
(3)後妻の「連れ子」は夫の相続人にならない
後妻と以前の夫との間に生まれていた子を「連れ子」と呼びます。
連れ子は、夫と血縁関係がなく、以前の夫と血縁関係があるので、夫の相続人にはならず、以前の夫の相続人になります。
(4)再婚相手の連れ子と養子縁組をすれば相続人になる
連れ子に遺産を相続するためには、ふたつの方法があります。
●養子縁組をする
●生前贈与、または遺贈(遺言で財産分割を指定する)
養子縁組の仕組み
(1)養子縁組とは
養子縁組とは、血縁関係のない人の間で法律上の親子関係を生じさせる制度です。
養子縁組により子となった人を「養子」と呼びます。養子縁組によって親になった人を「養親」、実子の親のことを「実親」と呼びます。
民法では、実子も養子も、相続人としての権利は基本的に同じです。養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。
●普通養子縁組
普通養子縁組は、養子縁組後も、養子になった者と実親との法律上の親子関係を残したまま、養親とも法律上の親子関係を結ぶ養子縁組です。
普通養子縁組で養子となった人は、同時に、実親の法律上の子でもあり続けるので、養親が亡くなった際も、実親が亡くなった際も、どちらの場合も法定相続人になります。
●特別養子縁組
特別養子縁組は、養子縁組後に、養子と実親との親子関係が消滅する養子縁組です。
実親との法律的な親子関係が消滅するため、実親の相続権はありません。
特別養子縁組は、主に、保護者がいない子どもや、実親による養育が困難な子の健全な育成を図るための制度であり、児童福祉が目的です。そのため、家庭裁判所の認定が必要であり、年齢制限などの厳しい要件が定められています。
(2)養子の人数には制限がある
民法においては、実子も養子も、法定相続分などの扱いは同じとされていますが、相続税法における相続税の計算上は、「法定相続人に含めることのできる養子」の数に制限が設けられています。
法定相続人が増えれば、基礎控除額や非課税枠が拡大して、相続税が圧縮されます。
つまり、養子を無制限に認めてしまうと、養子縁組をして非課税枠を極端に増やしたり、累進税率を引き下げる租税回避行為が可能になり、課税の不公平を招くことから、相続税の計算において、法定相続人の数に含めることができる普通養子の数が制限されています。
(相続税の計算で法定相続人に含められる養子の人数)
●被相続人に実子がいる場合⇒普通養子は1人まで
●被相続人に実子がいない場合⇒普通養子は2人まで
(※なお、特別養子については、制限はありません)
なお、この既定はあくまで「相続税の計算」においてのみ適用されるものです。
民法上の養子縁組の効力や、相続人としての地位が否定されるものではありません。
(3)「みなし実子」既定とは
普通養子の人数に制限が設けられているのは、課税の公平性が失われる可能性があるからです。逆にいえば、あきらかに節税目的ではないと考えられる養子縁組に関しては、このような制限をする必要がありません。
そこで、特別養子や、後妻の実子で夫の養子となった場合などについては、相続税の課税上は「実子」とみなされ、法定相続人に含められる養子の人数制限の対象外になります。
これを「みなし実子」といいます。
連れ子の相続で知っておくべきポイント
(1)養子縁組では代襲相続が起きる場合と起きない場合がある
「代襲相続」とは、夫の相続が起きた時点で、本来の相続人(夫の子ども)がすでに亡くなっていた場合などに、本来の相続人に子(夫の孫)がいれば、その人が本来の相続人に代わって遺産を相続することです。
養子が法定相続人の場合でも、その養子が相続開始前に亡くなっており、かつ、養子に子がいるケースでは、その子が代襲相続人になります。
ただし、養子の子が代襲相続人になるのは、養子縁組をした後に、養子の子が生まれた場合に限られます。つまり、養子縁組をする前に生まれていた養子の子がいても、その人は代襲相続人になれません。
(2)養子縁組をせずに遺贈すると相続税が20%加算される
連れ子に財産を渡すためには、養子縁組によって法定相続人にして相続をさせる方法以外に、生前贈与または遺贈により財産を渡す方法があります。
ただし、相続人以外に対する遺贈では、「相続税の2割加算」に注意が必要です。連れ子に遺贈する場合も対象になります。
再婚同士の夫婦は遺言書を残そう
夫か妻のどちらか一方だけが再婚ではなく、両方が再婚同士の場合もあります。
再婚後に生まれた子どもだけでなく、お互いの前配偶者との間の子どもがいれば、相続関係はより複雑になります。
このような場合、夫婦それぞれが生前に遺言を作成して遺産の分け方を指定しておけば、相遺産を巡って揉める余地がなくなります。
遺言には、おもな形式として自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、作成する場合は、確実性の高い公正証書遺言がおすすめです。遺言を作成する際は、一定の相続人に認められた権利である「遺留分」を侵害する内容としないように、注意してください。





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