top of page
検索

【相続問題】外国在住の相続人がいる場合の相続手続きについて

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分
ree

昨今は、相続人が海外に居住しているケースも珍しくなくなりました。

相続が発生した際に、海外在住の相続人を除いて遺産分割をすると無効になります。相続人が国内にいる場合と同様に、全員が遺産分割協議に参加しなければならないからです。

そこで今回は、海外に相続人がいる場合の遺産分割について解説します。

 

  基本的には国内在住の場合と同じ

相続人の中に海外在住者がいる場合でも、相続手続きの流れは同じです。

被相続人が亡くなった後、戸籍謄本を集めて相続人を確定させ、相続人全員で遺産分割協議を行い、その内容に基づいて各相続人が相続財産を取得します。

海外在住者がいる場合は、資料収集や相続人の間でのやり取りに時間がかかる点や、遺産分割協議書の署名や証明の形式が異なる点に注意が必要です。

(1)戸籍謄本の取得

遺産分割協議を行う前提として、相続人を調査して、確定させる手続きが必要です。

相続人の調査については、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、および各相続人の現在の戸籍謄本を用います。

海外在住の相続人が、自身で戸籍謄本を取得するためには、郵送で本籍地の役場に請求する、あるいは、一旦日本に戻って取得する必要があります。

日本に戻ることが難しい場合は、他の相続人や行政書士などの士業に、自身の戸籍謄本の取得を依頼することになります。

(2)遺産分割協議と遺産分割協議書の作成

相続人を確定させ、相続財産の調査が済んだら、相続人全員で遺産分割協議を行います。

海外在住の相続人に対しては、ビデオ会議やメールなどを用いて話し合いを進めることになります。

相続人全員が相続割合について合意に至ったら、合意の内容を記載した遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書には、基本的には相続人全員の署名と押印が必要とされています。

国内在住の相続人は実印で押印し、印鑑証明書を添付しますが、海外在住の相続人の場合、別途対応が必要となります。

 

  遺産分割協議のために必要な書類

遺産分割協議書を法的に有効なものとするためには、「印鑑証明」の提出が必要です。相続登記では不動産を相続した人の「住民票」の提出も必要です。

相続人が海外に居住し、日本の住民登録を抹消している場合は、これらの書類を準備することができないため、代わりとなるものを用意する必要があります。

(1)サイン証明(署名証明書)

海外在住の相続人は、印鑑登録制度が利用できないことがあるため、印鑑証明書の代わりとして、サイン証明(署名証明書)を用います。

遺産分割協議書を現地の在外公館(大使館、領事館)に持参し、係官の前で遺産分割協議書にサインすると、在外公館の発行する証明書が綴じ込まれ、サインが本人のものであることが証明されます。

取得したサイン証明(署名証明)は、印鑑証明と同様の効力をもつものとなります。

なお、住民票登録を残している場合には、印鑑証明書を取得することも可能です。

(2)在留証明

在留証明は住民票の代わりになるもので、サイン証明と同様に現地の在外公館で発行されます。サイン証明と同時に申請するとよいでしょう。

在留証明の発行には、以下の条件があります。

●日本国籍があること
●現地に3か月以上滞在し、居住していること

在留証明の発行を受けるためには、パスポートのほか、賃貸契約書や公共料金の請求書など滞在期間と居住地がわかるものを持参します。

領事館によっては永住ビザや現地の運転免許証(ドライバーズライセンス)でも受け付けてくれますが、事前に確認しておきましょう。

 

  日本国籍ではない相続人は宣誓供述書が必要

日本では、「相続は被相続人の本国法による」と定められているため、被相続人が日本国籍であれば、外国籍の相続人についても、日本国籍をもつ相続人と同様の資格があります。

外国籍の相続人や、国籍を海外に変更している相続人については、戸籍の代わりなる書類として宣誓供述書を準備します。

現地の在外公館に本人が出向き、公館の係員や本国の公証人の面前でその記載内容が真実であることを宣誓したうえで署名し、確かに本人の供述であることを確認した上で、宣誓認証を受け、宣誓供述書を発行してもらいます。

 

  海外に相続人がいる相続手続きは専門家に依頼してください

海外在住の相続人がいる場合でも遺産相続は可能ですが、日本国内での印鑑証明の代わりに署名証明書や在留証明書、場合によって宣誓供述書が必要になります。

これらの手続は、は現地の日本大使館や領事館で行う必要があるため、かなりの時間がかかります。

国際郵送や海外送金が必要になる場合もあり、費用がかかることを把握しておきましょう。

海外在住でも日本の相続税が課税されるケースがあるため、期限内の手続きも考慮して、専門家への相談を検討することをおすすめします。

 
 
 

コメント


bottom of page