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【離婚問題】ローンの残っている自宅を財産分与する際の注意点

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2 日前
  • 読了時間: 6分


夫婦が離婚する際には、夫婦の財産を分け合うことになります(財産分割といいます)。

その時に大きな問題になるのが、住宅ローンが残っている自宅の扱いです。今回は、財産分割におけるローン財産のある自宅の処分方法について、解決策を探っていきましょう。

 

  財産分与とは

財産分与とは、夫婦がこれまで一緒に暮らして協力して築いた財産を、離婚する際に分けることを請求できる仕組みです。

財産分与の対象には、預金や株式、建物や土地などさまざまなものが含まれます。共有名義でなく、どちらか一方の名義になっているものでも、夫婦の協力によって形成された資産については財産分与の対象となります。

 

  自宅を財産分与する場合のポイント

土地や建物は分割しにくい財産です。預金のように確定的な金額価値がなく、単純に2つに分割するわけにもいきません。住宅ローンが残っている場合は、今後の返済や所有権をどうするかという問題があります。

(1)誰が自宅の名義人か

土地や建物が、「夫婦どちらか片方の名義か」「共有名義か」を正確に知るために、登記事項証明書で確認しましょう。実際に名義変更を行う際にも、証明書は必要です。

(2)住宅ローンの状況

住宅ローンの契約書で契約状況を確認します。近年は、夫婦でローンを組む「ペアローン」の利用も増えています。ローンの契約状況と併せてローン残高も調べておきましょう。残高は、金融機関から発行される返済予定表で確認できます。

(3)土地建物の現在の評価額

自宅の土地や建物の、現時点での資産価値について把握します。売却相場を調査する際には、複数の不動産会社に査定してもらうといいでしょう。

 

  住宅ローンがある不動産の財産分与に関する注意点

不動産の財産分与では、不動産を売却して夫婦で分配する方法と、夫婦の一方が不動産を取得して他方に代償金を支払う方法があります。いずれを選択するかについては、住宅ローンの状態から判断しましょう。

(1)離婚後のローンの名義人変更は基本的にできない

住宅ローンは、査定が通るまでにさまざまな審査を行います。それに加えて、連帯保証や連帯債務が絡んでくるため、ローンの名義人変更は非常に難しく、基本的にはできないものと考えたほうがよいでしょう。

どうしても名義人変更をしたい場合は、別の金融機関から新たに融資を受けて、ローンを借り換えする方法があります。

(2)アンダーローンとオーバーローン

住宅ローンがある不動産の場合は、アンダーローンかオーバーローンのどちらの状態にあるかで、財産分与の対処が異なってきます。

●アンダーローンとは

アンダーローンとは、不動産の査定価格がローンの残債を上回る状態のことです。査定価格よりもローン残債が少ない場合、つまり、自宅売却後にローンを清算して赤字にならない状態です。そのプラスになる金額が、財産分与の対象になります。

●オーバーローンとは

オーバーローンとは、アンダーローンの反対で、不動産の査定価格がローン残債を下回る状態のことです。

自宅を売却してもローンの完済にも足りません。ただし、自宅のほかにプラスの財産があれば、そこからマイナスを差し引いて、財産全体でプラスとなる金額が財産分与の対象になります。

 

  自宅の処分方法

(1)自宅を売却して分割する
●アンダーローンの住宅を売却する場合

アンダーローンの場合、自宅を売却して、ローンを完済して残った利益を分割できます。

また、居住用財産の譲渡所得の特別控除を利用すれば、譲渡益から3000万円まで税金が控除されるので、譲渡所得税を抑えることができます。

●オーバーローンの住宅を売却する場合

オーバーローンの場合は、金融機関の抵当権が残ったままでは自宅を売却できないので、住宅ローンを一括で完済して、抵当権を抹消する必要があります。

その際に、一括返済の原資は、原則としてローンの名義人が負担することになりますが、夫婦の相談によって2人で負担することも可能です。

(2)離婚後の夫婦のどちらかが自宅に住み続ける場合
●名義人(おもに夫)が住み続ける場合

住宅ローンの名義人(おもに夫)が自宅に継続して住み続けるのであれば、手続きは必要ありません。住宅ローンも名義人が支払っていくことになります。

妻が家を出ていくことになりますが、夫から妻に、代償金としてお金を渡して解決することになるでしょう。

●名義人でない側(おもに妻)が住み続ける場合

この場合の課題は、ローンの残債をどうしていくかということです。

可能であれば、夫婦のいずれかが住宅ローンを一括完済することがベストですが、完済できない場合は、住宅ローンの借り換えによる名義人変更を検討します。

住宅ローンの借り換えとは、ローン契約を結んでいる金融機関とは別の金融機関と、新たにローンを組むことです。既存の住宅ローンの残債は、新規の住宅ローンで完済し、今後は新規の住宅ローンを返済することになります。

ただし、これは妻側に十分な収入があることが前提です。正社員ではなく、専業主婦やパート収入のみの場合は、金融機関の審査を通るのは難しいです。

なお、住宅ローンの名義を夫のままにして、住み続ける妻がローンを支払う方法(履行引受)もありますが、金融機関が認めていないケースが多いでしょう。

 

  妻が夫名義の家に住み続けることは可能

離婚後も、話し合ったうえで、妻が婚姻期間に居住していた元夫所有の家に住み続けることは可能です。ただし、以下の問題点があります。

(1)自宅の所有者が変更することもありうる

法律上は、元夫と賃貸借契約を締結し、賃貸借契約に基づいて住むか、使用貸借(無償で借りる)により住むかという形になります。この場合、自宅の所有者は元夫なので、元妻の許可なく、元夫が他人に自宅を売却することも可能です。あらたな所有者から立ち退きを要求されるリスクがあることには注意が必要です。

(2)元夫は住宅ローン控除が使えなくなる

住宅ローンは、自分がその住宅に住むことを条件として、低利・長期の返済が認められていることが多いようです。

したがって、夫が自分名義の住宅ローンの住宅から退去すると、住宅ローンの契約に違反する可能性があります。また、住宅ローンの控除制度は、ローン債務者(元夫)が住宅ローン対象の住宅に居住していることが条件であるため、控除制度の除外になってしまわないかについて、事前に金融機関に確認しておく必要があります。

 
 
 

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