【離婚問題】離婚の際の年金分割の仕組みについて


離婚する際には、夫婦の財産を分けあうことになりますが、銀行預金や不動産のほか、年金も分割することができます。年金分割の制度を利用するためには、期限内に年金事務所に申請する必要があるのですが、制度そのものがよくわからないという人も多いです。
そこで今回は、わかりにくいといわれる年金分割の仕組みについて解説します。
年金分割の対象は厚生年金だけ
(1)年金の種類と年金分割の対象
国民年金は、日本に住んでいる20歳以上のすべての国民が加入する年金制度です。サラリーマンや公務員、自営業や学生、無職の人、すべての国民が国民年金に加入することになっています。
一方で、厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度です。会社員や公務員は国民年金にも加入し、その上で厚生年金にも加入している形になっており、保険制度が2階建て構造になっています。
結論からいうと、年金分割の対象になるのは、厚生年金の部分です。
(2)年金分割の対象になる厚生年金とは
年金は保険料を支払ってきた人に受領資格があります。
たとえば、会社員の夫と専業主婦の夫婦の場合、夫には、老後に厚生年金を受け取る権利がありますが、本来、妻には厚生年金を受け取る権利がありません。
それでは、夫婦が離婚した場合にはどうなるでしょう。妻は夫を支え、家庭を守ってきた実績があります。離婚したとはいえ、元夫よりも年金が少ないというのは不公平です。この不公平をなくすために、年金分割によって。結婚していた期間中の厚生年金保険料の支払い実績を夫婦で分けあうことが認められているのです。
専業主婦のケースのほか、企業や役所で働いていた元妻について、配偶者よりも厚生年金保険料が少ない場合についても、年金分割制度の活用によって、元夫との厚生年金の受給額の差を縮めることができます。
なお、年金分割は、結婚していた期間の厚生年金保険料の支払い実績を配偶者と分ける制度なので、独身期間の支払い実績は分割の対象になりません。
年金分割の種類
年金分割制度には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。
(1)合意分割とは
合意分割は、夫婦が合意によって行う年金分割の方法で、年金分割制度が始まった2007年4月から導入されている制度です。年金の分割割合は、0.5を上限に、当事者同士で決めることができます。
(2)3号分割とは
3号分割は、3号被保険者(専業主婦など)のケースに適用される年金分割方法で、相手の了承なしに当然に分割請求できるタイプの年金分割です。
3号分割が適用されるのは、2008年4月以降の年金積立分が対象で、分割割合は0.5に定められています。2008年4月以前から婚姻していた場合は、2008年4月以前の年金積立分については、3号分割ではなく、合意分割を適用し、両方の仕組みで分割割合を決める必要があります。
年金分割のサンプル
実際に年金分割がいくらになるかは気になるところです。夫婦の年収や婚姻期間によって異なりますが、いくつかのサンプルで、概略どのような内容になるかを見ていきましょう。
なお、以下はあくまでも夫婦の収入などを元にしたサンプルなので、実際の分割金額は異なります。
①夫が会社員、妻が専業主婦の場合
【婚姻期間中の標準報酬総額】
夫:1億円
妻:0円
※2003年4月以降に結婚
※厚生年金は65歳から受給
※その他の条件は割愛
夫婦の婚姻期間中における標準報酬総額の合計(1億円)を2分の1に分割すると、5000万円ずつになります。
2003年4月以降の加入期間においては、「1000分の5.481」の給付乗率が適用され、年金分割によって、妻の年金受給額は、月額で約23000円増えます。
②夫が会社員、妻がパート勤務の場合
【婚姻期間中における標準報酬総額】
夫:1億円
妻:2000万円
※2003年4月以降に結婚
※厚生年金は65歳から受給
※その他の条件は割愛
夫婦の婚姻期間中における標準報酬総額の合計(1億2000万円)を2分の1に分割すると、6000万円ずつになり、年金分割によって、妻の年金受給額は、月額で約18000円増えます。
③夫と妻が共働き(夫婦とも厚生年金に加入)の場合
【婚姻期間中における標準報酬総額】夫:1億円
妻:8000万円
※2003年4月以降に結婚
※厚生年金は65歳から受給
※その他の条件は割愛
夫婦の婚姻期間中における標準報酬総額の合計(1億8000万円)を2分の1に分割すると、9000万円ずつになり、年金分割によって、妻の年金受給額は、月額で約4500円増えます。
年金分割後の受け取り金額は年金事務所で教えてくれる
厚生年金の金額は、加入期間の平均給与額である「平均標準報酬月額」と厚生年金保険の加入月数を基準に算出することができますが、計算する際に、過去の給与額を現在の物価に引き直す必要があるなど、非常に複雑です。自分で計算するのは難しいでしょう。
このような場合は、年金事務所に相談しましょう。年金事務所に問い合わせれば、分割後の年金見込額を教えてくれます。ただし、対象者は50歳以上(もしくは障害年金受給者)に限定されています。





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