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【相続問題】実家の古家を相続放棄した際の注意点

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2 日前
  • 読了時間: 5分


相続放棄するためには、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所への申述が必要です。

被相続人の借金の放棄のほか、都会に住む子どもが、親の残した田舎の古い実家を引き継ぎたくないという理由で、相続放棄を検討するケースも増えています。しかし、不動産の場合は、相続放棄をしたからといって、すべての義務から解放されるとは限りません。

 

  相続放棄した空家はどうなるのか

「相続放棄が裁判所に認められれば、遺産とは一切関係ない」と思い込んでいる人が非常に多いのですが、決してそんなことはありません。

たしかに、借金についてはこれ以上追及されることはありません。しかし、不動産がある場合は少し違います。これは、相続放棄における非常に大きな落とし穴です。

(1)「管理責任」とは

多くの人は、「相続放棄したら不動産を管理する必要はなくなる」と考えていると思います。しかし、法律の定めにおいて、不動産を相続放棄しても、相続財産を現に占有している者は、次の所有者が見つかるまで、自分の財産と同じように管理する必要があります。

不動産を放置したことが原因で発生したトラブルの責任は、相続放棄した人にあり、被害が発生したときは、損害賠償責任を求められる可能性もあります。

(2)相続財産を「現に占有」している者

管理責任を問われるのは、相続放棄をしたときに、相続財産を「現に占有」している者です。

「現に占有」とは、被相続人の家に同居していた等、事実上の支配、管理をしていたという意味です。

(3)不動産の管理を怠ることによるリスク

家屋が荒れ果てて、壁が倒壊したり、敷地内で誰かがケガをした場合、被害者から損害賠償を請求される可能性があります。

害虫や害獣の発生、冬場での水道の凍結や破裂などのリスクのほか、敷地内への不法投棄や放火の危険など、想定外のさまざまなリスクが存在します。

(4)いつまで管理義務を負担するか

空き家の管理義務は、現に占有している者が、その占有を他の人に引き継いだ時点で消滅します。具体的には以下のいずれかの時点で管理義務を免れることができます。

●空き家を他の人に引き継いだ時点
●空き家を相続財産清算人に引き継いだ時点

 

  相続放棄した人が管理義務から免れる方法

(1)ほかの相続人に引き継ぐ

相続放棄をした場合、次順位の相続人がいる場合には、その人に相続権が移ります。

その人が相続してくれれば、保存義務もなくなります。しかし、その人も相続放棄した場合、保存義務は、現に占有していた者に残るため、保存義務を免れることはできません。

(2)家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てる

相続財産清算人とは、誰も相続しなかった財産の管理や清算手続きを行う専門家です(通常は弁護士が選任されます)。

清算人が選任され、不動産の管理を正式に引き継いだ時点で、管理責任は消滅します。空き家であれば、まずは売却などを検討し、それが難しい場合は、土地を国庫に帰属させる手続きをとります。

 

  相続財産清算人について

(1)予納金についての課題

相続財産清算人を選任する際には、ひとつ大きなハードルがあります。

それは、選任の申立ての際に、裁判所に「予納金」を納める必要があることです。予納金は、清算人(弁護士)の報酬や、財産の管理、売却などにかかる経費を賄うためのお金です。

相続財産に現金が残っていればそこから支出されますが、不動産しかない場合は、申立人が費用を立て替える必要があります。金額は事案の複雑さによりますが、数十万円から100万円程度になるのが一般的です。予納金が準備できないと、申立ては受理されません。

(2)費用を払ってでも、清算人を選ぶべき理由

予納金は大きな負担ですが、将来的に、相続放棄した不動産が他人に損害を与えるリスクが高い場合は、清算人の選任を検討すべきでしょう。

●老朽化が激しく、倒壊の恐れがある空き家
●崖地など、災害時に危険が予想される土地
●隣地との境界トラブルを抱えている土地

予納金の負担は、将来発生するかもしれない多額の損害賠償責任を回避するための保険と考えることができます。

 

  相続放棄で失敗しないために

相続放棄の手続きに失敗したり、相続放棄したことを後悔したりする人がいます。そうならないために、次のポイントを抑えておくとよいでしょう。

(1)手続きの期限は3か月

相続放棄は、相続があったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所への申立てが必要です。期限を過ぎると自動的に相続を承認したとみなされ、借金も含めて財産を引き継ぐことになります。

(2)相続放棄は撤回できない

相続放棄の申述が家庭裁判所で受理されると、原則として撤回できません。

したがって、相続放棄後に財産が見つかったとしても、相続放棄の撤回は認められません。したがって、財産の有無を十分に確認してから手続きを行うことが重要です。

(3)遺産を勝手に処分しない

相続放棄する前に、遺産の預貯金を引き出す、家財を売るなどの行為をすると、単純承認とみなされて、相続放棄ができなくなるおそれがあります。相続放棄の手続きをした後に、相続放棄が無効になるリスクがあるため、財産の処分行為はしないようにしてください。

 

  専門業者に不動産の処分を依頼すべきケース

そもそも、その不動産を処分できるのであれば、相続放棄の必要はないでしょう。

その場合は、古家などを専門に扱う不動産会社に相談してみましょう。場合によっては、こちらから費用を支払って処分してもらうケースもありますが、処分のための費用と、清算人選任の費用と比較して、いずれが有利なのかで判断するといいでしょう。

相続放棄の時間的リミット(3か月以内)に決断する必要がありますが、有利な条件で引き取ってくれる業者があれば、売却等を選択したほうが話は早いでしょう。

 
 
 

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