【相続問題】相続した山林を処分する方法とは
- 行政書士 服部祥明

- 4 日前
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更新日:3 日前

親が亡くなったあとになってから、山林を所有していたことがわかるケースは珍しくありません。
活用方法もないし、管理が大変な山林はいらないと考える相続人は多く、実際にどのように対処すればいいのか、困り果てているケースをよく見聞きします。
そこで今回は、相続した山林の具体的な処分方法について解説します。
山林の問題点
不動産としての山林は、活用目的がなければ維持費がかかるばかりのお荷物ですが、早く処分したいと思っても、時間や労力がかかります。
(1)山林の名義が何世代も前のまま放置されている
これまで、山林相続の登記は義務ではなかったため、名義人が何世代も前のまま放置されているケースが珍しくありません。
現在は、相続登記が義務化されているため、過去の未登記分までさかのぼって名義を整える必要があります。古い戸籍をたどって過去の相続人まで確定する必要があるため、作業が膨大になります。
(2)活用が難しく管理コストがかかる
太陽光発電やキャンプ場などの事業展開が考えられる土地もありますが、多くの山林は活用が難しいのが現実です。
山林の所有者には、その土地を管理する義務があります。維持管理にはコストがかかります。また、崖崩れや落石、倒木によって一般の人に怪我を負わせてしまうと、山林の所有者の管理責任として、損害賠償責任を負わなければなりません。
(3)売却したくても買い手がつかない
山林を売りたくても買い手が見つからず、そのまま塩漬け状態になってしまうこともよくあります。
境界が不明確であれば測量する必要があり、測量費用や境界確認の費用が発生します。測量をしないままでいると、売却や譲渡ができません。
いらない山林の処分方法
山林を処分するためには時間もかかるので、粘り強く交渉する必要があります。また、ある程度の出費を覚悟する必要もあると考えます。
(1)近隣の山林所有者などへの売却
近隣の山林所有者への売却は、一番交渉がスムーズで、あまり費用がかからずに手放すことができる手段です。
法務局で公図を取得して、隣地の山林の登記簿を取得し、所有者に手紙を出してみましょう。買い取りの意思があれば、売買条件を提示してみましょう。
そのほか、林業事業者への売却や森林組合の斡旋を検討しましょう。
一般の不動産仲介会社はほとんど山林の売買は扱っていないので、山林専門の不動産業者に仲介を依頼しましょう。あるいは、林業事業者や森林組合に相談してみたところ、引き取り先が見つかったという話も聞きます。
(2)「相続土地国庫帰属制度」を利用する
2023年にスタートした「相続土地国庫帰属制度」を活用して、不要な土地を国に引き渡し、管理を任せることが可能になりました。
この制度を利用すれば、固定資産税の負担や管理義務を解消できますが、無条件で引き取ってもらえるわけではなく、高いハードルをクリアしなければいけません
①相続人が相続した不動産であること
②崖地や境界不明など、管理に著しい支障がある土地は不許可
相続人以外の人が遺言書の内容により不要土地を取得したケース(遺贈)は、国庫帰属の承認申請はできません。
③審査手数料…一筆あたり14000円
④管理費用(負担金)…原則20万円(森林や急傾斜地などは管理コストの上乗せあり)
なお、申請して承認されなかった場合も、申請時に支払った審査手数料は返還されません。
(3)無償譲渡
買い手が見つからない場合は、無償譲渡を選択する手段もあります。
引き取り料金を支払って、専門事業者に譲渡する方法のほか、マッチングサービスを提供しているNPO法人や森林バンクを利用する選択もあります。ただし、無償提供の場合も、測量費用や名義変更手数料は、山林の所有者負担とするケースが多いようです。
(4)相続放棄
一般論としては、よい引き取り手があれば、無償であっても早めに手放すのが最善の解決法です。そのような方法がとれない場合に、相続放棄を検討することになります。
相続放棄すれば、山林を相続せずに済みますが、山林を含むすべての財産も放棄することになります。
また、相続放棄の手続きは被相続人の死亡を知った日から3か月以内に行わなければならず、期限を過ぎると原則として放棄はできなくなります。
土地の管理責任の問題
多くの人は、「相続を放棄した山林の管理はしなくてもよい」と考えていると思いますが、そうではありません。
相続を放棄しても、次の所有者が見つかるまで、自分の財産のように手入れや管理をする必要があるのです。山林を放置することによって発生した、がけ崩れや不法投棄といったトラブルは相続放棄した人の責任であり、損害賠償責任を求められる可能性があるのです。
そこで、免責を受けるために家庭裁判所に対して「相続財産管理人」の選任手続きを行います。相続財産清算人が選任されれば、ようやく山林の管理・保存義務から解放されます。
相続財産清算人には、相続財産を管理するためにかかる費用を「予納金」として納めます。
金額は事例により異なりますが、数十万円から100万円程度になるケースもあります。
したがって、相続放棄を選択した場合でも、相続財産管理人の費用まで考えると、かなり高額になることがあるのです。





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