【相続問題】配偶者と親と縁を切る「死後離婚」とは
- 行政書士 服部祥明

- 1月21日
- 読了時間: 4分

配偶者との死別により、配偶者の親族との姻族関係が自動的に終了することはありません。そのため、義理の両親との付き合いや扶養義務は、配偶者の没後も続きます。
死後離婚(姻族関係終了届)とは、夫または妻が亡くなった後に、義理の家族との関係を終わらせる手続きです。
義理の親族との関係が良好であれば、その後も良いお付き合いができるでしょう。しかし、亡くなった配偶者とは仲がよかったものの、両親や兄弟とは疎遠だった場合は、関係を続けることは苦痛でしょう。そのような場合に、死後離婚の手続きを経ることによって、悩みから解放されるのです。
以下は「死後離婚」に表記を統一して解説していきます。
死後離婚とは
(1)死後離婚は法的に認められた制度
死後離婚(正式には姻族関係終了届)は、法的に認められた制度であり、届出により義理の両親への扶養義務を解除し、配偶者の親族との法的な関係を終了させる仕組みです。
(2)死後離婚への誤解
誤解されていることも多いですが、死後離婚とは、死んだ配偶者と離婚する意味ではありません。通常の離婚とは異なり、配偶者との関係を断つわけではないので、配偶者との戸籍上の関係は変わらず、相続や遺族年金の受け取りもできます。
死後離婚の特徴
(1)扶養義務や介護問題
死後離婚によって、義理の両親の扶養義務がなくなります。
原則的には、義理の両親を扶養する義務はありませんが、たとえば、義理の両親と同居をしているケースでは、ほかの親族が扶養できない事情があった場合などに、扶養義務が生じます。
ほかの親族が面倒を見る気がなければ、両親の介護を押し付けられる恐れもあります。
(2)冠婚葬祭
死後離婚は、死別した配偶者の親族とは今後関わりたくないという場合に、親族との関係を解消する理由になります。
たとえば、お墓の管理について、配偶者が一人っ子だった場合は、残された配偶者が管理を続けなければなりませんが、姻族関係が終了すれば、代々伝わるお墓の管理も必要なくなります。お墓の管理とともに、面倒な法事の手間からも解放されます。
そのほか、配偶者の親族の結婚式などへの出席もしなくて済みます。
(3)戸籍や苗字
①戸籍は移動しない
死後離婚をしても、配偶者の戸籍から抜けることはありません。
死別した後に苗字を旧姓に戻したい場合は、新たな戸籍を作成するか、婚姻前の戸籍に入る必要がありますが、苗字を戻す必要がなければ、手続きは不要です。
旧姓に戻った場合は、苗字は子どもと異なります。子の苗字を自分と同じに変更したい場合は、子の氏の変更許可の申請を家庭裁判所に行う必要があります。
②姻族関係が終了していることは親族にわかる
姻族関係終了届は、誰かの許可を得る必要はなく、自由に提出できます。
あえて報告しなければ、親族に知られないままの可能性もあります。ただし、戸籍には、「姻族関係終了」という記載が残ります。配偶者の親族が、親の戸籍を見た場合は、死後離婚の事実はわかってしまいます。
(4)子どもへの精神的影響
たとえば、子どもが祖母や祖父に懐いていて、関係を断ち切ることに抵抗がある場合には注意が必要です。
死後離婚したとしても、祖父母と孫という事実は変わらないので、これまで通りに交流をしても問題はありませんが、親が関係を絶ったことで、子どもが付き合いを遠慮してしまうことも考えられます。
(5)死後離婚は取り消しできない
死後離婚は一度手続きをしてしまうと取り消しができません。
たとえば、死後離婚をしたことで、配偶者の親族との関係がさらに悪化し、嫌がらせを受ける事態になったとしても取り消しはできないのです。それらのことを念頭に於いて、死後離婚は慎重に進めましょう。
(6)相続や年金受給への影響はない
死後離婚を選択しても、配偶者の相続を放棄したことにはなりません。
死後離婚は、死んだ配偶者と離婚するという意味ではなく、姻族関係を終了させるものです。したがって、姻族関係終了届を提出しても、死後離婚による配偶者からの相続関係への影響はなく、遺族年金も受け取ることができます。
そもそも、義理の両親からの相続権は嫁や婿にはないので、心配はありません。
死後離婚の手続き
(1)手続きの流れ
以下の資料を用意して、役所に「姻族関係終了届」を提出するだけで、死後離婚は成立します。配偶者の死別後、いつでも自分のタイミングで届出することができます。
●姻族関係終了届
●亡くなった配偶者の除籍謄本
●届出人の現在の戸籍謄本(提出先が本籍地の場合は不要)
●届出人の印鑑
●本人確認書類
(2)手続きに期限はない
死後離婚の手続きには期限はありません。手続きに期限はないので、希望するタイミングで行えます。
夫、または妻が亡くなった直後でも、亡くなってから数年が経過しても手続きは可能です。亡くなってから数年後に、義理の家族との関係が悪化することもあるため、慎重に考えたうえで手続きを実施しましょう。





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