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【遺言】外国語で書かれた遺言書は有効か?

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2025年11月21日
  • 読了時間: 4分

日本には多くの外国人が住んでいます。国内に居住する外国人同士の夫婦や日本人と婚姻するケースも増えています。

在日外国人の方が、自分が亡くなったあとのことを考えて、「遺言を書いておこう」と考えるケースもあるでしょう。その際に、日本語がうまく書けないため、母国語で遺言書を書くことがあるかもしれません。

それでは、遺言書は外国語で書かれていても問題はないのでしょうか。そもそも外国人が日本で遺言書を書いた場合、それは正式な遺言書として認められるのでしょうか。

以上が今回のテーマです。

 

  外国語で書かれた遺言書は有効か

結論からいえば、外国語で書かれた遺言書も有効です。

もっとも、遺言についての法律は、世界共通ではなく、国によってさまざまです。遺言書の形式が日本の法律に合致していても、その内容については外国人の母国の法律に合致せず、無効になってしまう場合があります。

 

  外国人が遺言書を書く際の準拠法

日本にいる外国人が遺言書を残す際には、自分にどの国の法律が適用されるのか(準拠法)を検討しなければなりません。。「遺言の作成方法」、「遺言の法律行為の内容」、「遺言の成立及び効力」のそれぞれについて、準拠法がどのように適用されるかを考える必要があります。

(1)遺言の作成方法についての準拠法

〔遺言の方式の準拠法に関する法律2条〕

遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。

①行為地法(遺言を作成する地の法)

②遺言者が遺言の成立または死亡の当時国籍を有した地の法

③遺言者が遺言の成立または死亡の当時住所を有した地の法

④遺言者が遺言の成立または死亡の当時常居所を有した地の法

⑤不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

したがって、在日外国人であれば、③もしくは④に基づき、日本の法律による方式で遺言を行うことが可能です。

(2)遺言の法律行為の内容についての準拠法

在日外国人が日本で遺言書を作成する場合は、その内容は国籍を有する母国法に従うことになります。

(3)遺言の成立及び効力についての準拠法

遺言の成立及び効力については、「成立の当時における母国法による」と規定されています。

遺言の成立とは、遺言能力・遺言者の意思表示の瑕疵など、効力とは遺言の効力の発生時期・条件・取り消しの可否などのことです。

なお、その母国法が遺言の「成立及び効力」の準拠法を現地法と規定している場合は、その部分については、日本の法律が適用されることになります。

 

  3つの準拠法のルールが示すこと

つまり、遺言の形式は日本のルールに則り、遺言書に書かれている内容については本国の法律が適用されるということなのです。

しかし、本国法が必ず適用されるのかというと、そうでもありません。本国法に、現地(日本)の法律を適用すべきと規定されている場合は、現地法を適用することができます。

多くの国では、遺言書の「成立及び効力」については、「現地法を適用すべし」とするようですが、本国法がどうなっているかを確認する必要があります。

 

  自筆証書遺言書を作る場合の留意点

(1)遺言書の形式

自筆証書遺言書は、外国語で書かれていても有効です。

ただし、日本語で書かれた遺言書同様、自筆、日付と氏名の記入、押印、変更履歴の記載などの「自筆証書遺言」の法律上の要件を満たしていることが前提となります。

外国人は押印する文化・慣習がないので、サインをすれば押印は不要と規定されています。

日付は、和暦でも西暦でもどちらでも構いません。

(2)検認について

自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要になります。

検認にあたっては、相続人全員の関与が必要になるため、母国にいる親族を調査して、相続人を確定させるための手続きが必要になります。外国には戸籍制度がないので、かなり困難な作業が想定されます。また、検認には日本語の翻訳文が必要です。

法務局で自筆証書遺言を保管するサービスがあり、この場合は、検認は必要ありませんが、申請に際して日本語による翻訳文が必要になります。

 

  外国人の方にもおすすめしたい公正証書遺言

外国人が遺言書を作成する場合は、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言で作成することをおすすめします。

前提として、本国の法令を確認する必要があり、母国語のわかる通訳人を用意する手間がかかるかもしれませんが、検認の必要がないというのは、公正証書遺言の大きなメリットです。

公正証書遺言を作成する際には、行政書士や弁護士などの専門家のアドバイスが力になるはずです。

 
 
 

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