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【離婚問題】一旦提出した離婚届を取り消すことはできるか

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2 時間前
  • 読了時間: 3分

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協議離婚届は、一旦受理されてしまうと、撤回することは、ほぼできません。

しかし、脅されて離婚届を書かされた、署名押印を偽造されて勝手に出されたなどの事情がある場合には、離婚の取り消しや離婚の無効確認ができる可能性があります。

離婚の取消しや離婚の無効確認については、いずれも裁判所での手続きが必要です。

 

  協議離婚の仕組み

協議離婚は、「離婚意思の存在」と「離婚届の提出」という、ふたつの要件がそろったときに成立します。

離婚意思とは、夫婦が互いに離婚することを合意しているという意味です。離婚意思は、離婚届を作成した時だけでなく、離婚届を提出するときにも存在していなければならないと解されています。もっとも、実態としては、市町村の戸籍の窓口で意思の確認をされることはないので、書類に不備がないかどうかという形式的なチェックだけが行われて、離婚届は受理されます。

離婚届が受理されると、届出を撤回する制度はありません。

 

  「取り消し」と「無効」の可能性

一定の条件があれば、離婚の「取り消し」または「無効」が認められる可能性があります。

(1)離婚の取り消し
●離婚の取り消しの条件

民法では、「詐欺」または「強迫」によって離婚をした場合には、離婚の取り消しが認められています。

たとえば、DVで脅迫されて離婚届を書かされたような場合は、強迫による離婚として取り消しできる可能性があります。

離婚の取り消しについては、詐欺を発見したとき、または強迫を免れたときから3か月以内に申し立てるという期間制限があります。

●離婚の取り消しの手続き

離婚の取り消しは、家庭裁判所に請求して行います。

具体的には、家庭裁判所に離婚取り消しの調停を申し立て、調停で双方が取消しに合意すれば、合意に相当する審判が出されて終了します。合意できなければ、裁判にすすみます。

離婚合意、調停もしくは訴訟で離婚取り消しの判決が確定すれば、10日以内に戸籍の届出を行います。

(2)離婚の無効確認
●離婚の無効の条件

家庭裁判所に「協議離婚無効確認調停」を申し立てて離婚を無効にする方法があります。

調停で双方の合意が成立すれば、離婚を無効にすることが可能です。

相手方が離婚の無効に合意しなければ、訴訟を申し立てることになります。

「むりやり離婚届を書かされた」「相手にサインを偽造されて勝手に提出されてしまった」といった事情から、離婚意思がなかったことを証明できれば、離婚の無効を主張が認められる可能性が高まります。

離婚合意、調停もしくは訴訟のプロセスを経て、離婚無効の判決が確定すれば、1か月以内に戸籍の届出を行います。

●離婚の無効確認の困難さ

たとえば、署名や押印を偽造された場合であれば、立証は比較的容易だと思いますが、署名を強制されたといった事情であれば、強制か任意に行ったかを立証するのは非常に困難です。

 

  現実的な対応

(1)同じ相手との再婚

離婚の取り消しや無効確認は、立証に非常な困難がともない、裁判を経るプロセスが必要であることから、非常にハードルが高い現状があります。

そのような事情から、もし婚姻関係を復活させたい意思があるのであれば、あらたに婚姻届を提出して、再婚する方法しかないでしょう。

同じ相手と再婚すると、一度離婚したあと、あらたに同じ戸籍に入ることになります。子どもがいる場合でも、子どもの戸籍は父親の戸籍に入った状態のままで変化はありません。

(2)離婚届の不受理申出

離婚の危険がある夫婦は、予め、本籍地の市区町村の役所に「離婚届の不受理申出」をしておくと安心です。離婚で揉めている状態で、勝手に離婚届を提出させないためにも有効な手段になるでしょう。

勝手に離婚届を提出される事件は実際に起きていますので、事前に手段を講じておくことも大切です。

 
 
 

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