【離婚問題】離婚届を提出する前に離婚協議書を作成すべき理由
- 行政書士 服部祥明

- 3 日前
- 読了時間: 4分

離婚することが決まったら、「一刻も早く離婚届を出したい!」と思う人も多いでしょう。
しかし、離婚するタイミングについては熟慮すべきです。離婚届というのは、たかだか紙切れ一枚にすぎません。しかし、一歩間違えると、権利義務がひっくり返ってしまう大きなものです。
今回は、離婚届を離婚協議書作成後に提出すべき理由と、離婚協議書を公正証書で作成すべき理由について解説します。
発作的に離婚届を提出したら困ること
(1)住民票や戸籍謄本がとれなくなる
離婚届を出すと、それまで当たり前のように取れていた元配偶者の住民票や課税証明書などの証明書が取れなくなります。
子どもがいない場合は、元配偶者の戸籍謄本も取得できません。
(2)離婚時期による有利不利
心情的には、月末に離婚届を出して、翌月初めから気持ち新たに生活をスタートしたいと思いますが、子どもがいる場合は、離婚届は月初めに出した方が有利です。
児童扶養手当や児童手当は、離婚による受給等の変更手続きが完了すると、あらたな親権者への支給は、その翌月からになります。手続きには1~2週間程度かかるので、月初めに離婚届を出して、その月の間に手続きを完了させれば、翌月からあらたな親権者が支給を受けることができます。
離婚協議書は離婚後に作成してもOKだが
結論からいうと、離婚後に離婚協議書を作成しても構いません。離婚協議書を作成する時期について、法律上の制限はないからです。
ただし、以下の理由により、離婚後の離婚協議書の作成は、あまりお薦めできません。
(1)離婚すると財産状況がわからなくなる
一般的に、離婚協議では、財産分与についての取り決めを行います。
離婚する前であれば、夫婦の財産の総枠を把握することは容易ですが、離婚して別居となれば、お互いの財産が可視化できなくなります。どこまでが婚姻中に築いた財産であるかを把握できないと、財産分与の合意が難しくなるかもしれません。
(2)財産分与の請求権は離婚後2年以内
離婚後2年以内でなければ、相手方に裁判上の財産分与請求をすることができません。慌しい日々のなかで、2年はあっという間です。
(3)相手方が言い分を変えてくるかもしれない
たとえば、離婚時に「慰謝料を〇〇円払う」、「養育費は月々〇〇円支払う」と主張していても、離婚後に相手の気持ちが変わって、主張を変えてくるかもしれません。事前の約束がウヤムヤになっても、離婚後であれば追及する手段がありません。
離婚公正証書は公正証書で
離婚協議書は、あくまでも私文書の契約書に過ぎないので、書かれてある内容について相手が約束を守らなかったとしても、差し押さえなどの強制執行をするためには、裁判上の手続きが求められます。
一方で、公文書である公正証書には、高い証明力があります。
公正証書の条項に強制執行受諾文言を入れておくと、債務者が金銭債務の支払を怠った場合には、裁判所の判決を経なくとも、直ちに強制執行手続きに移ることができます。
とくに以下のような契約内容がある場合には、非常に有効です。
(1)養育費
養育費の取り決めがある場合、公正証書は有効です。
たとえば、「◯年◯月から満20歳に達するまで、月額◯万円の支払い義務があることを認める」というように、将来にわたって、継続的に金銭が支払われる内容に関して、公正証書には担保能力があります。
万が一、相手方が養育費を支払わなければ、裁判を起こすことなく、強制執行手続きに入ることができます。相手方がサラリーマンであれば、給与を差し押さえて、勤め先の会社から直接、養育費を支払ってもらうことができます。
(2)慰謝料を分割払いで受け取る場合
慰謝料を分割支払いにする場合、途中で支給が滞るリスクがあります。
養育費の支給と同様に、給与を差し押さえて、勤め先の会社から直接、養育費を支払ってもらうことができます。
(3)年金分割
年金分割手続きをする場合、離婚後に夫婦二人がそろって、年金事務所で手続きする必要があります。
離婚後に元夫婦が会い、一緒に手続きするのは憂鬱なものです。しかし、公正証書で年金分割条項を含む離婚協議書を作成しておけば、夫婦の一方が、単独で年金事務所で年金分割手続を行うことができます。





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