top of page
検索

【離婚問題】外国人の配偶者と離婚する手続き

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 3 時間前
  • 読了時間: 5分

ree

昨今は、日本に住む外国人夫婦や、日本人と外国人の夫婦も増えてきました。

それと同時に、国際離婚をする方も増えてきています。国際離婚は日本人同士の離婚とは異なり、様々な手続きが必要になります。そもそも、どこの国の法律が適用されるのか、手続きにはどのようなものがあるのか、状況によってまちまちです。さらに、裁判所での手続を要する場合には、日本の裁判所を利用できる場合とそうでない場合があります。

今回は、日本人と外国人カップルの離婚に注目し、どのような手続きがあるかについて解説していきます。

 

  国際離婚の2つの原則

夫婦が離婚するためには2つの原則があります。

(1)どの国の法律が適用されるのか

夫婦の関係国が異なる場合には、どの国の法律を適用すべきか(準拠法)が問題になります。国によっては、協議離婚を認めず、裁判離婚しか許されないケースもあり、さらには離婚自体を認めていない国も存在するため、準拠法によって行うべき手続や注意点が大きく変わってきます。

準拠法を決める基本的なルールは、以下のように定められえています。

①夫婦の本国法が同一であれば、その法による。
②夫婦の常居所地が同一であれば、その法による。
③夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、日本法による。
④夫婦に最も密接な関係がある地の法による。

つまり、夫婦の一方が日本人である場合には、日本の法律が適用され、日本の方式により協議離婚をすることができます。

(2)離婚裁判に関すること(国際裁判管轄)

準拠法と並んで、もうひとつ確認しておきたい原則は、国際裁判管轄です。

法律では、基本的に次の場合に、日本の裁判所に管轄権があると定めています。

①被告の住所が日本国内にあるとき。
②夫婦が共に日本の国籍を有するとき。
③夫婦の最後の共通の住所が日本国内にあり,かつ,原告の住所が日本国内にあるとき。
④原告の住所が日本国内にあり,かつ,被告が行方不明であるときなど。

 

  国際離婚の手続き

準拠法により手続が異なるため、国際離婚の手続については、たくさんのパターンが生まれますが、基本的に日本在住の日本人と外国人の夫婦の場合は、外国人配偶者の国籍に関係なく日本人同士の夫婦と同様の方法により離婚が成立します。

夫婦の離婚協議が成立すれば協議離婚が成立し、成立しないときは、調停、裁判へとすすむのは日本人同士の夫婦と同じです。

(1)協議離婚の手順

夫婦間で離婚の合意ができている場合に、協議離婚を選択します。

①夫婦で離婚条件(財産分与・親権など)について合意
②離婚届の準備(夫婦双方と成人証人2名の署名が必要)
③市区役所への提出(日本人配偶者の本籍地または所在地)
(2)調停離婚(審判)の手順

協議離婚での合意が難しい場合は、調停離婚を選択します。調停に代わる「審判」という方法もあります。

①家庭裁判所に調停を申し立て
②調停委員の仲介で話し合いを実施
③合意が成立すれば調停調書を作成
④調停調書により離婚成立
(3)裁判離婚の手順

調停や審判が不成立の場合は、裁判離婚にすすみます。

①離婚訴訟の提起
②国際裁判管轄権の確認
③離婚理由・財産分与・親権などの審理
④判決による離婚確定

 

  国際離婚の注意点

(1)配偶者の本国の法律問題

国際離婚の注意点のひとつは、相手側の本国で日本における離婚の効果が認められるかどうかという点です。

たとえば、日本人と外国人が、外国人の本国で婚姻届を出したときは、離婚するときも、その国の法律の規定によります。

世界では協議離婚を認めていない国の方が大半で、そのような国では日本で成立させた協議離婚を届け出ても、離婚は認められません。

そうすると日本では離婚済み、外国では婚姻したままというちぐはぐな状況になってしまいます(跛行離婚といいます)。それによって再婚ができないなどの問題が生じる可能性があります。この状態を避けるためには、裁判離婚を成立させるしかありません。

(2)子どもの親権問題

子どもと父母どちらかの国籍が同じ場合は、子どもの本国法が適用されます。

たとえば、日本人の父とフィリピン人の母の間の子どもが日本国籍を持っていれば、日本法に基づいて親権者が決定され、子どもがフィリピン国籍であれば、フィリピン法が適用されます。

日本の現行法では、離婚すると父母のどちらか一方のみが親権者となる「単独親権制度」が採用されてきましたが、法改正により、2026年までに、離婚後も父母が共同で親権を行使できるようになります。

(3)在留資格への影響

「日本人の配偶者等」の在留資格で滞在している外国人は、離婚により該当性がなくなり、在留資格取消しの対象となります。

したがって、離婚後14日以内に入国管理局に届出をする必要があります。期間が限られているので、早めに他の在留資格への切替えに向けて動く必要があります。

●在留資格の変更

離婚後も日本に滞在を希望する場合には、以下の選択肢があります。

・就労ビザへの変更(技術・人文知識・国際業務」など)
・留学ビザへの変更
・定住者ビザへの変更(一定の条件を満たせば、変更可能)

変更手続きをするためには、在留資格変更許可申請書、離婚証明書、新たな在留資格の要件を満たす証明書類などが必要です。

●注意すべき期限
・出入国在留管理庁への「配偶者に関する届出」⇒離婚後14日以内
・あらたな在留資格への変更手続き完了⇒離婚後6か月以内

在留資格への変更手続きをしないまま、6か月を過ぎると、正当な理由がない限り、在留資格取消しの対象となります。

 
 
 

コメント


bottom of page