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【離婚問題】離婚の公正証書に書けないこと

執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
行政書士 服部祥明
3 時間前
読了時間: 4分

離婚の際に、養育費の不払いや慰謝料の未払い、財産分与の履行トラブルなどを防ぐため、法的な強制力を持つ公正証書を作成することが推奨されています。

ただし、公正証書には、どんな合意内容でも自由に記載できるわけではありません。法律に違反する内容や、公序良俗に反する条項などは記載が認められず、仮に記載しても公証人の判断で無効になってしまうので、記載する内容を慎重に検討することが重要です。

 

  養育費に関する取り決め

(1)養育費の請求権の放棄

「養育費については今後一切請求しない」など、養育費の請求権を将来的に一括して放棄する内容は、法的に無効であり、公正証書に記載することはできません。

(2)養育費の額の変更ができない取り決め

長期にわたる養育費の支給については、支給期間に、物価の変動や両親それぞれの再婚、収入の変動(失職や倒産など)などの事情の変化があるかもしれません。

支給するべき金額の支払がどうしても難しくなった場合に、養育費の金額を変更することは可能とされています。したがって、離婚の公正証書に「養育費の金額の変更をしない」という合意は、記載できません。

 

  離婚後の姓の強制

原則として、離婚した場合には、婚姻中に改姓していた配偶者(おもに妻)は、離婚と同時に婚姻前の氏に戻ります。ただし、離婚届を提出した日から3か月以内に届け出れば、婚姻中の氏をそのまま名乗ることが可能です。

「氏の選択」は個人の人格権に関わるものであって、本人の自由意思に委ねられています。そのため、公正証書において「離婚後は必ず旧姓に戻す」といった条項を盛り込むことは、個人の自由な選択を不当に制限するものとして、法的に無効となります。

 

  面会交流の制限

離婚後の子どもと別居親との交流(面会交流)は、子の利益のために適切な方法や頻度で実施されるべきとされています。そのため、公正証書に「子どもとの面会を認めない」という取り決めは記載できません。養育費が滞っていた場合に、養育費の支払いを理由に面会を拒否するという内容についても、記載は難しいでしょう。

 

  慰謝料や財産分与の過度な長期分割払い

離婚に際して発生する慰謝料や財産分与については、金額や支払方法は当事者間で自由に合意できるとされていますが、支払期間を過度に長期に設定する場合には注意が必要です。

慰謝料には、不法行為に基づく損害賠償の性質があり、できるだけ早期に支払われるべき債務とされています。また、財産分与も、婚姻中に築いた共有財産を清算するための制度なので、原則として離婚の時点で一括して処理されるべき性質を持ちます。

したがって、過度に長期間の分割払いについては、公正証書を作成する際に、公証人から修正の指示を受ける可能性も高いでしょう。

 

  年金分割請求の制限

離婚に際して行われる年金分割制度は、婚姻期間中に形成された厚生年金の記録の一部を、当事者間で分割することを可能にする制度です。主に第3号被保険者(専業主婦等)の年金権の保障を目的としていて、手続きについては、離婚から2年以内に行わなければなりません。

年金分割について、公正証書に「離婚時年金分割の請求をしない」と記載することは、法律によって認められた請求権の行使を制限するものであり、離婚公正証書への記載は認められません。

 

  利息制限法を超える金利

慰謝料等を分割で支払う場合に、金利や遅延損害金の金利を定めることが可能ですが、その際に、「利息制限法」で決められている上限を超える利息を設定することは、認められていません。

 

  その他公序良俗に違反することや違法なこと

公序良俗に違反することや違法な取り決めは、当然ですが、公正証書に記載することはできません。上記以外にも、たとえば、元配偶者に対して再婚や離婚後の異性との交際を禁止する条項なども無効です。

 

  公証人の解釈によって変わる場合も

公正証書を作成するうえで、公証人との相性は重要な問題です。公正証書には統一的な文面があるわけではなく、公証人によって、公正証書の表現はずいぶん異なります。

離婚公正証書への記載可否についても、実務上、公証人ごとに判断がわかれるケースがあります。たとえば、同じ離婚協議書をもとに公正証書の作成を申請した場合に、A公証役場では内容の修正を求められるが、B公証役場では問題なく記載が認められるケースもあり得ます。。

このような対応の違いがある場合もあるため、公正証書に記載したい内容が決まっているのであれば、事前に公証役場に相談し、希望する条項が認められないときは、別の公証役場に依頼することも検討しましょう。

 
 
 

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