【相続問題】相続税対策としての養子縁組の活用の是非について
- 行政書士 服部祥明

- 6 日前
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相続税対策のひとつとして、養子縁組を活用する方法があります。
相続の際には、養子は法定相続人として数えることができます。相続人の数が多いほど、相続財産から控除できる額(基礎控除額)が大きくなり、相続税の減額につながるためです。
しかし、養子縁組は経済的な打算だけで結ぶべきものではありません。安易に養子縁組した結果、思わぬトラブルを呼び込む危険もあり得ます。
養子と相続権
血縁関係がない他人と養子縁組すると、法律上、実の親子関係になります。このほか、息子の嫁や孫と養子縁組するケースもあります。
養親と養子の関係が「普通養子縁組」か「特別養子縁組」かによって、相続権が変わります。普通養子縁組の場合は、実父母と養父母のいずれの相続権も有しますが、特別養子縁組の場合は、養父母の相続人になりますが、実父母の相続権を失います。
養子縁組の税面のメリット
養子縁組が成立すると、実子がいた場合でも、実子と養子は同じ権利を持つことになり、相続する財産額も同じ割合となります。
(1)相続税の税率が下がる
相続税は、受け取る相続財産の額に応じて税率が異なりますが、相続人の数によっても異なります。
相続税は、「法定相続分」によって財産を分割し、その額によって計算されるため、相続人の数が多いほど、ひとり人当たりの相続額が低くなり、適用税率が下がります。
(2)生命保険金、死亡退職金の非課税枠が増える
生命保険金、死亡退職金は「みなし相続財産」として、相続税を計算する際に、相続財産に加える必要があります。
ただし、このふたつにも非課税枠があり基礎控除額と同様、法定相続人の数で控除できる金額が変化します。
養子縁組のデメリット
養子縁組による税制面のメリットの反面、デメリットや注意点も理解しておく必要があります。
(1)相続人同士のトラブルにつながる場合がある
養子縁組をする際には、金銭面だけでなく、親族の人間関係も考慮しなければなりません。
養子縁組によって相続人が増え、相続人ひとり当たりの相続財産が減ることになるため、思いもよらない相続トラブルに発展する場合があります。
(2)孫の相続税は2割加算される
孫を養子縁組にして相続が発生すると、相続税が割り増しになるケースがあります。
相続が発生した際に、被相続人の子が存命で、その孫が養子縁組により、被相続人の相続人になっている場合は、養子(孫)が負担する相続税が2割加算となってしまうのです。
本来の順序は、「親から子、子から孫へ」と、相続が2回発生しますが、養子縁組によって、「親から孫へ」と直接相続すると、相続を1回回避できてしまいます。そのため、2割加算のルールが設定され、相続税1回パスの抜け道をふさいでいるのです。
(3)法定相続人になれる養子には人数制限がある
相続税対策になるなら何人も養子を迎えればいいと考えてしまいがちですが、法定相続人になれる養子の人数には制限があります。
●実子がいる場合⇒養子は1人まで
●実子がいない場合⇒養子は2人まで
ただし、法定相続人にならない養子の人数は制限されていません。
(4)節税目的の養子縁組は否認される可能性がある
「明らかに節税するためだけに養子縁組にした」と判断された場合は、養子として認められず、税額控除とはなりません。
養子縁組が形式的で、同居していない、扶養関係がないなど、実体がない場合については、税務調査で否認されることがあるようです。
養子縁組を円滑にすすめるためのポイント
養子縁組には、相続税の節税効果があり、法定相続人以外の人に確実に財産を渡せるなど、相続対策として多数のメリットがあります。
その一方で、相続争いや、養子縁組解消の難しさなどのデメリットもあります。養子制度を安全に活用するために、親族同士の事前の話し合いをしておくなど、しっかり準備をしていきましょう。
(1)養子縁組に大義名分があるか
養子縁組が成立すると、血の繋がりのある他の相続人の法定相続分が減ります。
養子縁組をする場合には、節税以外の「大義名分」があり、その理由を他の相続人に胸を張って話し、納得してもらうことが重要です。
(2)本当の親子になる覚悟があるかどうか
養子縁組は、金銭的な打算によって結ぶものではなく、親子関係を結ぶ強い気持ちがなければなりません。
養子縁組は一度結ぶと、解消するためには双方の同意が必要です。人間関係が悪化したからといって、親の一方的な都合で養子縁組を解消することはできません。
養子縁組とは、自分が養子の親になるということです。たとえ意見の対立があったとしても、これから先のお互いの人生において、親子として歩んで問題を解決していく覚悟があるかどうか、もう一度考えてみましょう。





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