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【相続問題】自筆証書遺言の検認が不要となる法務局の保管制度

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 1月15日
  • 読了時間: 5分


代表的な遺言書の方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言がありますが、最も多く用いられているのが「自筆証書遺言」です。名前の通り、自分で書いて作成する遺言書です。

自筆証書遺言は紙一枚とペンがあれば作成できるため、費用がかからないというメリットがありますが、内容に不備があった場合は、遺言書としての効力が発揮できないリスクも持ち合わせています。

また、自筆証書遺言のネックになるのが「検認」という仕組みです。今回は、検認の仕組みの紹介と、検認が不要になる、法務局による保管制度を紹介します。

 

  検認とはどのような仕組みか

検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態や内容を確認し保存する手続きです。

自筆証書遺言が発見されたとき、発見者が勝手に内容を書き換えたり、破棄したりする可能性があります。そのようなトラブルを防ぐため、家庭裁判所に相続人が集まって内容を確認します。検認を終えると、家庭裁判所は「検認済証明書」を発行し、「裁判所で検認を受けた遺言書」である事実を証明できる状態になります。

 

  検認の手続き

(1)検認の申し立て

家庭裁判所に検認の申し立てをします。申立先の家庭裁判所は「遺言者の最終の住所地を管轄する家庭裁判所」です。

【申し立てに必要な書類】

●検認申立書

●遺言者の出生から亡くなるまでのすべての戸籍謄本

●相続人全員の戸籍謄本

(2)検認期日の決定と連絡

検認の申し立てをすると、家庭裁判所から相続人全員に対して「検認期日」の連絡があります。

遺言書の検認を申し立ててから検認期日までの期間は、だいたい1~2か月程度です。申立人以外の相続人は出席してもしなくてもかまいません。欠席の理由も問われません。

(3)検認期日の手続き

指定された日時に家庭裁判所に行くと、出席者の立ち会いのもとに遺言書が開封され、中身を確認します。申立人には遺言書の発見状況について質問される場合があります。

(4)検認済証明書の申請

検認が終わったら、家庭裁判所に「検認済証明書」を申請して遺言書に添付してもらいます。検認済証明書がついた遺言書は、不動産の登記や銀行での預金払い戻しのための提示資料となります。

なお、検認済証明書は150円の手数料がかかります。

 

  検認は遺言書の内容の正当性を保証するものではない

遺言書は検認を受けたから有効だという証明にはなりません。

検認は、遺言書が有効か無効かを判断する手続きではなく、単に「そのときの遺言書の状態や内容を保存する」という手続きだからです。

したがって、検認を受けた遺言書であっても、無効になる可能性がありますが、相続人や利害関係者が、遺言書が無効であることを主張する場合は、「遺言無効確認調停」や「遺言無効確認訴訟」を起こす必要があります。

 

  検認不要となる法務局での自筆証書遺言の保険制度とは

自筆証書遺言を法務局に預ける制度があります。

検認が不要になるほか、いくつかのメリットがあります。

(1)保管申請先の法務局

自筆証書遺言を保管申請するためには、保管の申請の予約を行う必要があります。

保管の申請は,次の3つのいずれかを担当する遺言書保管所であれば,どこででも可能です。自分にとって一番便利な遺言書保管所を選びましょう。

1,遺言者の住所地

2.遺言者の本籍地

3.遺言者の所有する不動産の所在地

(2)保管申請

保管申請予約が完了した後は、遺言者本人が遺言書保管所(法務局)に出向いて保管申請を行います。代理申請は不可です。

保管申請をする際は以下の必要書類を準備しましょう。

1.遺言書

2.保管申請書

3.本籍の記載のある住民票の写し(作成後3か月以内)

4.本人確認書類(身分証明書)

5.手数料(1通につき3900円)

(3)保管証の受領

保管申請手続きが完了した後は、法務局から保管証が交付されます。

保管証には保管番号が記載しており、遺言書の閲覧や保管の撤回、遺言書の変更手続きをする際に必要になるので、大切に保管しましょう。

 

  保管制度のメリット

(1)紛失や不正の恐れがない

法務局に遺言書を保管することで紛失の恐れがなくなります。

また、相続人にとって不利な内容が記載してある遺言書である場合、相続人が勝手に改ざんや隠ぺいする可能性もあります。

法務局に預けることで、遺言者の申請なしでは閲覧することはできないため、不安要素が払拭されます。

(2)検認が不要

法務局の遺言書保管制度で遺言書を保管することにより、検認は不要となり、相続発生後すぐに遺言書の内容を確認し、手続きをすることが可能になります。

(3)遺言書が保管されている旨が相続人に通知される

相続が発生すると、遺言者が希望していた場合は、法務局から指定された相続人の1名に対して、遺言書を保管している旨の通知が届きます。

相続人は遺言書を探す手間がなくなるのは大きなメリットです。

(4)費用が安い

自筆証書遺言は公正証書遺言と違って、費用がかかりません。

法務局における遺言書保管制度を利用した場合でも3900円しかかかりません。

 

  保管制度の注意点

法務局は、遺言書の内容については審査してくれません。

「自筆で書いてあるか」「署名捺印があるか」「日付の記載があるか」など、様式的に法的な効力があるかを審査してくれるだけです。

そのため、自筆証書遺言を作成する際は、自分一人で作成するのではなく、相続の専門家にサポートを受けることをおすすめします。

 

 
 
 

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