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【相続問題】尊厳死問題と公正証書の活用について

yyy770
11 分前
読了時間: 4分

「尊厳死」とは、現在の医学では回復の見込みがなく、死期が迫っている末期状態の人が、死期を延ばすだけの延命措置を求めず、人間として自然な形で死を迎える選択のことです。

近年は、尊厳死の意思を事前に示しておく手段として、「尊厳死宣言公正証書」が注目されています。

 

  尊厳死宣言書とは

「尊厳死宣言」とは、本人が自らの考えで延命措置を中止し、尊厳死を希望する旨等の宣言のことです。宣言の方法は法律で規定されておらず、主に2つの方法が用いられています。

①公証役場で尊厳死宣言の公正証書を作成する
②本人が尊厳死宣言書を作成し、日本尊厳死協会に加入して宣言書を預ける
(1)尊厳死宣言公正証書

尊厳死宣言公正証書は、疾病が医学的に回復の見込みがなく、死期が迫っていると医師によって診断された場合に、「延命を目的とした治療はおこなわず、苦痛を和らげる処置を優先してほしい」という意思を、公証人の面前で表明し、それを証明する公的な書類(公正証書)として作成するものです。

医療現場では本人の意思を示す重要な資料として扱われますが、日本では尊厳死を直接認める法律がないので、尊厳死宣言公正証書に絶対的な法的拘束力があるわけではありません。

(2)尊厳死宣言書を日本尊厳死協会に預ける方法

日本尊厳死協会は、本人の意思を尊重した終末期医療と、それに携わる医師の免責を保障する法制化に取り組む組織です。入会希望者が、尊厳死の宣言書を協会に送付すると、協会が宣言書を保管し、会員証と原本証明済みの宣言書の控えが渡されるという扱いになっています。

 

  尊厳死宣言公正証書を作成するメリット

尊厳死宣言公正証書を作成する主なメリットには以下のようなものがあります。

(1)本人の意思の明確化

最大のメリットは、自分の意思を明確に示すことができることです。公証人が確認した意思表示は、私的な文書よりも信頼性が高く、医療現場においても「本人の真意」として尊重される可能性が高まります。

(2)家族の精神的・経済的負担の軽減

延命治療には高額な医療費がかかることもあり、家族にとって思い経済的負担となります。尊厳死宣言公正証書があれば、家族が「延命治療を続けるべきかどうか」という苦しい決断を迫られる負担から軽減されます。

(3)医療従事者の判断基準となる
公正証書は、患者本人の意思を確認できる貴重な材料となります。日本医師会の調査等によれば、明確な本人の意思表示があれば、医療従事者の多くはそれを尊重する傾向にあるようです。
(4)身寄りがない人の意思表示手段になる

家族がいない独身者にとって、公正証書は自分の意思を医療現場に伝える重要な手段になります。代弁者の家族がいないケースでは、公的な文書で自分の意思を残しておくことは大きな意味を持ちます。

 

  尊厳死宣言公正証書の限界と課題

尊厳死宣言公正証書には、以下のような限界や課題があることも理解しておく必要があります。

(1)法的拘束力の限界

日本には尊厳死を直接規定する法律がないため、医療現場でかならずその通りに対応がされるという保証はありません。医療機関によって、「延命治療」の解釈が異なることも考えられます。

(2)時間経過による課題

公正証書の作成から時間が経過すると、「現在も同じ意思を持っているのか」という疑問が生じる場合があります。そのほか、医療技術の進歩によって、公正証書の作成時には想定していなかった治療選択肢が登場することもありうるでしょう。

(3)意思能力を失った後は更新できない

認知症などで意思能力を失うと、公正証書は作成できません。尊厳死宣言公正証書を作成したのち、さまざまな要因によって事情が変わっても、意思能力がある段階でないと公正証書の作り直しはできません。

(4)医療現場での理解の違い

医療機関や医師によって、尊厳死宣言公正証書への理解度や対応方針には差があります。過剰な延命治療に当たるかどうかについては、医療現場によって判断が異なります。

 

  尊厳死宣言を含むトータルの人生設計

(1)任意後見制度や遺言書との併用

将来的に自分が認知症や障害を負った場合に備えて、あらかじめ任意後見人を選任して、委任する事務の内容を公正証書による契約書で定めておくことができます(任意後見契約)。

任意後見契約の中には、尊厳死宣言を含めることはできません。したがって、将来的な不安に対しては、尊厳死の宣言書面とは別途、任意後見契約を作成する必要があります。

また、遺言書についても同様に、尊厳死に関する条項を記載する事はできないので、遺言書と尊厳死宣言公正証書を併用する必要があります。

(2)状況の変化による見直しや情報の共有

法的拘束力の限界や時間経過による状況の変化もありうるため、一度公正証書を作成するにとどまらず、都度見直しをする必要があります。何よりも大切なのは、自分の価値観や希望について、家族や信頼できる人と共有することだと思います。

 
 
 

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