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【相続問題】ペットに遺産を相続させる方法はあるか

執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
行政書士 服部祥明
17 分前
読了時間: 5分

ペットを飼っている独居高齢者にとって、ペットの将来に関する心配は拭えないものです。日本の法律では、ペットに遺産を相続させることはできません。飼い主が先に亡くなってしまうケースを考えて、ペットを守るための法的な対策はないのでしょうか。

 

  ペットは動産(モノ)である

ペットは大切な家族ですが、日本の法律では「動産(モノ)」という扱いになり、現金や貴金属、預金などと同様に「相続財産」のひとつとして、遺産分割の対象になります。

したがって、ペットの将来を守る方法というのは、ペットに直接財産を残すのではなく、ペットのお世話をしてくれる人との契約によって、飼育の継続をお願いする形になります。

 

  ペットに財産を残す3つの方法

ペットに財産をそのまま相続させることはできないので、ペットの世話を条件として、ペットを大切に世話してくれる人、もしくは団体に引き取ってもらって、ペットの生活に必要な費用を引き継ぐ方法が最適です。その具体的な3つの方法について、以下で解説します。

(1)負担付贈与

負担付遺贈とは、財産を受け取る受贈者に一定の義務を負ってもらう見返りに財産を贈る契約です。

たとえば、自分が亡くなった後、子どもや孫に住宅ローンを引き続き返済してもらう代わりに、自宅を相続させる契約がその一例です。ペットに関する契約であれば、財産の全部または一部を遺言によって遺贈する代わりに、ペットの世話を依頼することが可能です。

●契約のポイント

負担付遺贈では、生前にペットの新しい飼い主をあらかじめ決めておきます。そのうで、「ペットの世話をすることを条件に、財産を譲る」という内容を記した遺言書を作成します。

●注意点

 遺贈は、一方的に遺言をするだけで成立するため、受贈者が受け取りを放棄することができます。強制力がないので、遺贈の放棄と同時に、ペットの飼育も拒否することができます。

また、相手によっては、財産だけ受け取って、飼育の約束を守ってくれないリスクもあります。その場合、負担付遺贈がすぐに無効になるわけではありませんが、負担(ペットの世話)を履行しない場合には、相続人が受遺者に対して履行の催告を請求することができます。それでも受遺者が履行しない場合は、相続人が家庭裁判所に遺贈の撤回を申し立てることができます。

●契約不履行への対策

裁判所への訴えのほかに、契約不履行の対策として、遺言書で遺言執行者を指定する方法があります。

遺言執行者は受遺者がペットの世話をきちんと行っているかどうかを監督し、負担を履行しない受遺者に対して、取り消し請求をすることが可能です。なお、遺言執行者には弁護士、行政書士、司法書士などの法律に通じた士業を指定するといいでしょう。

(2)負担付死因贈与契約

負担付死因贈与は、財産を受ける人(受贈者)に対して、ペットの世話をすることを条件に、財産を「死因贈与」する契約です。贈与者と受贈者の双方の合意がある契約で、受贈者は負担を放棄することができません。そのため、負担付遺贈よりも確実な方法といえるでしょう。

●死因贈与執行者を指定

負担付贈与と同様に、負担付死因贈与契約においても、(死因贈与)執行者を指定しておくべきです。執行者の指定がないと、死因贈与の手続きを行う際に、相続人全員の協力が必要になります。執行者の指定があれば、執行者と受贈者で手続きを進めることができるので、スムーズに契約の内容を実現することができます。

(3)ペット信託

負担付贈与、負担付死因贈与契約という2つの方法については、元の飼い主が満足するレベルで受贈者がペットを世話してくれるかどうかまでは確認ができません。

そこで、あたらしく開発されたのが「ペット信託」という仕組みです。

信託契約というのは、「財産を預ける人(委託者)」「財産を管理・運用する人(受託者)」「財産の運用によって利益を得る人(受益者)」の3者がそろって成立する契約です。

受託者はペットの世話を引き受ける対価として、信託財産口座から飼育費用を受け取ります。

●自由度が高い

信託契約では、信託を開始する条件や、どのような飼育を希望するかについて、細かく指定することができます。

基本的には、飼い主が存命のうちは本人がペットの世話をし、飼い主が亡くなると、信託契約で指定した新しい飼い主(受益者)が世話をしますが、飼い主の死亡時に限らず、飼い主が介護施設に入った時期を信託開始とすることも可能です。ペットの死後、葬儀方法を指定することもできます。

飼い主が亡くなった場合は、その相続人が第二受益者となり、信託契約は続行するので、確実にペットの世話が継続します。

●信託監督人を指定

信託財産がきちんとペットのために使われるかどうか、ペットの世話をきちんとしているかを監督するための管理人として、第三者の信託監督人を置きます。

 

  契約は公正証書で

負担付贈与、負担付死因贈与、ペット信託は契約書や遺言書によって成立しますが、これらの文書を法律で定められた方式に従って正しく作成することは、非常にハードルが高いです。

せっかく作成した遺言書などが無効にならないように、相続に強い専門家に作成を依頼されることをおすすめします。

 
 
 

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